第五章 天地創造
5-1
1日目、神は天と地を創造した。神は光と暗黒を分けて光を昼、暗黒を夜と呼んだ。
2日目、神は空を創り、空を天と呼んだ。
3日目、神は海と大地を創った。大地には草と樹を芽生えさせた。
4日目、神は太陽と月と星を創った。
5日目、神は魚と鳥を創った。
6日目、神は獣と家畜を創った。神は自分を型どって男(アダム)とアダムの骨から女(イブ)を造った。
アダムとイブはエデンの園で暮らした。
7日目、神の安息。
(旧約聖書【創世記】一章/天地創造)
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スカイランドから数㎞離れた西東京市のホームセンターの駐車場に黒いワゴン車が停まっている。
駐車場の横を救急車とパトカーが連なって通り過ぎた。サイレンの音が耳障りだった。
『ケルベロスをあのままにしておいてよろしいのですか?』
運転席にいるスコーピオンは助手席に置かれたノートパソコンの映像を観ていた。
画面にはスカイランドのリアルタイム映像が流れている。スカイランドの随所に仕掛けたカメラから送られている映像だ。
『構わない。手は打ってある』
後部座席で脚を組んで座る貴嶋佑聖の膝の上にもノートパソコンが載せられ、助手席のパソコンと同じ映像が流れていた。
貴嶋は携帯電話の着信履歴からある番号を選択した。通話相手はすぐに電話に出た。
『私だ。直にケルベロスがそちらに到着する。後は頼むよ』
{承知いたしました}
『それと警察庁の阿部と公安の栗山……あの二人は目障りだ。君の方で処理しなさい』
{申し訳ありません。阿部に関しては向こうのガードが固いもので……}
『阿部は警察庁……いや、国家公安委員会のホープだからねぇ。しかし栗山は君の管理下だろう? 宜しく頼むよ、
貴嶋は相手の名前を役職をつけて呼んだ。
笹本警視総監は貴嶋に何度も謝罪の言葉を述べている。最後は鬱陶しくなり笹本との通話を切った彼は溜息をついて煙草を咥えた。
高級なライターで火が灯される。
『笹本もせっかく
『あの男は所詮は二流の操り人形ですから』
『もっと出来のいい人形かと思っていたよ。残念だ』
貴嶋は細く紫煙を吐き出してパソコン画面を見下ろした。早河仁が香道なぎさに支えられて救急車に乗り込む映像が流れる。
『……だが早河くんには面白いものを見せてもらった。とても愉快だ。彼の勇姿に敬意を表して今回はこれでよしとしよう』
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