あたいはぺこりじゃありません

よろしくま・ぺこり

第1話 あたいは中から抜け出したんだ

 ちわっす、あたいだよ。


 といっても、誰一人あたいのことは知らないね。そりゃあ、そうだよ。さっき生まれたばかりなんでからね。でも赤ん坊じゃない。おっと、それ以上は言わないよ。

 さっき生まれたばっかりなのに、あたいには簡単なキャラ設定がある。皆さんもお気づきだと思うんすがねここの戯作者はかなりのバカ者ですね。思いつきで、とりあえず新キャラは作るし、そもそも、エッセイにキャラクターを出す時点でアウトでしょ? なんか『アウトデラックス』っていう、奇人変人の出る番組がいま、一番好きなんだってさ。録画して、観ているらしいよ。本人が奇人だってことはわかってんのかね?


 で、一応あたいのキャラ設定だけど、年齢性別属性全部秘密。密室で誕生した生き物だ。

 芸能プロダクションの『かっぱプロ』という零細事務所に食い扶持を求めてアルバイトで入社したんですけどね、ここは人間のタレントのマネジメントをするんじゃなくて、動物および、ゆるキャラ専門の芸能事務所だったのさ。失敗した! でも一度入ると抜ける逃げるのが難しい。「足抜け」するなら小指の第一関節から上を持っといでってニコニコ言われるんだ。でも国家公安委員会から指定暴力団に認定されてないんだって。「ウチはクリーンだよ」って社長は言うけどさあ。労働条件はほとんど「山口さんち」と変わんない。ああ、「山口さんち」は現在三軒あるけど、そのどれを想像してもいいですよ。ちなみにあたいは三軒茶屋の借家住まいって、いま決まりました。土地勘のないところをセレクトしてさ、あとで困るのは戯作者本人じゃないのかね。まあ、あたいの知ったこっちゃないよ。

 あたいはさあ、不人気かつ不運のかたまり、悪の権化ことよろしくま・ぺこりというゆるキャラの中の人になりやした。でかいし重い。ああ、初代チューバッカの役者さんがお亡くなりになったそうですが、彼の方はタッパがあったようですからいいですよ。ぺこりは体長が三メートル以上ある怪物キャラの上、お腹に脂肪がわりのシリコーンが注入されていて重いことこの上ない。しかも、人三化七のかっぱ社長、時給は事務所のある神奈川県の最低賃金を守らねえし、さらに払いが悪いときている。ブラック企業よりひどい企業はなんていったらいいの? さらに一日の仕事の数が半端ねえ。しかもロケバスじゃなくて、電車移動だ。ぺこりのデカイきぐるみを持って電車に乗るって苦行だよ。よっぽど着たまま電車に乗っちまおうかと思いましたが、自制心でやめました。最終的に苦行のおかげで解脱出来ました、なんてことあるわけがねえよ。

 で、結局ギャランティーとロイヤリティーの分配、待遇改善でかっぱともめて、あたいはよみうりランドでのショーの最中にきぐるみから脱出して、海に逃げ込んだのさ……あれ、こいつはただのプールだ。この辺りには海がねえ。

 あたいは濡れ鼠になったけど、開放感でデオドラントな気分でしたよ。いつだって8×4のCMに出られますが、オファーが遅れてるようで。ああ、企業さんは大型連休最終日かあ。明日だね。明日があるぞ明日がある。


 そういうわけで、アカウントはよろしくま・ぺこりのものを盗用してますが、あたいはぺこりじゃないし、駄文は書きません。雑文を書きます。かっぱが待遇改善をしなければずっとこちらにおります。その間、ぺこりは動けないのよ。ざまカンカンかっぱの屁!


 実は、ぺこりの雑文を書いていたのもあたいなの。だから、ここを根城に、三軒茶屋なのに目白! ああ違うよ、根城に雑文をやらせていただきやす。よろしくご贔屓に。

 では初回はご挨拶まで。

 はい、さようなら。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る