1.弐:六媒師

 俺はあれから勉強をした。


 どうやらこの世界は約百の国家に分割されているらしいのだが、そのほぼ全てが王国だという、本当に不思議な世界らしい。

 俺は果たして転生したか、それとも転移したのかは分からないが、やっぱり元の世界とは違う世界のようだ。

 そして俺とは別で、事は起きていることを改めて知った。

 それについて語るには、まずこの話をしなければならない。


 ここはとある館。


「中は思ったより綺麗だな」


 五人の少年少女が、その館に入った。

 彼らの名は、物理的霊媒師、また人間六媒師と言われていて、この世に類を見ない強者の集団であり、彼らは霊を退治することを職業をしているのだった。


「ではこの館の情報を確認する」


 声の主の名前はレトウス・クロテル。

 強さは超強力能力者Grade9。濃い赤色の瞳で淡い赤髪の魔法を得意とする強力な能力者である。

 そしてここにいる人間六媒師のリーダーで、攻魔の称号、担当を受け持っている。


「この館はしばらく使われていない。しかし、さっきアザリガが言ったとおりここは綺麗だ。つまり……」


「ここに生命体、もしくは不純物があることは確か……ってことだな」


 この男の名前はエイト・アザリガ=リルト。

 アザリガ……が名前である。

 特殊能力、全ての自分の能力を改造・改竄する能力を持っていてレトウスと同じく超強力能力者Grade9。深緋色の眼で黒髪の魔法剣士の強力な能力者である。

 そして人間六媒師の魔法剣士役の称号、担当を受け持っている。


「それでは、すぐに片付けなきゃいけませんね」


 彼女は淡波アリナ。

 濃い青紫の眼で淡い青紫のロングヘアと、全体的に青紫である。彼女は超絶強力な防御力を持った超強力能力者Grade9の能力者であり、一つの魔法の杖を所持していた。

 そして人間六媒師の防神の称号、担当を受け持っているのだ。


 彼ら五名は、この館の奥にへと、進んでいった。


※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※


「この辺に、気配がします」


 アリナが言った。

 気配、とは霊の気配のことである。

 アリナは他のメンバーと違って霊の気配を検知できるのだ。


「皆さん。少しだけ離れてください。周囲の霊を一つの魔に変化させます」


 しかし、アリナ以外の四人は霊に直接干渉することが出来ない。ならば何故この五人が集まって霊を退治しに来ているか……その理由はアリナの能力にある。


 グワッ


 周りが黒い渦に囲まれ、黒い渦は段々と固まっていき、一つの形になっていく。


 そうだ。

 彼女の一つの能力『Sierstarue』は霊の魔物変化、つまり実物化を可能とする。

要するに彼女が霊を出現させ、その霊を他の四人が物理的に倒しているのだ。

 霊の世界ではなく、人間の世界で戦えれば、アリナ以外の人達も、霊を退治することが可能となる。故にの実物化であった。


 アリナは構えた。

 段々と黒い渦は実物化され、巨体へとなっていく。


「うむ。こいつは結構の大物じゃ」


 この老人はロウトウ。

 六媒師唯一の最強位能力Grade10であり、黒い眼で白髪の剣士である。

 そして調訓を担当し、強者の称号を会得している。

 能力は絶対調査と訓練成功させること。

 そしてロウトウが感嘆した瞬間、巨体の渦は実体化した。


「ロウトウ、頼む」


 レトウスが言う。

 するとロウトウは座り、構えた。


「あい分かった」


 ロウトウはそう言って早速片手に持っていた日本刀でその霊に斬り込む!

 かと思うと、その霊に何本かの光の斬撃が一閃した。


 ガゴーーーーー!!!


 その霊はその場に倒れ込んだ。

 その瞬間、ロウトウは全ての分析を完了、そしてこう言った。


「体力に優れている化け物。他の数値はそれぞれ平均値の上、もしくは少し下……と、平均より強い化け物じゃ」


 ロウトウは言った。

 そう、ロウトウの絶対調査は相手の能力、技を一回体験すれば数値化。それを更に分析し、皆にどれだけの強さかを伝えることが出来るのだ。

 霊は起き上がり、ロウトウに襲い掛かった。


「じゃあ俺様に任せろよ!! 『最強の赤い炎Sterkste rooi vlam』」


 アザリガの声が響いた一瞬、ロウトウの目の前にいた化け物は火炎に包まれた。

 とても強い衝撃波が広がる。

 レトウスは計画通り、それら全ての衝撃波を吸い取った。

 アザリガが魔法剣を抜く。


「一瞬でこいつを倒す。先行っとけ」


 アザリガが構えた。

 レトウスは構えをやめる。


「ああ! 任せた!」


 霊が燃えながらもアザリガに襲い掛かるのを見た後、四人は先に進んだ。

 アザリガは不敵な笑みを浮かべた。

 対決が……始まった。

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