第024話 ブラック魔王一味(魔王のみ)

 あれから……一週間が経った。

 シンエン王国に居座り続け、来る日も来る日も建築計画を練り続ける。

 ツムギの手取り足取り教えてもらいながら、……うん、がんばったよ(白目)。

 ミカエラは相変わらず焼け野原を生成し続けてる(あたり一帯を整地するため)。リンさんは蟲たちを総動員して、草刈と地質調査。結構大事。

 シオリ……どこいったんだろう。

「オトカ?」

「なに?」

「シオリってどこ行ったんだ?」

「しらなーい」

 おいおい、目の前でエロ本を立ち読みするな! 袋とじを開けるな!

「しらなーいって、え?」

「ほんとに知らないんだもん。気付いたらどっか行ってた()」

「あいつ影濃すぎるのに、どっか行くときだけ気配がまるでなくなるよな……猫だわマジで」

 ともかく、シオリを探さないといけない。


「すみません、シオリってやつを知りませんか? 猫獣人で召喚術を使う白金級の冒険者なんですが」

「し、シオリッ!? シオリだとッ!? た、たのむ! 命だけは助けてくれええええええええええ」

 あいつ何しでかしたんだよ、反応がえげつねぇよ。

「「「……」」」

 外野も戦慄しないでくれる? こっちまで怖くなってくるんだけど?

「す、すみません……シオリってやつを」

「ひ、ひえええええッ! お、お願いします! 私は、私はどうなってもいいから、この子だけは……この子だけはどうか見逃して」

「うええええええんお母さん! こわいよおおおおおおお」

「大丈夫。大丈夫だから。早く逃げて!」

「……(遠い眼)」

 ごめんなさい。ホントゴメンなさい。もう何も言えない。

「す、すみません。ほんとうにすみません。シオ……」

「ぎゃああああああああああ」

 あ、すっごいスピードで走ってった。

 シオリってなんなの? こっちまで怖い……。


「はぁ……人に聞くにも、評判が悪いなんてもんじゃねぇぞマジで。まるでテロの主犯じゃねぇか。あ、でもそうか←」

 僕たちテロリストでした、テヘペロ!

「それはそうとして……あ、ツムギだ」

 ツムギが、道端で何やら端末を操作している。

「おーい、ツムギ!」

「ケイじゃねぇか。どうした?」

「シオリが旅に出ちゃってさー、どこにいるか分かるか?」

「あー、あいつ猫だからそのうち帰ってくるだろ」

 いや、それじゃ困るんだけど。

「それか、発情期じゃねぇか? オスもしくはメスを探しに行ったとか」

 それも困る。いや、マジで困る。夢みたいになったら困る。

「うーん」

 どうしたものか。あいつも一緒に四天王を集めて、会議しないことには、最終の計画が練れないんだけどなァ。

「あああ……」

「ん? どうした?」

「いや、眠れてなくて……」

「そうか、そりゃ大変だ」

「でも、あと一日は徹夜しなきゃいけないんです」

「そうか、……そんな時はこれだ!」

「?」

「グリーンホエール~沈む沈む~」

「いやこれ、レ〇ドブルだよね? てか沈む沈むって何?」

「チっチェーことは気にすんな、ワカ〇コワカ〇コ!」

「そのネタ……知ってる人いるのかな」

「さあさあ飲んで!」

「えー……」

「ケイくんの! ちょっといいとこ見て見たい! そーれ」

「あーあーわかったわかった。飲むよ。飲めばいいんでしょ?」

「やったあああああああああ俺の自信作がついに飲まれる!」

「やっぱりオリジナルかよ……」

 いや、これ正直飲むのきついんだけど。お酒ではないようだが、なんか変なにおいがするし、シュワシュワいってるし。

「どうにでもなれッ! ごくごくぷはー!」

「どうだ! 目が覚めただろう?」

「こ、これは! ……高揚感が全身を包むッ! 幸福感で満たされる! グリーンホエールッ! 飲まずにはいられないッ!」

 やばいこれ麻薬だ← シオリとおんなじ手口だ。

「あ、ケイじゃんどうしたの?」

「シオリッ! 助けてくれ!」

「なんかキメてそうな顔だけど……目がすんごい見開いてるよ……」

 シオリ、今は引いている場合じゃないんだ。

「ツムギの野郎がオリジナルブレンドの混乱系ドリンクを渡してきやがった! チクショウ!」

「なにが畜生だ。目が覚めるだろ?」

 ツムギ、お前は黙らっしゃい。

「と、とにかくこのままだとまずいッ! シオリ、今すぐプレハブのあった本部へ戻るぞ!」

「えー……。俺はもうちょっとシンエンのそこら辺からカツアゲしときたいんだけど、資金調達だよー?」

「だからか! あれみんなカツアゲされたのか! 何やってんだよ」

「いいじゃん魔王軍なんだし」

「魔王でも仁徳は必要なの! それは『搾取』っていうの!」

「はいはい分かったから、ケイは本部に戻ろーね」

「話聞いてないだろ」

「ツムギ、後はよろしく」

「あ、ちょっとま……ツムギ、ひきずるなあああああああぬおおおおお魔王に逆らうとは許さん! きええええええおr」


「ぐはぁ……」

「ほれ、戻るぞケイ」

 くそッ、にこにこしてやがるこの鬼がッ! てか鬼だ()。

「ちくしょう! また缶詰だアアアアアアアア」



 それからというもの……地獄だった。

 ツムギにグリーンホエールを食事に混ぜられ寝られない。そして、どうせねられないなら 仕事しろと、ツムギが言う。逃げ出そうとしてもつかまり、戦っても負ける。……うん。これなんてブラック? いや、ブラックを通り越してダークだ。


「だああああずううううげえええええでええええええええええええええ」


 to be continued……

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