第6話 What color is the color of underwear??!!



10分後、ようやくるるポートに着いた桐生家御一行(父不在)は、最初にランジュリー売り場へ向かった。


「さぁーてここは吉ちゃんが一生縁がないと思われていた場所で〜す!!」


母親は楽しそうだ。


「言われてみればその通りだな」


「だなじゃなくて!!お姉ちゃん外なんだから気をつけてよ〜」


このように男言葉を使うと妹がすかさずツッコミを入れてくる。確かに外で男言葉の金髪外人少女がいると周りの人間が驚くだろう。

もう車の中で10回以上ツッコまれたが、生まれてこの方16年使ってきた男言葉だ。

気をつけても自然に出てきてしまう。


だが、妹なりに心配してくれているのだと思うと、少し嬉しい。

めんどくさくて、いい迷惑だが。


ランジュリー売り場に入った俺は、その荘厳さに圧倒され、心拍数があがる。そして、しっかり女であるのに何故か背徳感を抱いてしまう。ランジュリーにはこんな力があったのか。

これ、クラスメイトに見られてたらどうするんだ?!

まぁ、誰も俺が桐生吉継だとは思わないだろうが。


「吉ちゃーん、何興奮してるの〜?」


「こ、興奮なんかしてないわよ↑」


なれない女言葉に声が裏返ってしまう。


「え〜お姉ちゃんあやしーー」


「どれか気に入ったのはあった?吉ちゃん」


母親が唐突に聞いてくる。


「ん?私が選ぶの?」


「当たり前でしょ〜う??吉ちゃんがこれから毎日身につけるものよ。お洋服はともかく。あっ、でも紐パンとかはダメよ..??」


「選ばねぇーよ!!」


周りの客が驚いて一斉にこちらを向く


「お姉ちゃん!!気をつけてよね??」


と言いながら妹は俺の袖をひっぱる。


まったく...俺はめんどくさくなったので、適当に黒の下着のセットをカゴにほおりこむ


「これでいいよ。」


その下着を見て母親は呆れた顔で言う。


「あなたのサイズでこんなの入るわけないでしょ??」


「え?!」


驚いて俺は下着のタグを確認する。そこにはAと大きな文字で書いてあった。


「お姉ちゃんは私に選んでくれたのよ多分...」


そう言うと妹は自分の胸(見事な絶壁)を撫で下ろし涙目になる。


「ま、まぁ、成長には個人差があるから気にしないの。」


母親がすかさずフォローを入れる。


「お姉ちゃん昨日まで絶壁だったのになんなのよ!?見た感じFは絶対あるし、お母さんもEだし。なんで私だけ絶壁なの?おかしいよ」


妹はもう泣きそうだ。


うむ、いたたまれない。


「お母さん。私どのサイズ?」



「私の脳がFカップって言っているわ。私の目に間違いはない。」


真顔で母は言う。


「なんの根拠があるんだよ?!」


そして、母はため息をつきながら、


「まさか息子に越される日が来るとはね〜。母さん胸だけが取り柄なのに...」


「なんかごめんなさい。」


「いいのよ、さぁ、選んで次行くわよ。」



俺はまた下着を物色し始めた。

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