第7話 危険を聞き取る

 こんな『情報の売り買い』なんて言う目立つ行動をしていると、危ない事に出会う事もありますね。それが逆恨みとかだと、目も当てられないです。今回はそんなお話。


 ある時、同級生のひとりから恋愛相談を受けました。まあそれ自体はいつもの普通の相談だったのですが……。





 その相談してきた子は、あまり面識の無い離れた組の同級生でした。相談内容も至って普通の、「ある男子に告白したい。成功させたいので情報が欲しい」というもの。これまでの相談の中でも、よくあるものでした。


 ただ大きな問題がありました。その告白する相手の男子が、私が聞いている情報からでも良くない事がわかる人だったのです。有り体に言えば、『女性とヤる事しか考えていない』人なのです。口を開けば「あーヤりてぇー」としか言わない、そんな人だとしか情報が入ってこないのです。


 そんな訳ですので、その相談してきた同級生には、こう言いました。

「あなたが告白したいって言っている人、女性とヤる事しか考えてない人だから、止めといた方がいいわ。あなたの身のためよ」


 そうしたらその子、顔を真っ赤にして言い返してきました。

「アンタに〇〇くんの何がわかるって言うの!」

 右手を振り上げて、でも私を叩く事はせずためらいながらゆっくり右手を降ろして、目に涙を溜めながら歯を食いしばって、教室を出て行きました。

 今にして思えば、自分の好きな人の事を悪く言われたのですから、それは我慢できませんよね。


 その後、告白はしたのですが、その男子が開口一番、

「なに、ヤらせてくれんの?」

 バシィッ!

 頬を平手でひっぱたく乾いた音が響き、それで終わりになりました。予想通りです。





 それからの事が問題でした。


 相談してきた子、私の事を逆恨みしてか、「水織みおりのヤツ、ボコボコにしてやって」などと友人たちと言い合ってました。


 私の帰りを待って、袋叩きにしようと言っているのが聞こえました。知り合いの男子にも声をかけていたのが聞こえてましたから、本当に力ずくでボコボコにしようというつもりでした。


 その声は校門の辺りからしてきて、その声音こわねからドス黒い色と据えた臭いが感じられました。本気のようです。


 私は彼らがスマホで連絡を取り合っている会話を遠い教室から聞き取り、南にある校門とは反対側の、北のフェンスを乗り越えて、帰宅の徒についた訳です。全く面倒でしかありません。






 その日はなんを逃れ、その後は何も言ってはきませんでした。待ち伏せするような事も無く、平穏な日常に戻ったようでした。

 その時に会話に入っていたグループの男子からも、「もー飽きた。止めンべーや」と呆れられてました。まあ、何と言われようとも気にする必要も無いのですが。





 そんな訳でその時以来、より注意深く他人の会話を聞くようになりました。『痛みを知って教訓を得る』なんて、哲学みたいな事を学んだ、そんな事件でした。


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