第23話

「何故、俺を呼び出した?」

「重要な話だ。お前は今、忍隊を飼っているな?」

「それが、何か?」

「忍隊を最初の命令通り、殺せ。」

「…何故?」

「理由なんてどうでもいいんだ。お前が気にすることではない。いいな?これまで通り、任務を達成すればいい。」

「忍は殺せない。」

「何故逆らおうとする?」

「忍は不老不死だ。」

「何を言っている。不老不死であっても問題ない。消滅させればいいんだ。簡単なことだろう?」

「忍隊は俺達に害を与えないと、わかったはずだ。標的は、伝説の忍だと!」

「忍隊は危険なんだ。特に、その長は。」

「何が危険なんだ。」

「長は転生を繰り返し生きてきた。表の歴史にも裏の歴史にも残るような、時代を歩き渡ってきた。」

「それがどうした。」

「長は全てを知っている。知っていてはならない事も。全てだ。その記憶の中には、我々にとって重要な記録さえある。その記録は歴史には語られない。記録されていてはいけないものだ。それを取り除く方法はない。」

「長が知っていて、何故いけない?」

「それが我らの弱みとして握られているからだ。それで脅されてはたまったもんじゃない。その記録は世に出てはいけない!長を殺し、記録が外へ漏れないようにするしかないんだ!」

「だが!長は転生するだろう!殺しても無意味だ!」

「転生する度に殺す。それだけだ!」

「なんだと!?それでも人か!感情は無いのか!何度も何度もそんなことの為だけに殺されなければならないのか!」

「そうだ!」

「ただ、知っているというだけで?」

「いいか、よく聞け。この記録は、この国を危険に晒しかねない。核戦争が起これば、国民は死に、この国は終わる!平和の為に、死んでもらう!」

「その記録が戦争に何故繋がる!」

「いいだろう。教えてやる。我らから一人優秀な兵士を相手国に紛れ込ませた。情報を探らせその帰還途中のことだった。そいつが、相手国に核を撃ち込んだ。当然、そうなれば敵対視される。戦争へ事が運ぶ寸前だった。我々はそいつを殺すことで我々の潔白を証明することにしたんだ。そいつを暗殺させたのは、忍隊の長だった。」

「…長?どうやって?」

「頼み込んだのだ。優秀な兵士を殺すのには優秀な奴でないと相手にならない。長は任務を達成し報酬を得たあと、姿を消した。」

「待て、ただそれだけの任務が何故、長を始末する理由になる?」

「優秀な兵士が核を撃ったわけではない。優秀な兵士を放ったのは我々だ。誤解を解く方法もない。わかるな?」

「だが、それは長が話を外へ出さなかったら済む話なんだろう?」

「絶対に他言しないと、どうして言える?不可能だ!」

「長に俺が命令をする。長は俺の声に逆らえない。」

「信じられんな。それでどうにかなるはずがない!殺せ!これは命令だ!」

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