堪らなく、悔しい

当作品は時間を他の人間から切り離される事で、まるで世界に1人置いていかれたような孤独感を静かに感じられる。最高に感傷マゾに刺さる作風だ。
作者と私は少し前より面識があったのだが、当作品で彼の成長を見せつけられることになった。まず序盤、一風変わった世界観で個性を出しつつ、丁寧な描写で読者をその世界へと引きずり込んだ。現に私は読中、風呂に入る2秒前で全裸だったのだが、世界観に引き込まれ、両親に催促されるまで、全裸で読魅入ってしまった。そして中盤、グダることは無く、新鮮なままの寂しさを堪能させてくれる。青春を生きる情緒豊かな高校生でしか書けないもので、私は嫉妬してしまった。この作品の終着点に相応しい、何処までも静寂でいて感情的な、それでいて読者に自由を与えて考えさせる、そんな終盤で、思わずこの作品の虜にさせられた。

ネタバレを避けるために、ここまで抽象的な表現ばかりになってしまったことを、まず謝りたい。
しかしこれだけは素直に言わせて欲しい

私も「堪らなく、悔しかった」

是非一読をお勧めする
きっと残酷で何処までも不整合な世界に魅入ってしまうから





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