本という宝物を無くさないために。全ての皆様に読んで欲しい本屋ドラマ

メッセージ性の高い物語は数多くありますが、大抵は実体験が辛く、隠してしまいがちなので、不燃焼になります。
しかし、この作品は違う。
作者が痛みから逃げず、覚えている全てをぶつけて書いています。

「書籍化」という憧憬を持ち、誰もが目指す頂点へ、走っています。
でも、手をかすめることもあるんです。
それが冒頭にて既に書かれているライトノベル作家。そしてなんとかしてあげたくても出来なかった担当のメールなどがリアルに迫っています。

こういう物語をしっかりと読んでください。かなりの良作です。

本の良さに「自分が経験できるはずがないことを、手にできる」というものがあります。実体験だけではなく、こんどは「ミュゲ書房」の立ち上げを通し、色々な流通を練っていく。合間も、消えた作家のことを想いつつ……。

時代の変革を見つつ、自分の想いも昇華しながら読ませる物語に仕立て上げる。
これは、なかなかできないことです。

悔しかった想い、嬉しかった想い、それでも書籍や物語を愛する想いはみな、同じですよね。

ちょっと泣きました。そして縁の下で頑張る皆様の努力も、書き手は知らなければなりません。一人では書籍化は為りえない。

――この作品を強く推していきたいと思います。皆さん、是非お読みください。
作者さま、頑張ってくださいね。

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