第2話 光

ある時、ふっと光が見えた。

ひとつ、たったひとつだけれど虚空の中。


きのうまではそこに無かった光が、ひとつ、瞬いた。


あれはいったい何だろう?


〝彼女〟は緊張した面持ちで、懸命にそれを凝視した。


空間はやがて、見えないけれど渦が巻き、漂った。


脈動する〝躰〟。


それまでの〝彼女〟には、決して無かったことだった。


『僕の発する英気を誰か、受け止めてくれればいい』


悲痛にも似た〝声〟が、大きな大きな流れに乗って、すこしずつすこしずつ遠くまで、ある一定のベクトルを持って、こちらに近づいてきたのであった。

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