第39話 ゴブパコ

 前回までのあらすじ。

 清太郎君と雛子さんは、ゴブパコされた女の子たちを救いに出かけました。

 ゴブパコって何だよ。

 類似した言葉に、触パコというものがあるが、その意味はあまり詳しく解説しないでおく。触手が何か関係しているものと思われる。


 清太郎君は成り行きで、生殖器の広げられた全裸の女性たちを沢山見た。何とも言えぬ不可抗力。いやぁ、これは仕方ない。

 清太郎君が今回のゴブリン討伐に参加した理由は、ほぼこの瞬間に集結されている。目の前に広がる地獄絵図に、彼は満足していた。膣の奥から流血していようが、肛門があまり拭かれてなかろうが、あちこちに排泄物が放置されていようが、そこは夢にまで見た天国なのだ。


 この場所こそ、清太郎君の求めていた真理。

 混沌なる世界の一角だ。


「清太郎君、何か嬉しそうだね」

「そうかな?」

「うん、何となく分かる気がする」


 日本にいた頃から何度かせいしを共にした雛子さんは、清太郎君の微妙な動きの違いを読み取れる。鉄兜に隠された清太郎君の視線が生殖器へ釘付けになっていることはお見通しだ。


 もちろん、自分以外の女性に興味を持たれるのはあまり良い気分ではないが、清太郎君はそれ以上の段階へ踏み込めるほど度胸や行動力がないことは雛子さんも把握している。だからこそ、雛子さんは今の彼を大目に見ているのだ。


 清太郎君は雛子さんと離れてしまうことを恐れている。雛子さんから他の女性へ伴侶を移すメリットよりもデメリットの方が上回ることは、清太郎君も理解している。「他の女性とも性交したい」という欲望は理性によって制御され、「そういう任務だから不可抗力で仕方なく見てしまった」という妥協点でセーブしてある。夫婦の間へ知らぬ間に築かれていた暗黙の了解だ。


「もう、あんまりジロジロ見てたら、もうセックスしてあげないんだからね!」

「ごめん……」

「分かればよろしい」


 笑顔で許す雛子さん。


 しかしながら、雛子さん側には協定が結ばれていない。

 雛子さんは普段から色々な男性と肉体関係を構築しているし、清太郎君もそれを黙認している。


 雛子さんは3Pも逆3Pも幾度となく経験しており、清太郎君よりも人間の生殖器に現れる個体差について熟知していることは否めない。「このオジさんは清太郎君のよりも小さいなぁ」とか、「この娘は私のよりも広いなぁ」とか、行為中に飽きてきたら、暇潰しとして冷静に分析して相手が疲労してくるのを待つ。そういう点に関しては、雛子さんの持つ知識の方が圧倒的に豊富で、研究する機会に恵まれている。


 何とアンフェアなルールよ。


 そんなことはさておき、清太郎君は若く美しい娘の恥部を観察し、頭の中で雛子さんのものと比べてみる。


 やはり、雛子さんの穴は小さい。

 今の清太郎君が考える、雛子さんの生殖器における特徴だ。


 雛子さんが性行相手に与える心地よい窮屈感は、その狭さから生み出されるものだと考えられる。ああ、雛子さんが妻になってくれてよかったなぁ。いつも清太郎君が気持ちよくなれるのは、雛子さんの内側に秘められたポテンシャルのおかげなのである。


 こうして、清太郎君は雛子さんの素晴らしさを再認識した。

 やはり、このゴブパコ女子救出作戦に参加して正解だった。新たな発見を得るためにも、ときにはこうした冒険が必要になる。


 誰もが虜になる雛子トンネル。

 内装の緻密で複雑な施工たるや、その建築様式を再現するのは不可能とまで言われている。生まれたばかりの赤子だろうが、危篤状態の老人だろうが、そのトンネルを通れば真っ白な世界に浸れるという伝説があるのだ。


 さらに、多くのお客様から好評を頂いている。

 清太郎君の父親や伯父も叔父も雛子トンネルの利用者だ。正月に清太郎一族が集まった際、彼らは清太郎君と自分の伴侶に隠れて雛子さんへ手を出してしまった。

 いや、「手を出した」というよりは、「精子を出した」の方が現象的に正しいかもしれない。道徳的には間違いかもしれないが。

 御三方は「あの有名美人アイドルがこんな近くにいる!」と興奮してしまったのだ。「まさか息子の息子が入るべきところに息子が入るなんて」といった具合に、清太郎君の父親はノリノリだった。


 シルデナフィルなど用いずとも、雛子さんは高齢な御三方から大量の苦い生ミルクを絞り取れる。この雛子絞りに関して、最高評価★★★を獲得した。

 やはり「雛子さんの肉体」という甘い誘惑には勝てぬものよ。動く度に揺れる乳房に視界を奪われ、風呂や納戸、キッチンなど、あちこちで求められ、雛子さんは応じたのだ。


 ただし、そのトンネルを往復する行為は体力を激しく消耗するので、ご利用は計画的に。腹上死を果たしても当社は一切の責任を負わないと、契約書にも記してある。


 その後、清太郎君の父親も伯父も叔父も、寝室で突然死した。飲酒後の急激な運動による疲労によって高血圧が悪化した、というのが医者の見解である。自分の体力を見誤るとは大変なことよ。新年のめでたい日だからといって、過度に飲酒してしまうことにも要注意だ。

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