桃太郎24時

空閑漆

警部と部下のやり取り

「包囲完了しました!」

「現在犯人は金を盗み、仲間と共に立て籠もっています」

「それで、犯人の特徴は?」

「桃から生まれたという桃太郎です」

「ほう、えらく変わった奴だな。仲間は何人だ」

「え、人で例えるんですか?」

「当たり前だろうが、仲間だろ? 人だろ?」

「人なんでしょうか? 望遠鏡で中の様子が見えると思うので、一回見て貰えますか」

「何だお前は、説明も碌に出来ねえのかよ。早く双眼鏡貸せ!」

「はい!」

「……ありゃあ、犬だな」

「ですよね」

「隣に見えるのは猿と雉か」

「ですよね!」

「で、仲間は何処だ?」

「犯人が言うには、その三匹が仲間です」

「どう考えても仲間じゃねえだろ」

「それが、きびだんごで仲間にしたと言う情報が……」

「きびだんごでだと? まあいい。取り敢えずきびだんご買ってきて動物だけでも引き剥がせ」

「それがただのきびだんごじゃないらしいです」

「どういうことだ?」

「犯人には育ての親がいまして、その親が特別に作った物らしいです」

「じゃあ、その親に作らせればいいじゃねえか」

「実は犯人が立て籠もっているのが親の家でして……」

「親を人質に立て籠もっているのか。こりゃあ、生粋の悪だな」

「警部! 犯人と繋がりました!」

「おう、こっちに回せ」

「桃太郎。冷静になって、周りを見て見ろ。もう観念して出てきたらどうだ?」

「はあ? こっちは長旅で疲れてんだよ!」

「無茶苦茶しといて口の減らねえ奴だな。他が許しても警部の鬼と言われた、この俺が許さねえ!」

「俺達に掛かれば鬼なんて屁でもねえ」

「なんだと、こらあ!」


金棒を担いで乗り込もうとする警部を、周りの者は必死で止めるのだった。

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桃太郎24時 空閑漆 @urushi1

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