第3話 写真Ⅰ

「どうだった?」

 真っ暗の部屋の中にもう一人の声が僕に声をかけた。

 僕の上に手を伸ばしてメタル鎖を引っ張った。部屋が血の色のように真っ赤に染めた。僕の先輩はもう自分のフィルムが手に取って中身を集中にしていた。

「何が?」

 自分のフィルムも手に取った。

「佐美子とのデートに決まっている。どうだった?」

 僕は返事しない。

 先週末を思い出した。確かに僕たちの初デートだ。彼女が楽しんだみたいだけど、あの夜から一言も話していないから彼女は僕のことどう思うかわからない。あのデートのきっかけに彼女が僕に冷めたかも知れない。

「何した?」

 先輩はしつこいな、と思った。

「彼女に聞いてみれば?」

「だめだ。尚子とケンカ中」

 僕はこれを聞くとびっくりした。先輩と尚子はいつもイチャイチャしているからケンカなんてするかと思わない。フィルムから目を離して先輩に振り返った。

 彼は僕の目線に気づいたように笑った。

「いいよ、別に大したもんじゃねぇ。恋人とも誰でもいつかケンカする。しない方がおかしい」

「それはそうかも知れない」

 僕は自分のフィルムに戻した。

 僕たちは何分間ぐらい静かに自分の仕事に集中した。来週は写真コンテストの締め切りだから、写真部の部員の皆が最高の写真を出すように頑張っている。

「ったく」

 僕の隣に先輩の声が大きく聞こえた。

「どうしたの?」

 僕は自分のフィルムを置いて先輩の元に行った。彼は猛烈に一つ一つのフィルムの中身を見て机に捨てていた。

「誰だ、この人?」

 先輩の声で怒りが上がっているとわかった。

 僕は一つの捨てられたフィルムを取って内容を見つめた。綺麗な背景の写真のようだ。山と湖の写真だ。湖の水面は鏡のように近くの山を映った。どう見てもプロの写真と勘違いするレベルだ。

 毎回、先輩の写真を見るとすごいと思った。けれど、この写真には何か変なものがあった。最初に気付かなかったけど、何かおかしいと感じた。フィルムを僕の目の近くにしてよく眺めた。その時、やっと何が可笑しいかと気づいた。湖の隣の森には黒い人間の姿が見えた。

 僕はもう一つのフィルムを手に取った。これの内容は子供たちが公園で遊んでいた。けれど、これも、よく見ると背景の木の後ろから黒いスーツを着ている男性がいた。

「何これ?」

 僕がぼんやりと聞いた。

「知るか」

 先輩がもう怒りどころじゃない。彼が机からフィルムを掴んで激しくゴミ箱に捨ててしまった。

「全部の写真が台無しになった」

 先輩がその一言を残って真っ赤の部屋のドアを開けた。一瞬だけ外から明るい日光が差し込んだ。眩しい。

 僕が呆然と佇んだ。先輩を追いかけるかと思ったけど、彼はこの気分になるとどう話しても何も変わらない。放っておくべきだと決めた。

 今の先輩と話せないけど、彼を手伝えるものはそれしかないわけがない。ゴミ箱から全部の捨てられたフィルムを取り出して机の上に置いた。近くの壁に掛かっている特別の小型系の拡大鏡を手に取った。このフィルムの中には変な男性がいない写真あるはずだ。

 拡大鏡で一つ一つフィルムの内容を確認しはじめた。


 何時間の後、フィルムの中に男性いない写真探す仕事はまだ途中で携帯がなった。

『もしもしー』

「あ、佐美子?どうしたの?」

『ねぇ、今日ご飯なんて食べに行こうか』

 この質問に僕が眠さから起きた。

「いいよ、何時ごろ出かけようか」

『19時はどう?』

「いい――」

 腕時計で時間を確認しようと思ったところ、もう19時だと気づいた。いつの間にか。

「ごめん。佐美子、まだ写真部の暗室にいる」

『いいよ、外に待っているよ』

「ああ、わかった」

 僕が電話を切ってフィルムを保存するように前に自分の名前がついているロッカーに入れた。

 彼女は学校の前の校門に待っているはずだ。ここのキャンパスの一番奥にある部室から走っても10分ぐらいかかるから、そんなに待たせないように速ければ速いほどはいいと思った。

 自分の鞄を手に取って部屋のドアを開けて後にしようと思ったが、ドアが開けたところ、小さな悲鳴が聞こえた。

 ドアの後ろを覗き見た。地面に倒れた黒髪に青い目の美人が僕に見上げた。

「ごめん、大丈夫か?」

 僕が彼女の元に焦った。彼女は僕に軽く笑った。

「いいよ。気にしない」

 僕は彼女の手を取って立ち上げるように手伝った。今日の服装は先週のデートと同じ風に真っ白いスカートとブラウスのコンボだ。黒い髪以外に彼女は本当に白いみたいだ。

「どうしてここに?」

「外に待っていると言ったじゃない?」

「でも、外というと校門だと思った」

「そこに待ったら10分以上がかかるはずだ。女の子が真っ暗の夜に1人で待ったらダメでしょう。それに、このビル暖かいよ」

 彼女は大きいな笑顔で自分の鞄をかけ直した。

「そうだね」

 僕は彼女の言うことが納得できた。

 周囲を見回った。この時期は遅くて他の大学生がもう帰ったはずだ。電気はもうほとんど消してしまった。または、廊下の窓が外の真っ暗に完全に鏡になった。僕は佐美子の後ろの奥の方に窓を見つめた。その窓が映っているイメージが暗い廊下に佇んでいる僕と彼女の姿だ。けれど、何かおかしい。まるで――

「行こうか?」

 佐美子が僕に誘った。

 僕はもう一度窓に映っている姿を確認した。やっぱりない。

「いいよ」

 僕が彼女に笑った。

 気のせいだろうか。多分あの写真を見すぎて頭がおかしくなった。

 僕たちが校門向きにキャンパスを通した。佐美子が明るく授業に読んでいる小説について話す。僕が何も言わずに聞きながら窓のことを考えていた。

どう考えてもあり得ない。

 窓の映しの中に僕の陰に黒い男性の姿が見た。

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