第15話~制圧作戦 後編~

衛星軌道上にステルスで身を隠しているカルヴィオ戦艦の内部でアイルとその部下らしき2人がA国を映し出すモニターを見ながら話をしていた。


「アイル様・・始まりましたな・・」


「予定より早く始められるなんて地球人は意外と賢いですな」


「これで大量の黒水晶が手に入る」


そんな会話をしていた。



降下地点から聖法を使わず2つ目の街までは住吉の死法だけで対応出来たが、目的地の手前数キロの場所で人間GBに囲まれていた。


そして遥達はここで聖法を解禁して突破を試みようとしていた時だった。


アメリカの国旗が書かれた装甲車3台がGB達を踏み倒し機銃を撃ちながらGBを排除し始め、その内の1台が遥たちの前で止まり装甲車の上部が開き一人の女性が現れた。


そして遥達を見ながら。


「チームアメリカのドリンだ・・そっちはどこのチームだ?」


さらに住吉を見つけると指差しながら


「ん?結衣ゆいが居るって事はチームジャパンか?」


女性がそう言うと住吉は両手をジタバタさせながら装甲車に近づき何やらドリンと話し始めた。


「ドリン、今は結衣じゃなくて住吉白亜って事になってて・・」


小さな声で話す住吉に対しドリンは大きな声で。


「結衣?そうなのか?それより白亜は元気してるか?・・・事情は後で聞くとして・・まずはここから脱出しよう」


ドリンはそう言うと別の装甲車に指示を出した。



目的地の見える丘まで待避したチームアメリカとチームジャパンは共同で作戦会議する為に集まって話をしていた。


「とりあえずこれが目的地のドームで入り口は3箇所あるが正面以外は塞がれた状態で、ドーム周辺には人間GBが隙間無くいて・・さてどうしたものかと話してたらGBの一部が移動を開始して見ていたら結衣達を発見したんだ」


ドリンが説明をしていると住吉が小さな声で


「だから住吉白亜だって・・」


そう言うとドリンはため息をついてから


「姉の天羽響子と違って面倒だな妹の結衣は・・」


それを聞いた遥と内川は「えー!先輩の妹!」と声を出してしまった。


少し間を置いてから結衣は話し始めた。


「そうよ、私は天羽響子の妹の天羽結衣・・事情があって住吉白亜の名前を借りて参加していた・・・大和さんにバレたくなかった・・・それと折原さんに会う為に・・」


「私に会うために?」


遥がそう答えると


「そう、この作戦が終わったら話があるから・・」


結衣がそう言ったところでドリンが2人に割って入って。


「話はそこまでで、まずは作戦を終わらそう」



そして決まった共同作戦、チームアメリカが装甲車3台で入り口まで道を作りチームジャパンがドームに突入する事となった。


「対GB用の残弾も少ないし、まだ元気な結衣達に中は任した」


ドリンがそう言うと作戦が始まった。


3台の装甲車が横に並び走り出し、その後を遥達が走りだした。


最初は順調に道が出来ていたが、周囲にいた人間GB達が一斉に入り口方向に動き出し装甲車をブロックし始め装甲車のスピードが落ちていった。


それを見ていた結衣はチームジャパンを手で制し集めて話始めた。


「このままだと装甲車が止まりチームアメリカが危ない・・」


結衣は少し考えてから内川に何やら身振り手振りしながら話をした。


「内川さん2人が通れる半円でいいから出来る?」


「量が足りるか分からないけど任せて」


作戦はこうだった、結衣が死法で残りの道を作り内川が作った半円の筒を入り口に置き遥と真城でその中を通りドーム内に侵入する、結衣と内川はアメリカと共同で入り口の確保。


「ドリン聞こえた?」


結衣が無線で話すと。


「了解した、結衣の負担を少しでも減らすのに装甲車で行ける所まで行く・・後退したらそれが合図だ・・無茶するなよ・・よーしチームアメリカの意地を見せろ!」


ドリンがそう叫ぶと止まりかけていた装甲車が少しずつ前に進みだし入り口まで100m位の所で完全に停止して急速後退を始めた、それを見た結衣は装甲車の前に出て、内川は聖法でケチャップ色の筒を作り始めた。


結衣は黒い剣を抜き大きく息を吸いそしてゆっくり吐きながら八双の構えをすると死法を唱え始め内川が筒を完成させるのに合わせてゆっくりと袈裟切りをした。


ゆっくりと振り下ろされた剣先から黒い三日月が整形され振り下ろすのと同時に勢いよく飛び出しGB達を切り裂きながら道を作り入り口で消えた。


「内川さん」


結衣がそう言うと内川は筒を移動させて入り口からの通路を完成させた。


「折原さん、真城さん」


結衣に言われた2人は筒に入りドーム内を目指した。


2人が入るのを見届けると結衣は方膝を着いて肩で息をし始め、それを見ていたドリンは装甲車で結衣を守る様に展開しながら


「まったく、無茶しやがる」と言った。


筒を抜けた遥と真城は何体かのGBを倒しドーム内に辿り着くとA国の首相が立っていた。


遥と真城が近づくと男は口を開きロボットの様に話し始めた。


「地球と言う名のこの星は我々の餌場となり・・ここを拠点とする・・無駄な抵抗は止めて食われろ・・」


そう言われた遥が怒りに震えながらGB化したA国首相に指を差しながら。


「ちょっとアンタ!【そこ】を何処だと思ってるの!」


「そこ」を強調しながら言った遥に続けて真城が遥を真似して可愛い猫の手で指差し。


「そうだ、私達を誰だと思ってるにゃ!って・・そ、そこ?どこにゃ?」


真城がそこと言われた場所を見てから遥を見ると既にバットを片手に立っていた。


「神聖なグラウンドを・・しかもマウンドに立つなんて・・絶対に許さない!」


「えーそこにゃ?」


真城は理解に苦しんだ



そう、ここはA国にあるドーム型球場で当然ではあるが遥にとっては神聖な場所であった。



真城が理解に苦しんでいると遥は複数の爆弾球を宙に出現させると


「必殺100本ノック」


そう言いながら次から次へと爆弾球をGBに向けて打ち始めた。


遥が攻撃を始めると真城は理解するのを止めて自己バフの聖法をかけ物凄いスピードで遥の放った球の間を抜けてGBに接近戦を始めた。


思った以上の攻撃にGBは喋る為に入っていた身体を捨てて元の霧の状態に戻り反撃を始めた。


元の状態に戻ったGBは東門に現れるGBとは違い再生をしていた。


真城の攻撃は空を切り、遥の爆弾も爆風で少ししかダメージを与えられなかった。


そんな状態が続いた時に遥達の後ろから結衣の声が聞こえた。


「そのクラスのGBは霧内に高速で移動する小さな水晶の核がある、それを破壊しない限り倒せない」


遥が声の方を見ると剣で身体を支えて壁に寄りかかっている結衣の姿があった。


言われた遥はGBを見るが水晶の核らしき物は見えなかった。


「結衣さん、核なんて見えないよ」


すると近接戦をしている真城が


「さっきからちょろちょろ動いてて気になってるのがあるけど・・それかにゃ?」


「真城さん見えるの?」


「さっきからそれを攻撃してるけど早くて当たらないにゃ」


遥は考えた・・私のバットと爆弾ボールと真城の動体視力に核を越えるスピードがあれば・・


そして閃いた!


「真城さんちょっと時間を稼いで」


「うにゃ?」


遥は時間をかけてバレーボールサイズの球を作りだし宙にうかせその前の地面に線を引いた。


「これでよし、真城さんこの線の上に立って」


言われた真城は宙返りをして線の上に着地した。


「これでいいにゃ?」


「真城さんここからでも核は見える?」


言われた真城はGBをじぃーっと見ると。


「見えるにゃ」


遥は作戦を手短に話すと


「後は真城さんに託す」


そう言われた真城は


「夕貴のスピードに爆弾の威力を足して核のスピードを上回る・・なるほど・・それと折原・・夕貴でいいにゃ」


「私も遥って呼んで」


「遥、OKにゃ」


「タイミングは夕貴に任す」


遥はそう言うと大きな球を真城のお尻ピッタリくっ付け、真城のタイミングを待つ間通常の球で弾幕を張りGBが近づけない様にしていた。


そして真城の合図が来た。


「今にゃ!」


遥はバットを飛び出した真城のお尻目掛けてフルスイングをした。


「いっけーケツバットブースター」


「ケツバットブースター?」


真城がそう思った時にはお尻の球が後ろ方向に爆発して真城を物凄い勢いで押し出した。


GBに向かって打ち出された真城は涙目で「うにゃーーー」と叫びながらも目標の核を破壊した。


そして核を破壊されたGBは消散して消えてしまった。


遥が「やったー」と言おうとしたが、勢いそのままで外野フェンスに突っ込んでいく真城を見つけ慌ててフェンス側に爆弾を設置し爆発させて真城を助けた。


「夕貴大丈夫?」


「目が回って遥が沢山いるにゃ」


遥は真城を背中に乗せ結衣の所まで来ると。


「折原遥・・無茶苦茶だがこれで地球は救われた、外は他の国のチームが到着して制圧戦をしている・・本当は別の話があるのだがそれはまたの機会にしよう」


結衣はそう言うと死法を唱えその場から居なくなってしまった。



遥が外に出ると聖銃こと大和美佐が巨大な注射器を2本抱えて派手に暴れていた。

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制服と私服(聖服編) 肉まん大王(nikuman-daiou) @tkibook2

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