再会

バキューン!


一発の銃声が鳴り響き、銃弾はさとるの胸を貫いた。

「うあっ!」

「さとくん!!」

「さとくん、しっかりして! さとくん!」

瑠璃はぽろぽろと涙を流している。


「ヴァイオレット! お前、勝手に何をする?!」

半蔵は怒ったようにヴァイオレットの方を向いた。

「その小僧のでまかせで、間宮コンツェルンを潰すおつもりですか、社長」

「はあ・・はあ・・ でまかせなんかじゃ・・ ない・・・。」

そういって、さとるはドサッと床に転がった。

「さとくん、しっかりして! さとくん!」


るーちゃん・・・。なんて悲しい顔をしているんだ・・・。なんだか意識が・・・。


「いやだよお、さとくんしっかりしてよお!!」

その時だった。

「瑠璃!!」

「るーちゃん!」

誰かが瑠璃を呼ぶ声がした。

瑠璃が泣きながら振り返ると、そこには、ずっと会いたかったパパとママが立っていた!

「瑠璃、大丈夫か!」

「るーちゃん!」

「あ・・・あ・・・。パパ! ママ! あたしの本当のパパとママだ!」

「会いたかったぞ、瑠璃」

「るーちゃん、会いたかったわ」

「パパ!! さとくんが、さとくんが!!」

「落ち着け、瑠璃」

パパはそう言うと、ドクターCを呼んできた。

「幸い、急所は外れています。出血がひどいですが、二週間ほどで、よくなるでしょう。早く病院へ!!」

「分かった。ドクターC、さとる君を頼む。」

その時、さとるが弱々しそうに、瑠璃のパパにこう言った。

「新堂さん、今度こそ・・るりちゃんを幸せに・・。」

「ああ必ず。ありがとう、さとる君。瑠璃が無事だったのも君たちのおかげだ。礼を言うぞ。」

パパはしっかりと頷いた。


そのすぐ後、武と圭二が追いついた。

「さとくん、あとは俺らがさとくんの分まで戦ってくるわ。」

「さっきのさとくんの態度は立派だったよ。えらかったな。」

「二人とも・・。」

「北条さんたちも無事や。元気になったら、今度こそ本当の親友としてよろしく頼むぜ!!」

さとるが最後に覚えていたのは、二人のこの言葉だった。

こうしてさとるは意識を失い、救急車で病院に運ばれた。


「一部始終は聞いた。敵は間宮じゃない、影で操っているヴァイオレットの方だ。協力してくれるな、皆」

「行くぞ!!」

「おー!!」


それからさとるが目覚めたのは、三日後の事だった。

「さとくん、目、さめた?」

「るーちゃん・・。」

「さとくん、大丈夫か。」

「心配しとったんやで。」

武と圭二も声を掛けた。

瑠璃のママが、

「この子達、三日間付きっ切りで看病してたのよ。」

「平気だよお」

瑠璃が眠そうに言った。

「さとる、よくやったな。内気なお前がここまでやるとは思わなかったぞ。」

さとるの兄が駆け付けていた。

「兄貴・・・。」

なんと、エドワード博士とハロルドちゃんも病院に駆けつけ、こういった。

「元気になったら、時々私の研究を手伝いに来てくれるかい?さとる君」

「やろうね、お兄ちゃん」

「はい、喜んで。」

さとるは笑顔で答えた。

「早く元気になってね。」

瑠璃は心配そうにさとるに言った。

「ありがとうるーちゃん、もう大丈夫だよ・・。」

さとるは笑顔で瑠璃にそう言い聞かせたのであった・・。


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