ホウジョーキ

ヤドン伊藤

第1話 だいたいこんな感じ

生放送っていま流れてるから生なんだよね。

YouTubeで観るのとライブ配信は別モノ。


どんだけ飲み会が盛り上がってても、そのうち家に帰りたくなるし、会社の飲み会に参加してそのまま徹夜で、仲良く皆んなで出勤なんてことはありえないわけ。


大学進学をきっかけに、一人暮らしデビューを果たした最初のワクワクした気持ちと、ボロ木造アパートにも通じる話かもしれない。


中学生の時、親が社長やってるらしいことで校内でも有名な金持ちの同級生。そいつも「社長」ってあだ名だったんだけど、同窓会で久しぶりに会ったら、家のローン残ってるし、会社は潰れたそうだから、代々続く名家というやつは、ほんの一握りなんだなって。


タバコの吸い殻をゴミ箱に捨てて全焼したタケシんも家あれば、父ちゃんが性犯罪で捕まって母ちゃんの実家に引っ越したアヤカん家もある。


人も同じで、同窓会のたびに髪の毛が薄くなってる野球部のレギュラー組に時の流れを感じる。お腹がたるんでない野郎なんて、クラスに1人いるかいないか。歳を取らないのは若くして交通事故で亡くなったヒトシくらい。いつもビクビクしながら横断歩道渡ってる。自分がいつ死ぬのか分かったもんじゃない。


アフリカの子どもたちのために募金活動をやってるテレビ番組の司会者が、

「今この瞬間も小さな命が失われています」

なんて熱弁していたけど、可哀想な人たちだなんて実感は全く湧かなかったし、正直よく分からなかった。

駅のホームで肩がぶつかった酔っぱらいのサラリーマンがどこから来て、どこに帰るのか心配だなんて思いやりようがないし、恋愛で悩んでるから相談に乗って欲しいってキョウコが、とどのつまり両親からネグレクトを受けてきたのが人間関係の原因だったなんて想像すら出来ない。人も家も色んなドラマがある。


SEXの経験が豊富でも、幸せな家庭を築くとは限らない。幸せな夫婦が、子供の性事情とか、恋愛とか育児で将来悩まないという保証もないみたい。小学六年生で童貞捨てたクラスのヒーローが、今は無職のゲイだったり、親の介護やってる実家暮らしの童貞もいたりするから。長い人生の中で、色んな人に出会ってきたなって、振り返りながら書いてる。


これからする話は、風の強い日にハロー警報が出たとかで小学校が休校になった時の話。

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ホウジョーキ ヤドン伊藤 @slowpoke_yaan

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