2 クラスマッチ 

 「ドッジボール」と答え、完全にミスったと思い、マイに助けられた日から少ししか経たないある日、事件は起こった。それは、学年の4クラスによるクラスマッチで、種目はまさかのドッジボールであることが分かった。少しできた友達からは、

 「やっとお前の出る幕だな!」と煽られたり、

 「いいとこ見せろよ~得意なんだろ~」と言われたりした。間違いではないが。

 しかし、そんな俺を見続けるグループがあった。それは、クラスで保体委員を担う男女数名のグループで、どっちかというと悪い感じの同級生だった。転校してすぐにそれを聞いた俺は、できるだけ近づかない様にしていた。ただ、根は"熱い"人達なのだろうと思う。

 

 クラスマッチ当日、案の定、保体委員の彼らが俺に寄ってきた。

 「お前、本当に強いのか、ドッジボール。」

と突然言って来た。驚いたが、

 「ま、まぁ自信有る程度かなぁ?」と言い、

 「多分、保体委員には負ける気がするけど...」と付け加えようとしたが、その前に向こうが

 「クラスマッチでお前が活躍したら、一緒にドッジボールのチーム、組まないか?無理にとは言わない。ただ、俺達は本気だ。」

と静かに、それでも厳つく言ってきた。保体委員のトップ、タクヤだ。彼らは俺をじっと見ている。彼は小学校の頃からドッジボールを習い、学年でも特別輝いていたらしい。俺の身長はそんなに高い訳ではないが、いたって平均的だ。しかしタクヤは俺より一回り低い。それなのに圧倒的な存在の様なものを感じられた。

 「分かった。認められればいいんだろ。活躍してみせるよ。」

そう、いつの間にか言っていた。なんだ? すげぇカッコイイ...イケボで言えばもっとよかったのかなぁ...?

 「そうか。俺達も嬉しい。転校してすぐにすまないな。」

そう言い残し、彼らが去っていった後、すぐに先生からの集合の号令がかかった。

 -なんだ? あの存在感... まるで同級生とは思えない-


 体育座りをし、先生達の話が終わり、保体委員の説明があっている中、俺は全然集中して聞くことができなかった。

 「活躍できなかったらどうしよう...自信はあるけど。」

 「なんでカッコつけたんだろう...ハードルすごい上げたよな...?俺...」

 「そもそもなんで得意とか言っちゃったんだろう...」

 こんなことを考えながら試合が始まるのを待った。どんどん手汗が出てくる。


 この試合がこれからの俺の"信頼"に繋がるんだろうなぁと思うと、

つい、組んでいる腕に頭が沈む。周りの同級生はざわざわと無駄話しているが、俺にはそんな余裕は無い。

 

 

 



 

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DBP ~Dodge Ball Player~ 偽りの輝き @falseness

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