280字の番外編『未来からの笑顔』

「久しぶり。元気そうだね」

 成人女性が一人、私の前で立ち止まった。

 ──なぜだか、知らない人のような気がしなかった。

「私はね、未来の君なんだ」

 その言葉に、不思議なほど納得がいく。顔つきや細かいホクロが、私とよく似ていたから。

「ねえ……私は、この先どうなるの」

 募る不安に任せて、彼女に詰め寄る。

「私の友達は? 家族は? この国は……この世界は、どうなってしまうの!?」

 震える私の手を、大人になった私が、微笑みながらそっと握る。

「大丈夫。きっとそんなに悪くならないから。……だから生きて、自分の目で見てごらん」

 そう言う未来の私は、ちゃんと、笑えていた。

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