第7話 女神様がいるそうです!

 俺の部屋は六畳の普通の部屋だ。

 窓があってカーテンがかかっている。

 学習机は小学生の頃から使い続けているものだ。一応辞書類は揃っている。


 引き出しはごちゃごちゃしているが、文房具やキャラ物のグッズ、そういうものが詰め込んである。


 サイドの大きい引き出しは学校の物が詰めっぱなしだ。小学校の時の絵の具セットとか習字セットとか。


 ベットはシングルサイズ。敷布団と掛け布団。薄い毛布が1枚とまくら。

 ベットの下はマンガが詰まった引き出し2つ。(敷布団とベットの隙間に女子には見せられない本)


 本棚は1つあるが、よく読むマンガと教科書。使わないノート類。古いゲーム機。1番下はプリント類を放り込むダンボールがセットされている。


 本棚の上はあまり使わない運動用品が置いてある。


 クローゼットの中は洋服ダンスとダンボール。

 服はともかく、ダンボールの中は本と小学校以来のガラクタだ。父親と行った釣りの道具なんかも入っている。何年まえの話か?

(まぁ母親は宝物箱って呼んでたな)


 あとは?


 ラグとかハンガー、そんなもんか?


 食べ物もっと買ってくりゃ良かったな。まさか異世界に行くとは思わなかったもんな。

(事前にお知らせが欲しい)


 こうやってみると戦える武器が無い事に気がつく。木刀くらいあればな…ん?木刀?


 あるあるある!小学校の修学旅行で買ってきたヤツ!

 でも木刀であの黒い狼に勝てる気はしない。


 俺にスキルがあれば!


「ヒロキ、どうしましたか?」


 カリンの声に我に帰る。

 そういえば、カリンはあの狼たちのことを闇の魔物の眷属けんぞくだと言っていた。


「あのさ、俺この世界に来たばっかりでよくわからないんだけど、闇の魔物ってどんなの?」


「はい。私達をお守りくださる銀の女神・フォリアと諍う闇の勢力の者達です。姿形は違えども、黒き雷雲と共に現れるのです」


「銀の女神…」


 その女神様なら闇の魔物を倒せるのだろうか。


「はい。女神様の御力おちからは銀に宿ります。それを使う事で闇を払うことができるそうです」


「なるほど。銀の武器があればいいのか」


 俺がそう言うとカリンは顔を伏せた。


「ヒロキ、銀は高価なものです。殆どの銀は都市を守るために使われて、このような田舎にはなかなか…」


 そうだよな。

 人口の多い方を守るよな。

 王様とか貴族とか、優先されるんだろう。


 カリンは胸元から小さな首飾りを出した。それはホント粗末な作りで、細い紐の先に彼女の小指の爪くらいの銀色のチャームが付いていた。


 チャームは鳥の形をしていた。

 ツバメだろうか?


「女神フォリアの御守りです。村の唯一の御守りを持たせていただきました」


 待てよ、銀で出来ているならコレを増やせば武器を加工できるんじゃないか?


 つづく

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