なろう系主人公最強決定トーナメント

鷹司鷹我

開会式

 こんにちは皆さん。突然ですが、あなた方には今から『殺し合い』をしてもらいます。異論は認めません。異論を挟んだ場合、失格と見なし命を徴収します。


 これから行われるのはトーナメント方式の殺し合いです。方式への異議は認めません。異議を唱えた場合、失格と見なし命を徴収します。


 『何故そんなことをしなければならないのか?』と疑問を覚える方もいるでしょう。もちろん、思ったところで拒否権はないのですが、一応そういった方々のために説明をさせていただきます。


 この戦いを企図されたのはあなた方の創造主、つまり神です。

 神は考えられました。『数ある異世界の中から“主人公”と呼ばれる者達を集めて戦わせたら、一体誰が生き残るのか?』と。


 “主人公”とは本来、その世界の中心であり、その世界”そのもの”と言っても良い存在です。そんな彼らを集め、戦わせたら、一体どうなってしまうのか?


 本来一つしか無いはずの世界の中心主人公を、いくつも集めるという混沌。それを生き残った者は―蠱毒がそうであるように―より洗練された“中心主人公”となるのではないか?

 神はそうお考えになられたのです。そうしてこの『主人公最強トーナメント』が開催されるに至りました。


 もちろん、あなた方に『タダで戦え』などと言うつもりはありません。優勝した暁には、その方の望みを全て叶えて差し上げます。全てです。

 永遠の命、金、名誉、愛・・・例えそれがどんなモノであったとしても、必ず叶えて差し上げます。



 それではご理解いただけたようなので、ルールを説明させていただきます。

 ルールは次の6つです。


①全参加者数は8人である。


②トーナメント方式で行う(全三回戦)


③戦いに制限時間はつけない。どちらか一方が死ぬまで続けてもらう。


④死んだ場合、死体だけを元の世界に帰す。


⑤参加する主人公の中には明らかに戦いに向かない者もいるため、その者には特別措置として戦闘用の特殊能力を与えることにする。


⑥トーナメント外での戦闘はその一切を禁止する。違反した場合、命を徴収する。


 以上の6つがルールです。上記を満たす範囲でなら、どんなことをしてもらってもかまいません。


 これで、『主人公最強トーナメント』についての説明を終わらせていただきます。それでは、皆様の健闘を期待しております。



<参加者紹介>


 [黒宮 治棘](悪役令嬢)

『転生したら悪役令嬢だった』系小説の主人公。5年前、突然異世界に飛ばされ、気がつくと恋愛ゲームのキャラクター、それも悪役令嬢の属性を持つヒロインになっていた。しかも『主人公の心を自分のものに出来なかったら死ぬ』という条件付きで。彼女は生き残るためにあらゆる手を尽くしたが、しかしそもそも”報われない”ことこそが悪役令嬢の特性であるので、それらの努力は全て徒労に終わった。結局、最終的に彼女は主人公の男を殺害し、その心臓をえぐり出すことで、彼の心を自分のものとして、生き残った。

ただの人間である彼女は今回のトーナメントでは明らかに不利なので、特殊能力を与える。


 [ベルモット・アンダーグラウンド](魔王)

『転生したら魔王だった』系小説の主人公。通り魔に殺されて、気がつくと魔王として転生してしまっていた。魔王であるため当然、勇者や賢者と言った人間達に命を狙われたのだが、彼女は「二度も死んでたまるか!」と必死に抵抗し、気がついたときには勇者や賢者はおろか、その世界の人類を滅亡させてしまっていた。今は、人類を滅ぼしてしまった罪悪感に苛まれながらも、魔族の王として世界を統治している。


 [ヴァイス](骸骨スケルトン

『スキルが覚醒して最強となった』系小説の主人公。ダンジョンを探索していた最中に、財宝に目がくらんだ仲間達に殺されたが、しかし何者かに死体復活魔法ネクロマンスをかけられ、骸骨スケルトンとして生き返った。死体復活魔法ネクロマンスの影響か、生前は他者の成長を助けるだけだったサポート魔法『成長促進』が覚醒し、他者だけでなく自分の成長も促進できるようになり、またそれにより、『成長促進』の魔法そのものも成長して、他者の身体を成長過多によって老いさせる『強制老化』の魔法が使えるようになった。


 [城ヶ崎 レン](軍師)

『過去にタイムスリップして歴史知識で無双する』系小説の主人公。信長がまだ生きていた頃にタイムスリップして、光秀の謀反から救い出し、信長に天下統一をさせた。明らかに戦闘力不足なので、特殊能力を与える。


 [ヴィーラ・ウェントフォッフ](魔法使い)

『転生を繰り返して最強の魔法使いとなった』系小説の主人公。これまでに計4000回転生しており、およそ30万年の時を生きた。しかし本人はもう生きる事に飽いており、終わりのない転生に絶望している。今は赤髪青眼の幼女の姿で転生している。


 [ティムシー (本名:ウィリアム・ジェーン)](不死者)

『転生したら不死身になっていた』系小説の主人公。元々は気弱な性格で、身体も貧弱だったが、しかし転生した際に、魔法によって不死身の身体となった。しかし、不死者となってからは性格が急変。「自分こそが世界最強だ」という考えにとりつかれ、それに応じて態度も横柄になっていった。現在、自分と対等にやり合える敵を探して世界を放浪中。


 [壇際だんざい 沙津樹さつき] (シリアルキラー)

『バトロワ系デスゲームに強制参加させられた』系小説の主人公。ごく普通の女子高校生だったが、あるとき突然デスゲームに巻き込まれ、100人の内最後の1人しか生き残れないというバトルロワイヤルをすることになる。始めは人を殺せず窮地に追い込まれた彼女だったが、ある事がきっかけとなり覚醒。一人で30人以上のプレイヤーを殺害し、見事生き残る。このときから殺人衝動に苛まれるようになり、三度の飯より戦いを好むようになった。

実力はトップクラスだが、それはあくまで『武器があった場合』であり、素手で戦えば彼女に勝機は無い。よって特別措置として『自由自在に銃器を出し入れできる』能力を与える。


 [氷賀 キリヤ](英雄)

『転生したら超能力を持っていたので世界を救った』系小説の主人公。『百年戦争』と呼ばれる戦争が続いていた世界に、超能力サイキックを持って転生させられた。転生後、彼は戦争に明け暮れる異世界の国々を歩いて回り、『言葉の力』によって世界を平定した。世界が平和になった後は、田舎で細々と暮らしている。女性経験無し。現在婚活中。

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