第15話 自由なタマ子

 アンドレアと今日は家畜小屋にやって来た。


「初めまして、神の申し子タマ子王女様。私は家畜長のオリバーです。ご案内致します」


 家畜小屋は広く豚、牛、鶏がいた。


「こちらには卵を産む鶏、そしてミルクを出す乳牛とヤギがおります」


「これも全部城の者が食べるのね…」


「もちろんでございます。朝のミルクは美味しゅうございましょう?なんせ絞りたてですからね」


 オリバーは誇らしげにそう言った。


「賃金は十分足りていますか?」


「えっ……」


 タマ子の意外な質問にオリバーは戸惑った。いくら王女と言えども、まだ5歳の子にお金の心配をされるとは思ってもいなかったのだ。


「だ、大丈夫でございます…」


「こんにちは!」


 そこに男の子がやって来た。


「こんにちは!貴方も家畜小屋で働いてるの?」


「はい、そうです。僕はヤギの世話をしています。ヤギミルクは高価なのでやりがいがありますよ!」


「飲んだ事はありますか?」


「い、いえ…」


「じゃ、今度飲んでみてね!本当に美味しいよ!」


「い、いやいや、タマ子王女様。私達は世話をするだけなので……」


 オリバーは慌ててタマ子王女を止めた。


「貴方の名前は?年は幾つ?」


 タマ子は気にせず男の子とのおしゃべりを続けた。


「僕はリュカといいます。11歳です」


「私のお友達になって下さいますか?」


「もちろん大丈夫ですよ」


 傍にいたアンドレアとオリバーは顔を見合わせ溜息を洩らすのだった。

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