20話 運動会後半戦 前編

ナラに偶然ではないけど、何故か探して見つけられお昼を一緒に食べたけどナラは僕以外と食べる約束をしていなかったのかな?と思ったけど違うかと割り切った。


久しぶりに、まともな料理を食べて快調!


館半たちなかありがとう。ほんとすごい美味しかった!あ、それとどうして屋上に来たのかも聞いていいかな?」


「それはね…最近柚和ゆわの顔色が一段と悪く見えたから攻めてご飯だけでもと思ったんだけど迷惑だった?」


「ん?いや。ご飯も美味かったし、ナラが来てくれてちょっと楽になった」


「そっか。よかったよかった」


あとで今日のお礼をしないと、と心に決めた。


「あ!今更だけど屋上にいたことシーな?」


「言わないから安心して。むしろ言いたくないから」


「あら?そうなの?ま、言わないでいてくれるならありがたいけどな。どうも」


「そろそろ戻る?時間もうすぐだよ?」


「…え?ヤバ。ごめんナラ。もう出よう!次は騎馬戦だから急がないと」


屋上は平和だけど、唯一時間を確認できるものがないのが悔やまれる。そう思ったけどナラが腕時計を持ってきてたから助かった。用意周到!


ふと、思った。ナラはどうして僕に…いや。後でいいや。


「おし!痕跡は無いな?ナラ行くぞー!」


「おー」


締まらないな〜(苦笑)



♦︎騎馬戦



さて、ここで学生、或いは学生を経験してきた者に問いたい。


騎馬戦において、もっとも楽なポジションは存在すると思う?


否!僕個人の意見を言わせていただくと楽なポジションなどない!

土台は死ぬし、足役は死ぬし、上も死ぬし…正直言うとやりたくないの一言。


だけど神様は皮肉者だからか、僕は騎馬の一番上になった。内心(はぁ?)


だからこんな呟きが漏れてしまうのも仕方ないこと。


「なんで僕が上になったんだろう…一番を痛い思いするよね…」


「運が悪いから?」


「んな!」


返事をしたのは土台の、村井八雲むらいやぐも君。見た感じ堅強でそれを裏付けるが如く「俺、父親にアメフトをタイマンで教えられてるんだよね…実に言うところのシゴキ」と自慢気に言っていた。


「ま、ドンマイ。俺も根性見せて耐えるからお前さんはさっさと上の奴倒してくれればそれで大丈夫!意外と安定してる組だから。ここは」


「それは言えてるな、八雲やぐも


「透もそう思うよな♪」


西邑透にしむらとおるは横で支えるうちの一人。部活は陸上に入ってる奴で確か…短距離と長距離でどっちも県内一位を取ってるすごい奴。


「支える役も大変なのは分かるけど、それでも上は怖いもんだよ…」


「頑張るしかないな。柚和ゆわ頑張れ」


「ありがとう。和人かずと


「頑張れ」と言ってくれたのは戸崎和人とさきかずとと言って、もう一人の横で支える役。部活は、水泳部に入ってる。その証拠に、この組の誰よりも肌焼けしていた。頑張ってる証拠だからある意味勲章だと言える肌焼けだと思う。


「さて、柚和。そろそろ上のシャツ脱いどけ。もうすぐ1年が始まるから」


八雲やぐもがそう宣告してくれたので僕は赤いシャツを脱ぐ。


「1年生は騎馬を組んでください」


朝礼台に乗ってる先生がマイクそう支持を出して一年生達は騎馬を組む。


土台の上に乗り、横の二人が内側の手を土台の肩にかけ、そして外側の手を土台の自分よりの手としっかり握り合う。これが馬具のうまのあぶみとなる。鞍は土台と思ってくれて大丈夫。そこに騎手が跨り、組みの完成。


「始め!!」


今更だけど、白組、赤組は向かい合っていて対立した騎馬と騎馬の戦いに先生が判定と補佐をする。赤組が北に、白組が南に構えていてトラックの中央で熱戦が繰り広げられている。


そのまま特に、赤組の負けで1年生編は終わり、いよいよ2年の番になってきた。


「マジで、緊張してきた。どうしよう」


「今更何言ってるんだよ。俺らがいるから頑張って相手打ち倒せ!」


「いざとなったら、アシストするから。お前が諦めなきゃ、俺らはへばらないし、お前がぶっ倒れたら俺らもぶっ倒れる。負けそうでもちゃんと足掻けよ」


「二人に言いたいこと、言われたから言うことないが、柚和ゆわ。ベストだ!」


八雲やぐもとおる和人かずとの順で鼓舞を貰い僕は嬉しくなった。


「ありがとう。それなら僕はぶっ倒れたらダメだな。お前らに殺されちまう」


僕がこう言ったら、4人とも笑った。


「2年生は騎馬を作ってください」


チラッと、朝礼台を見たら2年の女子の誰かがマイクを持って立っていた。


言われた通りに騎馬を作った。


「始め!」


直後「うぉぉぉぉお」と雄叫びが轟、空気が熱を持った。


「おい、柚和ゆわ!誰とやるって…きてるな、準備しろよ」


「…おう」


僕は生気を感じさせない声音で返事をした。


こちらに向かってきた白組の奴は赤城文也あかぎふみやが騎手のとこだった。

赤城あかぎは、確か…柔道を習い事でやってると聞いたことがあった。


「なんでだよ」


思わずそう言ってしまった。


「おおおおおお」


うわ!来た。手をこちらに伸ばしてきて、下に沈めようと頭をぐいっと引っ張られる。


「仕方ないか…」


僕はそう言って、僕の首を沈めようとしている手を握り力を込めてく。深指屈筋、しんしくっきん浅指屈筋せんしくっきん虫様筋ちゅうようきんという筋肉が手を握る時に使う筋肉。


徐々に、力を増していって次第に赤城あかぎがこちらの握力の痛みに抵抗する様子を見せた途端に僕は土台の八雲やぐも


「後ろに下がって」


と言って、下がったと同時に赤城やぐもの腕をこちら側に引っ張って前に傾倒してる状態から背中を下に向かって押して騎馬を崩した。


「まず一騎!よっしゃぁぁぁぁぁあああ」


赤城あかぎ、ありがとう」


赤城あかぎにそう言ったら笑って「こっちもいい戦いだった」と言ってくれた。


「次は、陣城じんじょうのとこ行くか?」


「なんで、大将の方に行こうとするの?」


「大将潰すのが一番手っ取り早いだろ」


「えー」


柚和ゆわ。大丈夫だ。今のお前には逃げる足はないから俺らがいくとこにいるやつと戦うことになるんだよ」


「は?え、ちょちょちょちょっと待て!は?え?ええええ!?」


八雲 やぐもとおるが僕にとんだ爆弾発言をして陣城じんじょうのところに向かっていったのだけれど現在大将戦っていて陣城じんじょうは手が空いてない様子だった。


「仕方ない。足助あすけのところに行くか」


足助あすけは騎馬戦の時の陣城じんじょうの懐刀的なやつだった気がする。


「もう好きにして…」


僕は観念して諦めの言葉を吐いて、足助 あすけのところに向かっていった。


柚和ゆわ?え?あ、まぁいいや。うおおおお」


「はい」


早々に終わらせようと決断したので僕を丸め込もうとした足助あすけの腕をガシッと掴んでちょっとした小技で力の波を足助あすけの腕の肘あたりまで流す感覚でそのまま前腕と短母指伸筋たんぼししんきんを持ってこちら側にぐいっと引っ張り体が元の位置に戻ろうとする瞬間に僕は足助あすけをすでに騎馬から落としていた。


柚和ゆわいいぞー!うちの大将もまだ戦ってるからお前さん白の大将落とそうぜ」


八雲やぐも〜もう早く終わりにしたい…」


悲壮じみたセリフを吐きながら陣城じんじょうのもとに行った。


「前菜が到着したぞ!柚和ゆわの組だ!柚和ゆわなら前菜にもならないな」


陣城じんじょうの騎馬の僕から見て左で支えてる奴がそんなことを言った。

名前は…わからない。


大翔ひろと柚和ゆわならさっさと潰せるぞ。行くぞ!」


「うん。柚和ゆわ正々堂々といい勝負を!」


「おーう!」


陣城大翔じんじょうひろとは、土台の磯上いそがみに促され僕に向かってきた。


柚和じんじょう、これがラストバトルだ!頑張れー!」


和人 かずとに声援を貰って、僕も陣城じんじょうに応じた。まずは、肩を掴もうとしていた陣城じんじょうの手を振り払い逆にこっちが陣城じんじょうの方を掴んでこちら側にバランスを崩させた。


だが、これでも大将。この程度じゃ崩れない。だから、僕は陣城じんじょう足助あすけの態勢を崩した時みたくする為に腕をこちらに伸ばさせる。


「うおっと、八雲やぐも大丈夫!?」


「あー、ごめん。大丈夫だから、柚和ゆわは集中してろ!」


こちらの土台の八雲やぐもが向こうの磯上いそがみに押されてたじろいでしまい、バランスを崩した。その隙に、僕は陣城じんじょうに押し込められる。


「呆気なかったよ。ありがとう」


「うん。リベンジ待ってるよ」


僕は、そう言った直後。自分の右肩を脱力した右手を掴んでいた陣城じんじょうの手はするりと抜けて、僕は左手でその手を掴み《じんじょう》足助あすけの時と同じ方法で崩した。


「やめ!白組の大将の騎馬が崩れたことにより勝者赤組!続いては3年生です。騎馬を作ってください」


倒した事が伝わって、2年の騎馬戦は終わった。




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〈作者コメント〉


運動会の後半戦を前編、後編で分けました!(*´ ˘ `*)♡エヘヘ


今回少しガバガバな展開と、いろんな同級生が出できましたが

人物名にはルビを必ず作者ルビをふるのであんしんしてください!


後編も早く投稿します!







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