第025話 チクショウ、天守閣にう〇このオブジェ付けるな

 さて、計画を全員に見せるとするか。

「ふははははははは! どうだ! 見たか! 付け焼き刃の知識だが、これで十分頑丈で豪華な城ができる! お前たちの要望もこみこみだ!」

 四天王の心は掴んだ! ……かに見えた。

「うーん。ダサいですの」

 ミカエラ!?

「我が親愛なる祖国の基地だって、こんなにぶっきらぼうじゃありませんわ。ケイ、あなたこの一週間で何を学んだんですの?」

「辛辣すぎるだろ!? 七徹したんだぞ!? 七徹!?」

「かけた時間は関係ないですの、クライアントにクオリティーをしっかりアピールするですの」

「なんかベンチャー企業の社長みたいなこと言ってるし……」

「で、アピールポイントは何なんですか?」

 お、リンさん。よくぞ聞いてくれた!

「えー、おっほん。……まず第一、ミカエラが要求した広いキッチン! これは魔王城の近くに共用キッチンを作ることで解決した」

「おー」

「うーん、なんか反応が棒読みだな。ようは、キッチンを独り占めするんじゃなくて、お金を対価に貸し出すってことだ。これでキッチンで儲けられる」

「なーんかビンボーくさいですわ」

「うるさい! こちとら金欠なんだ! ……えー、ですから、キッチンに他人がいてもマナーを守って、楽しく料理しましょうね?」

「お料理教室ですの」

「次は、リンさんの植物園……かな(ミカエラは無視)?」

「はい! そうです!」

「ここら辺は、ちょっと小さくなりました。具体的に言うと、山を削っちゃったところ一帯を、植物園にして、同時に『薬草・野菜』などを収穫して資金にする」

「ケイさんって、仕事ができる人だったんですねー」

「棒読みはやめてください(涙)。蟲の飼育場も近くに作って、植物園は時期によっては果物狩りの広場にしたりして金を稼ぐ。さらには共用キッチンと連携して、植物園で採った野菜や果物を料理できるようにもするんだ」

「蟲さんたちがあの広大な土地で元気に動き回る……ああ、なんていい光景なんでしょう(恍惚)」

「……えーと、次はオトカ」

「お、ついに娼〇が」

「できません」

「ぶー」

「ぶーじゃない。あんた未成年でしょうが。でも、喜びそうなのを設置することにしたぞ?」

「え。なになに!?」

「魔術学園だ」

「……へ?」

 すると、シオリが口を挟む。

「ケイ、お前まさか……」

「そうだ。魔法少女……というか、単純にシンエンの学校づくりにかかわることになった」

「はぁッ!?」

「まあ、後進国だし、いろいろと学校周りがなかったみたいだから、幼稚園から大学まで、プロジェクトを国からまかせてもらった。私立だから、金を稼げる。オトカにはそれに付随する孤児院の管理やらなんやらをしてくれ……」

「わっかりました! ふふふ」

「いかがわしいことを教育しようとしても無駄だぞ? 外部から教員を呼んでるからな?」

「あああああああああああああ」

「ハイ次ー」

 オトカ、マジであぶねぇ……。

「シオリだ。シオリに関しては、冒険者用の宿泊施設だったな?」

「おう。そうだ」

「小規模だが、学校の近くに作ることになった」

「へっへっへ、これでいろいろと荒稼ぎ……」

「……」

 隠し賭博場でも開きそうだな。こいつ。

「最後に、ツムギ」

「お!」

「宴会場は、その冒険者用の宿泊施設に付随して建設する。これらが城にすべて収まる。全員の案をまとめると、『金が足りないから公共施設で儲けるってことだ』」

「「「「「……ダサ」」」」」 

「くうううううううう一週間頑張ったのにいいいいいいいいいいい」


 数日後。

 建設が始まった。

「あー、魔術レンガはそっちだ!」

 ツムギが現場監督。僕が建築家。他の四人は……。

「ヒャッハー! 作ったものには終わりがあるですの! 諸行無常ですの! だから壊すですの!」

 ……RPGはやめて。ミカエラ。あと、悟ったふうなことを言って、破壊欲を満たさないで。

「そうですねミカエラちゃん。ケイさん。とっとと作り直してください。ミカエラちゃんが破壊するより早く」

 リンさんやめて……。背後に蟲を従えて威圧しないで……。早口でまくし立てないで……。

「おらああ働け働けえええええええ」

 シオリ……。もうやめてみんな( ;∀;)

「あああああああ崩れるwwwwwww」

 ツムギ、お前なんで笑ってんだ。

「コンクリートケチったら崩れるしwwwあかん腹いてぇwww」

「……(遠い眼)」

 がしゃあああああああん


「ぐはぁ……」



 く、くそう。なんでこんなことに……。城の建設はやはり無理だったのか……?


「……イ……ケイよ」

「こ、この声は、父さん!?←」

「ふははは、そうだ。グレープフルーツ四世だ。また現世に来たぞ」

「父さん!」

「いやー、最新話のヴィラハイ、面白かったー!」

「このクソ親父がッ」

「ところでケイ」

「なに、父さん」

「物事は突き詰めねばならん。何事もあせっては意味がない。じっくりゆったり世界征服するのだ」

「父さん……!」

「そうだぞ。健康的に世界征服。福利厚生が充実してこその世界征服。無理なく世界征服。疲れたときには休みつつ世界征服。自分のペースで世界征服」

「あれ? 世界征服ってなんだっけ(白目)」

「ふはははは、この意味が分かるようになったとき、お前はきっと」

「世界征服をすでに成し遂げているんだね!」

「ムショの中だろう」

「要はさっきの言葉は何の意味もねぇってことじゃねぇか!」

「ふははははは! せいぜい頑張るがよい、我が息子よ」

「なんかもうこのやり取り無駄な気がしてきた」


 あと、天守閣の設計図に勝手にうんこのオブジェ書いたのだーれだ? 正直に手をあげなさい。


 to be continued……

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