さばけないもの。

なんだ、この文章の圧は。


主人公たちの犯した小さな罪、それから大人への(やりきれない)抵抗、それらを混然とさせながら、作者の頭の中で整理がついているのでしょう、ひたすら客観的な語り部に寄って抑制され、ときにはシニカルな文体でつづられていきます。その論理性の強い文章の端々に少しの遊びが見えるさまたるや、本当に書きなれていて、クールだと感じます。

彼らの犯したルール違反を、僕は裁けないと思うし、じじつ誰も裁かなかった。
僕の胸に迫ります。

あの時の主人公はなるほど「馬鹿」だったのでしょう。しかしぼくはこの言葉に、実に苦しくやりきれない思いが凝縮されているように思えます。