第27話 テロリスト

「どういうことです?我々に出動がないなんて」

「さぁてな。人間の部隊だけが出動ということは、セルリアンではないのかも」

災害派遣、というわけでもなさそうだ。隊員たちは銃を手にしていた。だが、それ以上の情報はフレンズたちには知らされないままだ。

「さすが、素早いですね」

部隊はあっという間に出動していった。フレンズたちに比べて、どれだけ訓練が行き届いているかがわかる。

「我々なら、まだもたもた着替えてるだろうな」

「でもさ、人間の部隊が出動って、きな臭くないか?人間だけの部隊ってことは、セルリアンとかフレンズではないよな。だとしたら、相手は誰だ?」

「隊長、テレビをつけてもいいですか」

アムールトラがリモコンを手にする。

「許可する」

スクリーンに映し出された光景に、皆が一様に息を呑んだ。

「人間の相手は…人間か」

そこには、爆発と銃声に満たされた街があった。ヘルメットと防弾ベストを着用したジャーナリストが、手にしたマイクにがなる。

またひとつ、爆発音。カメラが音の方へ向き、大きく揺れて気持ち悪い。

『たった今、テロリストが犯行声明を出しました!現在世界中に広がりつつある病気の原因をサンドスターだとし、サンドスターと研究成果を独占する日本政府に対して、研究の即時公開とサンドスターの破棄、アニマルガール、通称フレンズの捕縛を求め…』

無知蒙昧のなせるわざだ。治療には使われるが、サンドスターは病気の原因ではない。だがこの病気は病原菌がない。感染症ではない。けれど蔓延していく。無知な者が原因を発生時期の近いサンドスターに、フレンズに求めるのも仕方ないのかもしれない。情報公開が足りないということもある。だがそもそも未知の領域が大き過ぎるのだ。

「それに、あながち間違いとばかりは言えないか」

サンドスター研究の途中で、アンチ・セルリウム精製、果てはセルリアンの発生まで行われていたことを考えると、日本政府が無実だとは言い切れないのではないか。

『あっ、爆発音!銃声です!ここからは見えませんが、制圧部隊が突入したようです!』

部隊の練度は知っている。ほどなくテロリストは制圧されるだろう。例えそれが、テロリストを装った他国の軍隊だったとしても。

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