サウナしきじ

「サウナしきじ」は静岡市のやや海側、敷地しきじという地域にあるサウナ施設です。サウナ好きの中では「水風呂の聖地」と崇められている程の有名店でもあります。中央分離帯付きの車線に面した建物ですので、車で行く場合には侵入方向に注意しましょう。駅側(西側)からでなく、静岡大学側(東側)から行くとスムーズです。


年季の入った建物の中に入ると券売機があります。券を買い、フロントで館内着と鍵を貰ったら、暖簾をくぐってロッカー室へと行きましょう。服を脱いで浴室に入ると、ハーブの香りが漂います。そして、何やらドドドド……という音が。


浴室内の湯舟は2つ。白湯と、そして聖地と崇められるほどの水風呂です。水風呂にはなんと、滝があります。これが音の正体です。天井からミネラル分豊富な天然水を、これでもかと注いでいるのです。ちょっと感動する光景です。


では早速、サウナで蒸されていきましょう。浴室内に面したサウナ室は2つ。ドライサウナと、湿式の薬草サウナです。ドライサウナの方に入ってみて驚くのは、その熱さです。110℃~120℃はあります。恐るべし熱さ。初めて入った時は、悪ふざけか、何かの故障ではないかと思うくらいでした。が、この温度が平常運転の温度だそうです。


ひな壇は2段。1段目でも普段のサウナ室より遥かに熱いです。2段目に座ろうものなら、その熱さは格別。常時、柚木ゆのきさとでのロウリュ時や、花の湯で釜風呂がおかしな温度になっている時くらい、あるいは、それを超える体感温度が襲ってきます。座っているだけで肩がピリピリ来るくらいなのです。


ホカホカに蒸されたら、聖地の水風呂に向かいましょう。6人ほどが入れる水風呂は水深も深く、そして、何より水が柔らかいのです。水温は17℃ほどと、それ程低いわけではありません。ですが、安心する肌触りと言うんでしょうか、とても優しい包まれるような不思議な感覚があります。さすがは水風呂の聖地。ちなみにこの天然水、給水口からそのまま飲んでもOKですし、なんならお持ち帰りもOKとの事です。


こんなにも水風呂が気持ちいいというのは、天然水の水質が良いというはもちろんですが、鬼のように熱くて厳しめのサウナでホカホカに蒸されたあとに、菩薩のように柔らかくて優しい水風呂に入るという取り合わせの妙もあるのではないでしょうか。飴と鞭を使い分けられているような、そんな心地よさなのです。


休憩をする際には、浴室内中央に設けられている休憩用の台か、リクライニングベンチを使いましょう。優しい水風呂に癒された身体を投げ出せば、たちまちととのいの境地へと運ばれれます。あまみの出た体をチケット替わりに、深い深いリラックス状態へと、しばしのトリップをするのです。


そして、薬草サウナの方にも入ってみましょう。温度は60℃ほどと、これまた湿式のサウナとしては破格の高温です。室内各所には薬草の入った袋がつるされており、独特の香りと湿気が漂っています。これがまた、ドライサウナに負けないほどに熱いのです。爪先がヒリヒリ来ます。そして、よく発汗します。どちらのサウナ室も普段の半分くらいの時間入っているだけで十分ではないでしょうか。


薬草サウナから出たら、また極上の水風呂へと入りましょう。熱さに耐えて汗をかいたご褒美タイム。柔らかな水に包まれて存分に体を冷やし、そして癒していきましょう。水風呂を堪能したのなら、また、浴室中央のベンチに寝そべり、ゆっくりゆっくり休憩するのです。


何セットかを終えたら、館内着を着て2階へと上がりましょう。2Fには、ふわふわのリクライニングチェアが一面に広がる休憩室が待っています。ここで、さらにゆっくりと休むのです。いっそのこと、少々寝てしまうのもアリです。


さらに、休憩室の一角には、なんとお食事処が併設されています。メニューは野菜炒め定食や豚生姜焼き定食、カレーに焼きそばなど、家庭料理寄りのホッとするメニューが揃っています。変わり種としては冷麺なんてメニューも。豪華絢爛でガツンと来るというわけではないのですが、水風呂同様、優しい印象を受けるラインナップになっています。


そうそう、定食のご飯を炊くお水は、水風呂と同じ天然水を使っているとのこと。水がおいしいのですから、炊いたご飯もおいしいはずですね。


全国のサウナ好きに愛されるサウナしきじ。おじさんの住んでいる所からは少し距離があるのですが、せっかく静岡に住んでいるのですから、1年に何回かは詣でたいと思います。何かのご褒美として出かけたい、ちょっと特別で素敵なサウナ、それがサウナしきじなのでした。


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さて、ご近所のサウナ情報やら何やらをあれこれと書き散らしてきた本エッセイですが、ひとまずはここで一区切りとします。平成も終わりますし、ちょうどいい頃合いなのではないでしょうか。


本エッセイを読んでいただき、サウナに興味を持った皆さま、ぜひ、ご近所の温浴施設に蒸されにお出かけを。そこにはきっと、タオルいっちょでしか味わえないワンダーランドが広がっているのです。


もちろんおじさんも、令和になっても変わらずに蒸されていきたいと思っています。それでは皆様ごきげんよう。次は新たな元号にて、水風呂から出てととのった後でお会いしましょう。

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