第33話 太陽系内地戦。その10

 俺はエンジンスロットルを少し引き、機体の速度スピードを上げた。


 宇宙飛行、つまり無重力状態での機体の操縦は超敏感センシティブだ。

 少しでもスロットルを引こうものならグンと速度は上がり、スティックを倒そうものなら機体はクルクル回転しだす。

 空気抵抗が全く無く、引力も見かけ上無いこの空間では少しのミスや力が大きな問題を引き起こす。


 多少訓練をしたとはいえ、これは実戦であり1つのミスも許されないし、イレギュラーだって起きまくる。


 現に実戦経験の無い第四艦隊の艦載機部隊はかなり敵にやられている。

 まあ実戦経験が無いのは俺も然りだが、やたら敵の技術が上手いと思うのは俺の気のせいなのだろうか⋯⋯、実戦で敵を過大評価し過ぎると上手く動けないと言うが⋯⋯、過小評価よりはマシだと思うし、これは敵の方が圧倒的に強いし多い。

 戦闘と言うのは基本数が多い方が有利。そして戦闘の継続はかなりヤバい。


「⋯⋯、てか何処からコイツら来たんだ?」


 思わず俺はその疑問を口に出す。


 自分で言っては何だが、確かにそうだ。

 どうして、コイツら居るのんだ??

『太陽系内地』は完全に太陽系防衛網の内側、安全領域と言われる場所な筈⋯⋯


 ワープも太陽のエネルギーによって空間が歪んでおり簡単には出来ない⋯⋯、てか出来ない筈だ。


「おい、ラノン、これ敵はこれだけじゃ無いぞ⋯⋯」


 その発言に俺はかなり自信が合った。


「は?これだけじゃないって⋯⋯、他にも来るってのかよ」


 ラノンが後ろからガンガン運転席コックピットを蹴る。


「そうじゃない⋯⋯」


 俺は機体の下に顔を向ける。

 ヘルメットのバイザーに映し出されているHMDにはしっかりと機体をすり抜けて下の状況が見えた。


「コイツら⋯⋯太陽が弱ってんの知ってんのか?」


 HMDには何も写ってないが確信が合った。


「こちらタイガー、Y軸上に敵がいるかもしれません!しかもステルス機!」


 そう言って俺は機体のヘッドを下にやる。


「ピッチダウン!」


 サイドスティックを思っきり押し倒して、機体はスっと下を向く。


「Yマイナスに行く!」


 若干視界が赤くなる。レッドアウト⋯⋯、脳に血が行きまくってるのか、どんどん頭が回る。


「おいぃ!!」


 また、ラノンがもがいてるのかガンガンとコックピットを蹴る。


 マイナスG、いつやってもこれだけは気持ちが悪い。


 真っ暗だった周りの景色が紅く染まり、HMDには『Warning── -G』と出ている。


 そして機体が下を向き、進路を変えるとすぐにピッチを少し戻す、そして俺はスロットルを思っきし引いた。


 ★ ★ ★


 どうも斑雪です。


 死んでます。


 解説はもう少し後にまとめてやります!

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