第7話 うちわ

『桜雪…暑い…』

 今年もすでに猛暑の予感満載。

 6月を前に寝苦しい夜が続いている。


 エアコンが嫌いなチョビさんに合わせて、冷房は入れないようにしている。

 ソファで横になるチョビさん。

 暑いので、とりあえず団扇うちわで扇ぐ。

『……桜雪…パタパタなに?』

 チョビさんジーッと僕を見ている。

「チョビさん、涼しいですか?」

 チョビさんをパタパタと扇いでみる。

 ゴロゴロゴロゴロ…

 チョビさんが静かに喉を鳴らす。

「気にいったのか?」

『桜雪…パタパタいいね』


 そんなわけで…僕は自分は、まったく涼しくないまま、団扇うちわを扇ぐ係りになったのである。

「汗かくっての…」

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