第4話 潤んだ瞳で見ていた_身体言語




何もない空間にいた。いやいや、そんな事は無い。在り得無い。存在と無などと翻訳されているが【有と無】の事だ。有と無は同一なのだよ。色即是空空即是色。大宇宙の真理だ。空と無は違うなどと真面目に言い出す馬鹿がいるから、困ったもんだ。(まあ困りはしない。色即是空空即是色。だから)


(何処かから声がした)


「ボーロン、お前はなにものだ? 」

「俺はボーロンなのか。ならば、今から、俺はボーロンだ。お前こそなにものだ? 」

「私は大宇宙であり大いなる意思だ。カノジョは嘘を愛しすぎてるがな」

「ふむ誰でも考えそうなことだな。大いなる意思と名乗るものよ。俺はお前でお前は俺だ。即ち梵我一如

(ぼんがいちにょ)


――――赤い血溜まりのなか、素裸の青い潤んだ瞳の美しい女が、死んでしまった俺自身を、愛した男を抱きしめながら死んで行く姿。何故か俺は天井から見ていた。母親によく似た美しい娘…、サーニャ。愛する夫を殺した不倶戴天の敵を愛してしまった女_いつか違う場所、違う世であなたに逢いたい。そう囁いていた。天井の俺を見つめる青い潤んだ瞳_身体言語。――――

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

*バッシャ船_ボーロンの野望(ベータ版) ボーロン@bawlondaneel @kazhay

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ