22日目『変わらないふたり』

 高所特有の強い風に吹かれて、彼の髪が散っている。

「なんか、屋上って好きだな」

 僕のことも、過ごした日も、全部忘れてしまった彼が呟いた。

「空って、どんどん変わるから面白いじゃん」

 昔と同じことを、言った。

 僕は変わらずに、隣でそれを聞くだろう。

 きっと、何度彼の記憶が消えても。

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