第7話


そのまま暫く下にスクロールした後、目に留まるのはアニメの情報。


【銀髪ポニーテールは世界で最も尊いならば、金髪ポニーテールは世界で最も美しい!】


劇場版『黒髪ポニーテールの逆襲~クーデレの破壊力』これだな(確信)


この荒んだ心を癒すにはサブカルチャー文化しかない。


この日本に住んでいる奴でこのアニメや漫画を見ずに生きている奴がいるだろうか?いや、いない!


ましてやこのアニメは電子の妖精こと、電脳世界のアイドルで世界電子アイドルコンテスト堂々第三位の超実力派のアイドルが声優を挑戦するらしく、大いにネットも盛り上がっているらしい。


前評判も悪くないらしく、ドラマの演技も違和感のない役に入りきる才能はやはりアイドルというもので、棒読みは心配いらないらしい、ちゃんとしたオーディションで選ばれたものらしい。


・・・不自然なぐらい批判コメントが少ないのを除けば。


まぁ、今の時代、アイドルなんてものの根の葉もない黒い噂や批判をした日には機械の神様に即粛清されるもんだし、そも、こういうサブカルチャーが大好物なウチの国の神様、特にアイドル関係なんて、ちゃんと神様の庇護下に入ってるプロダクションなら、アンチ発言が掲示板から弾かれるのも当然の事か。


まぁ、明らかに加担してるアイドルは特にこの傾向が著者で、批判コメなんぞしようものならまず間違いなく呪われるだろうな、神に。


それでもこういうのにコメントをするという奴はいるのは不思議なものだが、まぁ、大抵は周りに『野郎、神に消されやがった・・・』や『何故消されないし・・・もしや貴方が神か、神だった』や『おや?こんな時間に誰だろう?』とネタにされて終わる。


呪われるとどうなるんだろうか?確か数年前贔屓にしてるアイドルをアンチ行為で心身共に傷付けた奴が原因で大災害が起きたとか何とかやってた記憶が・・・思考が逸れたな、兎も角原作の漫画の絵からしてファンだった俺はこのアニメにおいて視聴しないという選択は一切ない。


特に劇場版では茶髪ポニーテールちゃんと黒髪ポニーテールちゃんという推しカプシーンが濃厚に描かれるときたものだ。


どうやらアニメでもその絵はあまり変わらない、出来るだけ原作の神絵に似せようと努力する熱意もPVから滲み出ていた〇〇社のこのアニメの期待が分かる程の完成度、素晴らしい!尊い!すこ!すこすこのすこ!!!!


そして気になる原作の絵からアニメになった際のブレもないのは劇場版でも同じ、いや更にパワーアップしていると言っても良い。


やっぱりポニーテールは最高だな、ヒロインがポニーテールなのは勿論だがポニーテールは現実で考えても最強。


小学生ならば、元気、活発さ、溌剌さ、見ていてニッコリと微笑んでしまう天使の姿を幻視させるだろう。


・・・これ以上はヤバいからここで思考を打ち切り、次。


中学生ならまだ発育途中の肢体をアクセントにまだ小学生の頃の初心な感じを残しつつ可憐さが溢れ出て来るポニーテールだ。


高校生以上ならキレイ系の清楚なポニーテールが生きて来る、化粧を覚える年頃にもなれば誰しもが自分に一番似合っているのはポニーテールだと自覚し始める頃だろう、今までツインテールなどという愚を犯していた自分を恥じ、髪を二つではなく一つ、真ん中一柱!そこに纏める事で生まれる美!ある種の哲学さ、いやこの世の女の子の真理、天国、楽園、宇宙!そこに広がるは無限の可能性、そう、人は誰しもポニーテールにする事で自らを最大限に引き出す、そう、人類の生み出したる最高言語、ポニーテールそれを理解し始めるだろう。


大学生ならば髪留めもランクアップ、可愛さ、綺麗さ、尊さ、ポニーテール度、さらにエロさが加わるだろう、全ての位階が上がったそれは正に ぽにーてーると表現するのが相応しい。


ぽにーてーる、ひらがなとは日本の生み出したぽにーてーるへの愛そのものなのだ。


これはもう、進化、いや、革命、いや私では言葉でどれ程語ろうとも語りつくせない。


高まって来た、一度は見たこのアニメだが、また見るしかないこのアニメを。



とうとい(視聴後)



 気付けば、残っているのは俺一人になっていた。


放心状態になるほど痺れたぜ・・・魂を刺激される瞬間って奴をよ・・・神秘を味わったっていうんだろーなあーいうのをよ。


気の所為か、普段でも発動する【悪神の恩寵】が発動している際腕に浮き出ている刻印の様な線が何かのたうち回ってる気がするが・・・何だろうな?


というか、発動してたのか?ダンジョン関係の奴は今日持ってきてなかった筈だが・・・なんかバッグかなんかに入ってたのに発動したんだろうか?


コイツの発動条件は何時もながら分からん事ばかりだ。



「おーい!東ー!」


「ん?おお、春樹はるきか」


染めた金髪と人懐っこい顔で手を振りながら話しかけて来た野郎は、篠原 春樹しのはら はるき俺がまだ養子として引き取られて間もなかった頃、隣に住んでいた幼馴染だ。


それから何年か一緒に遊んだりしていた友達だったんだが、ある日突然引っ越していってしまってそれきりだった。


偶々大学で俺を見かけた春樹が俺に声を掛け、こうしてまた一緒に学校に通っている。


最初は全く分からなかったが、何故か此奴は一発で俺だと分かったのが軽いホラーだが、知り合いが全くいない所まで一人暮らしの為に来ていた俺にとって知り合いがいるというのは有難い事で、安心したのもまた事実。


という訳で大学では・・・。



「ほい、これあの教授の授業のノート」


「お、じゃあこっちもあの眼鏡のノート」



と、こうして知り合いがいる事の利点を活用している。



「いやー!毎度お前のノートは助かるぜ!要点もキチっと纏められてるから見やすいし、テストに出そうな所はマークしてるし解説もある!!もうこれお前のノート教科書だろ!」


「おう、お前も代返任せてすまんな、俺魔法使えねーからさ、他の奴みたいにズル出来んのよ」


「まー偽装魔法使って代返してる奴も中々いねーけどな、単位取れても授業理解できてる奴なんぞそういねーし、出来る奴はそもそも代返とかしねーし」


「俺は其処らへんは効率良くしてーの、ダンジョンに潜ってるって言ったろ?」


「げー。バイトにしてもそっちは効率よくねーだろ。割の良いバイトなら飲み屋のとこ知ってっから冒険者とか止めた方がいいって!死ぬ可能性とかあっし!!」


「うっせ、出来高で人と関わらなくて良くて休みも自由。勤務時間も自由の神職業だ、お前もこの時代自衛の力ぐらい付けてもバチはあたらんぞ?」


「俺、苦労したくねーの!人と話すの別に苦じゃねーし!お前と違って」


「へいへい」



今日何処で飯を食いに行く?と会話をしながら教室を出て廊下を歩いていく。


すると、人だかりができているのを発見して足の歩みが止まった。



「どうしたんだ?」


「え?お前知らねーの?夢さんと桜さんだぞ?同期の中で断トツの美人を!?奇跡を!?お前ホントに青春真っ盛りの大学生?」


「生憎知らんが・・・何だろな、どっかでは聞いたことが・・・」


「おーい!」


その時、此方に向かって声が聞こえたので思考を中断して声の方向を向くと、肩まである明るいピンク色の髪をした背の小さいが一部がデカい、いや正確に言うと二部といえばいいのだろうか?そう、ロリ巨乳を体現した奇跡の存在がそこにいた。


ニパーッとした笑顔で手を振る彼女の目線の先は―――これまた気持ち悪い笑顔(主観)で手を振っている隣の野郎に注がれていた。



「さくr「神の怒りを今ここに!」っぶ!!」



手を振り上げて全力で横に振り抜く。それだけの動作、だが何よりも速い、そう疾風、いや。稲妻のごとく。


いや、おれじゃねぇのかよ、ほんの少し期待しちまったじゃねぇか、つうかテメェはなんで知り合ってんだよ。

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