第24話:最大級の雷2

 何も云おうとしない王に対して最終手段を口にする。


「そう・・・何もおっしゃらない気ですのね?わたくし、実家に戻るべく旅支度を整え離婚の書類に署名・・・「や、止めてくれっ!話すっ!話すから離婚だけはっ」」


 こうなってしまうと情けなさ満載では有るが、危機的状況を打破するには十分で有る。


 ギルヴィアの弱みとも言えるのが、メイフィスなのだ。


 彼とメイフィスは政略結婚では有るが、彼がメイフィスに惚れ込んで居るから出来る芸当でも有るのだ。


「では何をして居たのかしら?」


「・・・アリスフィーヌ嬢がマシュー・ウィルソンの養女となった・・・までは許せたのだが、彼女がウィル王子と婚約すると聞かされ、彼女の才能を惜しく思い、再度レンシルと婚約を結んで貰う為に攫って来るよう指示した」


「馬鹿ですの?!」「うぐっ」


「そもそもアリスフィーヌ様がマシュー様の養女となられたキッカケは違うとしても、ウィル王子に救われるキッカケを作ったのは愚息が国外追放にしたからでは無いですか」


「そう、なのだが・・・レンシルも見知った相手では有るし、そのっ…」


「魔術師の才能を持つアリスフィーヌ様を王家で囲い、守りの要とし、他国を侵略するおつもりだったのですね?!」


「うっ」


「何て馬鹿なの?!わたくしに惚れ込んだ賢王は何処へ行ってしまわれたのかしらね?」


 身もふたもない状況となった王は、黒い思惑が綺麗に払拭され、自業自得で有る(この場合、得は無い)。


「・・・私は一体、何をして居たので有ろうな。ウィル王子がアリスフィーヌ嬢を救っておらねば魔物に襲われておった、と言うのに・・・」


「今更ですわ」「うっ・・・すまぬ」


「あなた、騎士団を動かした事は覚えてますの?」


「え・・・?嘘・・・だろ?!動かして・・・!?」


「居ますわよ?ウィルソン邸に向けて出立して居ますわ」


「何て事をして居たのだ?!宰相っ」


「何で御座いますか王様。私は王命を忠実に守り騎士団長に伝言し、王命を受けた団長が騎士隊を動かしましたが?」


「うぐぅっ・・・」「・・・もう宜しいですよ宰相様」


 騎士団に王命を破棄すると宣言し、王城へ戻るよう指示を出し終えたレンシルが戻って来た。


「レ、レンシル?!」


「レンシルご苦労様でしたわね。団長様の精神的苦痛は抑えられましたか?」


「何とか間に合ったようです」


「な…?!」「王様が黒い思惑に捕らわれた瞬間からレンシル様とメイフィス様へ相談させて頂いておりました」


 宰相の爆弾が落とされ全身の力が抜けたのか、玉座から落ちてしまったギルヴィア。


「まあ・・・みっともない姿です事」


賢王と呼ばれて居るのだから全国民に賢王では無くだと真実を伝えたいですね」


 メイフィスもレンシルも容赦する訳もなく、畳みかけるように攻め立て、黒い思惑から脱却した王。


 これから失態をしでかした事の後始末に追われる事となるのは明白となった

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