「KAC」カクヨム4周年記念選手権~Kakuyomu 4rd Anniversary Championship~個人的振り返り その1



「カクヨム4周年記念選手権~Kakuyomu 4rd Anniversary Championship~」

 KACを振り返るエッセイです。


 去年よりは、まとまった自作だったので今年の「振り返り」こそは自作語りをしようと思っていたのですが、――諸般の事情で今回もうかつなことは言えない事態となり。

 時間稼ぎのために……じゃなくて、場繋ぎのために、でもなくて……ええと。自分的にも一区切りしておきたいとおもい、今年もKACで「収穫!」と思った楽しいお話を紹介させていただきたいと思います。


 ……例によって、イベント終わって、一時の熱狂とか発狂から醒めた後、家出していた羞恥心が土産を持って帰ってきたため、しばらく悶えておりましたが。


 ご縁あって、お立ち寄りくださった皆様。よければ、リンクを辿ってそれぞれのページを訪れてみてください。好みは違うものですから絶対とは言いえませんが、少なくとも石束はとても楽しめた作品ばかりです。


 作家様方には、勝手にお名前を拝借することになります。通知の範囲、紹介の対象を相互フォローの方に限定させていただき、投稿通知をもってお知らせに代えさせていただきます。不都合不利益があると感じられた記事つきましては、コメントにてお知らせいただければ可能な限り速やかに、当該紹介項目を削除いたします。削除結果についてご納得いただけたなら、コメントを削除ください。


以下、順不同にて、失礼いたします。


◇◆◇◆◇


レンタル農場を開いたら人生が豊かになった/マスケッター 様

https://kakuyomu.jp/works/1177354054894455207


※感想を書いている時の私的BGM

映画『フィールド・オブ・ドリームス』のサントラ


 軍隊という規律を重んじる組織で生き、呼吸をするように自らを律する主人公の視点がここちよい節度を感じさせる。

 その一方で、そんな彼の、成功したとしても少し寂しいものであったろう人生に、新たな色彩が加わる。

 一年は一日一日の積み重ね。働き、悩み、乗り越えてきた日々の節目に、ささやかな祝祭が用意されている。そんな「四年に一度」というテーマを「積み重ねた日々の節目」と真正面から誠実にとらえた物語。

 主演イーストウッド(声:山田康夫)で、脳内映像化、余裕でした(笑)


……等と、なんで毎回マスケッターさんのところにレヴューを書きに行くと「リミッター」が外れるのか? 恥ずかしいったらありません。

 

 今回、一作ごとにBGMを決めて聞きながら感想を書こう。なんてことをやってまして、このお話の時『フィールド・オブ・ドリームス』のサントラを聞いてました。

「じゃあ、なんでケビン・コスナーじゃねえんだよ」とおっしゃる方がおられるかもしれませんが、ほら、それだとなんかきれいな奥さんとかわいい子供(男の子と女の子が一人づつ)がいそうじゃないですか。そこへ行くとイーストウッドだと「孤独に耐えるシルエット、かっこええ」みたい印象がありまして。

 でも例えば同じ農場(牧場)でも『許されざる者』みたいな殺伐感はちょっとというので『フィールド・オブ・ドリームス』。

 で、唐突に気づくわけです。


「そっか。マスケッターさんの世界観って、『映画』っぽいんだよなあ」


などと。去年の『翼』も、短期連載だった『穴熊』も、それから今年の連載しておられる大長編ハイファンタジーも。際立っているのは、やはりロール(役割)、キャラクター(性格)は勿論ライフ(人生、あるいは人生観)までも感じる。なんというか「積み上げてきた時間」を感じさせる登場人物たち。

 どれもいい話だったのですが、一番「時間」を感じさせる話を感想文の対象にさせていただきました。

 ……今年のKACの『どんでん返し』の時のように、キャラクターをそぎ落として記号化して、ストーリーを読ませるテクニカルな話も書く人なのが、怖い(笑)




今年はうるう年ですね。/ 宝希☆/無空★ 様

https://kakuyomu.jp/works/1177354054894456176


※感想を書いている時の私的BGM

映画『陰陽師』のサントラ 

――あるいは『彼』のオリンピックにおけるフリー・プログラム録画(実況付き)


「応援メッセ―ジ」の枠内に、ほぼ冬のオリンピックの思い出を語りに行きました。「そーだよなー! アレはすごかったよなー! 四年に一度金メダル獲るとかすげーよなー」的なカンジで(笑)

 当然のように「陰陽師」のサントラを聞いて書いて聞いて書いて。

 フリーの「SEIMEI」の録画をハードディスクに掘りにいって。

 

 心の奥の「スイッチ」を無警戒で押されたもんだから、わたしもなんか暴走気味で、「『SEIMEI』は、もはや代名詞やんね。野〇さんとの対談何度見返したか。もともと夢枕獏大好きで、キマイラとかはまり倒して空海も好きで、サイコダイバーとか餓狼伝とか、中でも『和風ファンタジーいけるやん』とか思った『陰陽師』を最初読んだ時はもう(省略)映画がまたあの世界観でキャストがガチだったのも(略)あの映画は「体を操る」いうことに関して当代屈指二人のコラボで(略)ことに安倍晴明の立ち居振る舞いやら所作やらが奇麗すぎて人外感ましましで(略)だからあそこから新プログラムのモチーフをくみ上げた彼のセンスは(略)そんな風に意識すると改めて神々しさすら感じ(以下略)」とかさらに暴走しかかりました。

 引かれると思って、思いとどまったけど。


 この人のエッセイは時々、私の深いところに刺さって困る(笑)

 うっかり見ちゃうと、モニタの前でフリーズする時があるので、最近ちょっと怖くなってる(笑)

 なので、一番気楽に紹介できるお話をチョイス。


 とにかく、個人的にわたしの深い所を突っついて下さったことに、感謝してます。






 ゲットセット!(KAC2020まとめ)/水城しほ 様

https://kakuyomu.jp/works/1177354054894569060


※感想を書いている時の私的BGM

『精霊流し』『歓送の歌』


 四年に一度、うるう年にだけ存在する29日。

「その日」は四年に一度しか巡ってこない。


 誰か書くかもしれないと思いながら、この人が書くと――書いてくれるとはなぜか思っていなかった『四年に一度の命日』。最初に読んだ時には「よかったね」としか思いませんでした。明るさに満ちた解放の物語。この人らしいな、と思い……

 しかし再読した時に「いや。これは重いぞ」と思いました。


 毎年くる命日なら三年で気持ちが整理できたかもしれない。でも『その日』が四年に一度しか来なかったら? 誕生日などの祝い事なら前や後ろにできても『失った』彼女にとって唯一無二。憶測にすぎないけれど、きっと彼女は「2月29日にこの報告をするまでは」と、最後の四年間、未来へ踏み出せずにいたのではあるまいか。


 選んでしまったBGMのせいか『彼女』の12年間にそんなことを想像してしまったのです。

 そして本作中の時間の流れはあまりに無常で、『彼』は少年のままで『彼女』は重荷を背負ったまま大人の女性になっている。この時間の差、成長の差。彼岸と此岸で異なる『時間』に取り残されて、魂たちの思いは次第にズレはじめ、すれちがう。

『四年に一度』であるがゆえに、この奇跡にいたるまでに12年という時間が必要だったという、この無情あるいは残酷。


 深読みすぎるかな。作者さんの意図とも違うかな。とも思いましたが「裏側にあるものへ気付いて頂けたなら、その分だけ表の明るさが増すように……」とのご返事で、正しいか間違っているかはともかくも反応いただけたことにほっとしたり、答えさせてしまったことに申し訳なかったり。

 この方の話は一度読んで、あとでもう一度読むと印象が変わったりするんで、中々レヴューへ踏み出せなかったりします。今回は特に。


 実は、とある『遊び』の仲間というか同志と勝手に思わせていただいている関係もアリ、それも感想文書きにくかった理由でもあるのですが。まあ、その点については稿を改めたいと思います。





【KAC20203】Uターンできない/須藤二村 様

https://kakuyomu.jp/works/1177354054894543601

【KAC20205】文字数がきたら死ぬ男/須藤二村 殿

https://kakuyomu.jp/works/1177354054894733779


※感想を書いている時の私的BGM

『スネ夫が自慢話をするときに流れてる曲』


 …………

 わたしは!この感想文では!ひとり一作までにしよう!って、きめてるんだよおおおおっ!

 感想書きに行った人の作品を全部書きたくなって、来年まで終わらなくなるのがわかり切ってるから自重しているんだよおおお!

 それを!選び終わって!大体印象固めて!さあ書こうって時に!こんなの突っ込まれても困るんだよおおおお!


 …………ちくしょう。えらべない。


 そして! なんで作品の内容に触れずにこうして無駄に文字数を費やしているかというと! とりあえず! 行って! 見て! 読んで! あと応援コメントで書き込んでる人たちの話を見てほしい!


 一人で気づかないことを寄ってたかって解明してるから!!

 ……よく、気づくなあ。ほかの人とか思いました。


(ごほん)


 キレのあるショートショートとSF愛。そして類まれなる楽しい人柄で斯界に愛されている、須藤二村さんの、お話。


 みなさん。

 文字制限ある時のコンテスト、右下の文字数を見ながら書いているとおもいますが、その時の気持ちをちょっと思い出してみてください。

 500字で書き出しだなと思い。1000字超えて、よし何とかなりそうだとか思い始め、1200字を無事越えてレギュレーションの文字数に到達。

 とりあえず間に合わなかったという事態だけは、避けられた。

 ふっつ。俺は今日も生き延びた。

 ――などと、ほっとするのではありませんか?


 では逆に、1200字を超えると死んでしまうとしたら?

 刻々と迫るタイムリミット……ではなく「文字数リミット」。

抵抗むなしく追い詰められた男が「最後」に選んだ決断とは!


 キレ味が鋭すぎるために短くまとめすぎて危うく1200字に届かなくなりそうだったという『【KAC20203】Uターンできない』とか書けるからこそ、こんなお話がかけるんでしょうが……毎回おもうけど、よくこんな話おもいつくなあ。


 無駄なものが一切なく。必要なものが必要なだけある完成された世界。

 お手本のような、匠のショートショート。


 ……ただ、まあ、その。読んだ時の感覚のズレみたいなものをあえて申し上げると

「うおおお。気が付いたら二万字超えてて、残り二時間っ! どこ削ったら4000字以内に納まるんだよおおお」

てな感じで、毎回過ごしている石束などは今一つこう、1200字に届かない危機感が伝わりづらいというか。


 密航者が見つかったばかりに危機に陥った宇宙船で、何を捨てるか?

 とかそんなお話に、どちらかというと、近いんです。


 絶対3000字超えるのに。いっつもぱんぱんになって、一生懸命削ってるのに。

 なんで、この人はこの文字数でこんなにさらっと「面白い」を実現できるんだろう……

 




(改稿済み)


 







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