ウルトラマンの重みに耐える地面の固さ

「では、今度はウルトラマンの重さに耐えている、強靭な地面について見ていきましょう」


 意外なところに着目したな。でも普通に考えて、ウルトラマンみたいな巨人が動き回ったら地面壊れるよな。


「地面が重みに耐える力を地耐力ちたいりょくといいます。一般のコンクリートは21N/mm 2(ニュートンパー平方ミリメートル)です。これは、1平方ミリメートルあたり21Nの力、重さにして2.1㎏までなら耐えられることを示しています」


 へぇ、地耐力か。ってことはウルトラマンの世界では、地面の地耐力がとてつもなく高いってことだな。


「ここで問題なのは、ウルトラマンが1平方ミリメートルあたり、何㎏の力を地面に与えているのかということです。今回は立っている場合で考えてみます」


 それ以外で考えることあるか? ウルトラマン地面に座らないだろ。


「つまり足裏の面積を求めればいいんだな。でも、どうやって?」

「体表面積を求めれば分かります。ウルトラマンの体格は人間とほぼ同じなので、体表面積の比率も人間と同じとして考えていいでしょう。式はいくつかあるのですが、今回はデュポア式で計算してみます」


 全然ピンと来ない。質問しても俺の頭じゃ分かんないだろうし、とりあえず話を合わせとくか。

 

「まず成人男性の平均身長が170㎝。適正体重はBMIを標準の22とした時、約64㎏です。これをもとに計算すると、体表面積は1.7 2になります。ウルトラマンの場合は1.7 2の552倍、938.4 2です」

「バーグさん、その552はどっから出てきた?」

「身長比の2乗です。ウルトラマンが40m、成人男性が170㎝(1.7m)ですから、ウルトラマンの身長は成人男性の23.5倍。面積は23.5の2乗で552.25倍となります」


 小数点以下を四捨五入したのか。でも足裏の面積がまだ求まっていない。


「肝心の足裏の面積ですが、調べてみると、人間の足裏は体表面積の2%しかないそうです。ウルトラマンは体表面積が938.4 2なので、足裏の面積はその2%、約18.8 2です」

 

 それでも人間の体表面積の10倍以上。やはりデカい。


「あとは体重を面積で割れば終わりです。ウルトラマンは体重3万5千トンですから、1平方ミリメートルあたり、約1.9㎏の重みがかかっているということになります」


 ギリギリじゃん。ん? ということは……。


「バーグさん、これ両足だよな」

「はい?」

「両足で立った場合、約1.9㎏なんだよな。ってことは片足立ちしたらその倍の3.8㎏だから地面が……」

「壊れます」


 マジかー。それじゃあウルトラマン歩けねぇじゃん。足を上げた瞬間アウト。かかとを上げてもアウトだ。


「ちなみに、地耐力が36N/mm 2以上のものを『高強度コンクリート』、60N/mm 2以上を『超高強度コンクリート』といいます。つまり、ウルトラマンの世界では高強度コンクリート……いえ、超高強度コンクリートでないとまともに怪獣と戦えません」


 なるほど。地面がめちゃくちゃ固いというのはなんとなく分かっていたが、数値で見るとより分かりやすい。

 今まで何回も思ったけどウルトラマン重すぎる。くどいようだが地球で戦うならM78星雲でダイエットしてから来てください。お願いします。

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