第26話 ダンジョンバトル

どよっ。


歓声が上がった方を見ると、すげー際どい衣装を着た美人が──


「先輩、駄目っすよ?!」


ぎゅむ


茜に頭を抱え込まれる。


「浮気は駄目っす!私が見せたり──それ以上でも良いから、とにかく駄目っす」


く・・・


「陽斗君、君はもう少し茜さんの気持ちを考えて行動し給え」


呆れた様に言う宿名。

そう言う宿名は、エロ美女の方を見ていない。

男ならつい見てしまう筈なのに・・・?


「ああやって、わざと過激な衣装を着て、注目を集める輩が増えているらしいな。ショップは別にコスプレ広場ではないのだが・・・」


宿名が困惑した様に言う。


「撮影会でも始まりそうだな」


俺が言うと、


「店内は撮影禁止っすよ」


茜が言う。


ちらり


茜の隙をついて、店内を伺う。

美女のねーちゃんにイケメン男子、数人並んでるな。

我慢できずスマホを構える奴が──


パシュッ


光が走り、盗撮者のスマホを焼き切った。


・・・


俺は何も見てない。

おかしな所は無かった。


コスプレしてた1人が、こちらに歩いてくる。

こっちに来るなら見ざるを得ない。


「そこの貴方」


際どい水着のねーちゃんは、豊かな胸を張ると、


「この前、私の狩りを邪魔した人でしょ!」


たゆ・・・じゃなくて、びしっと宿名を指す。


「・・・邪魔・・・パブリックダンジョンか?俺はパブリックダンジョンは行かないから人違いだな」


宿名が否定する。

恐らく、事実だろう。

ディガーだと言ってたしな。

他プレイヤーと鉢合わせるパブリックダンジョンはやり辛いだろう。


「私が狙っていた水饅頭を、弓の遠距離狙撃でとったでしょ!しかも何回も」


ねーちゃんが言い募る。

詳細は分からないが。

イベントモンスターか何かだろうか?

で、遠距離職と近距離職のトラブル。

近距離職がターゲットに向かう前に、遠距離職が攻撃してしまう。


「・・・まず、俺は弓を扱うクラスではない。また、水饅頭イベントは参加していない。そもそも、水饅頭イベントは、掃き溜めと言われ、取り合いが極めて熾烈な筈。レアドロップは美味しいが、気分が悪くなる、そんなイベントだ」


宿名が嫌悪を込めて言う。

イベントあるある。

みんな本性を曝け出して、酷い取り合いに。

なので、気分が悪くなるので参加しないって人がたくさん出る。


「・・・良く見たら、良い男ね。私とイイコトしてくれたら、水に流してあげるわよ」


「だから人違いだと・・・」


宿名が再度否定する。

あの美女の誘いを断るとは・・・!

まあ、俺でも断るけど。


ちなみに、宿名は、厨二ロール、変な言動を止めると、普通に格好良い。

人を遠ざける為にわざと変な言動をやっていたのだろう。


「どうした、カリン」


声で女性と分かるが、イケメンっぽく見える女の子が近づいてくる。

恐らく、普通の服だ、コスプレしてない。


カリン、がイケメンに事情を説明し、


「そう言う事なら、ダンジョンバトルで決着をつけないか?私達が勝ったら、キミはカリンに謝罪する。キミ達が勝ったら、カリンはキミに謝罪する」


「俺にメリットが無いのだが・・・」


イケメンの言葉に、宿名が渋面で言う。


「ダンジョンバトル?」


俺が尋ねる。


「ふむ。陽斗君は経験無いのだな?なら渡りに舟だ、受けようか」


宿名がくすり、と微笑む。

止めろよそんな笑顔、ドキッとするだろ。

相手の姉ちゃん達、恍惚とした顔してるぞ。

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