場所の移し方

 きたるべき終末をどう過ごすか。高齢化が深刻化しつつある我が国では特に意識されるべき題材である。
 最も重要なのは、『本人の意思』だろう。作中では詳細を明示されていないが、少なくともその病院への通院は意思から外れた。
 意思と同様、主人公がどのような病気なのかは、恐らくは、作者は敢えて伏せたのだろう。どんな病気であれ同じように悩む事柄は確かにある。
 病気のせいでか、いささか偏屈になりがちな主人公だが、少しでも納得のいく余生を送って欲しい。