第27話 調停の真実

 やはり、噂に聞いた通り。

 調停は訴えてきた人の言い分を聞き、相手の代弁者であるかのように、調停員が接してくるものらしい。


 わたくしは、最初に母に注意したし、調停員に建築家がいるのはなぜか、それは建築の素人に建築のプロのなんたるかをわかりよく「説得」するためであると、言いきかせたのだが、実際にそういう目に遭わないと、母は思い知らない。


 まあ、実際あった話。

 調停員「業者さんは確かに後から増額してますが、まあ、確かに仕事の進め方はいまいちだったかもしれませんが、いくらくらいなら払ってもいいとお考えですか?」

 という調子。


「訴え人はこういってるが」「おまえどうなんだ」、という具合。

 訴え人の立場でブツブツ言われて、それで30分がすぎてしまったようだ。

 だから言ったのに……と思ったが、言わないでおいた。


 女の言葉で、「ねー!」「だよねー!」「でっしょー?」とやっておいた。

 母の気が休まることを祈る。

 わたくしは、動悸がひどいので夜間病院へいったら、不整脈が見つかり、循環器科でちゃんと診てもらうように言われた。業者の所業と無関係ではないと思われる。


 血液検査をしたら、また白血球が増えていた。

 医者は「熱はないですか」と聞くのだが、「ストレスでも白血球は増えると聞きましたが」と言ったら、「そうです」と返された。業者のせいで、わたくしは常時ストレス下にいる。(書類をまとめているだけで、あの夜中のしつこいメールを思い出し、動悸が始まる)


 いい迷惑だ。

 母は、相手の出方を見ると言ってるが、そんなんではわたくしがダウンするって言ってるのにー! いい加減に家族が消耗するから、弁護士をたてて決着をつけて欲しい。母は牛のようにのんびりしている! 寿命が縮まるというのだ! なんとかしてくれい。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る