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 コンビニの場合、独自のラジオ放送等を展開するケースもあるが、スーパーではそうもいかない。


 店内BGMにしても、ある音楽著作権を管理する団体に使用料を払ってBGMとして利用するケースが多いだろうか。


 しかし、何かを狙ったかのように芸能事務所が余計なお世話と言わんばかりのキャンペーンを行い、その宣伝費用を楽曲使用料で――という事実は各地に拡散した。


 ソレに先手を打ったのは草加市であり、ソーシャルミュージックを草加市で流す際には全面的にバックアップを行う事になったのである。


 ソーシャルミュージックと言うと、どうしても若者向けというイメージが強いのだが、中には癒し系や演歌と言った物を発表するアーティストも存在した。いわゆるマイナーアーティストとは違うとも明記している資料も存在するのだが、真相は分からずじまいだ。


 若者文化の特定層にしか支持されない楽曲を――というイメージも、おそらくは特定芸能事務所の指示を受けたまとめサイトによるイメージ戦略だろう。


 だからこそ、草加市では様々な誤解を解く為にも全面バックアップを決めたのかもしれない。


【草加市は超有名アイドルからの脱却を図っているのか?】


【特定芸能事務所からの支配と言われがちな音楽業界、そこから脱却しようとしているのかも】


【CDランキングでは、どう考えても特定芸能事務所の独占は避けられない。だから、ソーシャルミュージックに手を出したのか?】


【そこまでは分からない】


【草加市に何の得があるのだろうか?】


【損得勘定で動くのは、それこそ便乗商法狙い等の連中だけだ。そう言った物を目当てで動いていないからこそ、評判も変わってくる】


 SNS上のつぶやきでも言及されているが、草加市は単純な損得勘定で今回のバックアップを行っている訳ではない。


 ただし、その裏に例の商業施設のアピール狙いが全くない――と言えば、嘘になるとSNS上では指摘される。


 もしかすると、そちらをアピールする為の活動の一つともまとめサイトでは言われ始めているのだが、完全に出遅れた為に取り上げたまとめサイトが炎上する始末だ。ある意味でも情報が正しい物なのか確認するべきだった――と言えるかもしれない。



 あの時に敗北したヤルダバオト、それはSNS上で言及されていた人物なのか? それとも別人なのか?


 最低でも、あの場にいた者たちは本物と認識している。しかし、どういった意味で本物なのかはまとめサイトでも情報が錯綜していた。


 以前の動画が無加工でアップされ、そこから様々な情報を追加して拡散しているようだが――どちらにしても、それを鵜呑みする様な勢力は少ないだろう。


 鵜呑みにしてガーディアンに検挙、SNS炎上罪というありもしないような罪で捕まってしまう状況がエンドレスで続く。


 一体、何処までこのマッチポンプは続くのか? 真相を知っているような人物はいる訳がない。誰もが、そう思っていた。


『そう言う事なのか』


 あるまとめサイトの考察を見て、半分は疑問を持っていたのは――黒いレッドダイバーと言えるようなARアーマーの人物だった。


 声もボイスチェンジャーで男性声になっているようである。一体、何者なのか?


『全ては、ヤルダバオトのマッチポンプと言う説は正しいだろう。しかし、この書かれ方は――明らかに炎上狙いか』


 サイトを見ている場所はアンテナショップ外だが、見ている手段はARメットである。


 確かにARメットにはバーチャルアバターを見る事が出来るアプリ等をダウンロードする事が可能であり、それだけで独立したガジェットだが――。


 口調に関しても何かおかしな個所はあると思うが、その程度では周囲の人物が疑う事はないだろう。


【アレもレッドダイバーの便乗か?】


 SNS上で写真と共にあった、このコメントが波紋を呼ぶ。確かに形状はレッドダイバーのソレと似ているだろう。


 しかし、黒メインと言うカラーリングに加え、細部が明らかに違う個所もある。それを踏まえると、便乗とは言い難い。


 この場合はレッドダイバーのアバターパーツを使いつつも、別のアバターと言う扱いと考えている可能性が高いだろう。

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