第25話 ショップ

伯母さんと伯父さんを散々心配させてしまった。

部活動だと説明。

親にも遂に連絡されてしまった。


交渉術、詐術、実績・・・様々なものを駆使して、なんとか切り抜けた。

今後も遅くなる可能性を説明・・・


そもそも、ゲーム内でどれだけプレイしても、リアルでは1秒も経ってないとか、そういう仕組みあっても良くないか?

そういう機能有れば絶対売れるって!

とりあえず、運営に要望を送っておいた。


ゲーム内だと、リアル時刻表示されないんだよなあ。

まあ、ホーム以外でもログアウトできるので、こまめにログアウトすれば良いんだけど。

尚、ログアウト中に攻撃されると死ぬ。


翌日。


「此処がショップ・・・」


俺は、感慨深く漏らす。


大阪此処に来てから、実はDDSって下火なのでは、と危惧を抱いていたが。

凄い人だかりだ。

店自体が大きくないのも合わさり、密度が凄い。


武器は展示されてないが・・・あの行列に並んで、カウンターまで行くのだろうか。


「先輩」


茜が俺の腕にしがみつく。

当ててる。


「此処の付近なら、何処でもショップメニューが使えるっすよ」


そう言って、茜が空中に指を走らせ、何かやっている。

見ると、紫苑と宿名も同じだ。


え、メニュー?

此処現実リアルだよな。

ゲーム内じゃ無いよな。


・・・


うん、何も不思議な事は無いな。

システムメニューくらい、普通何処でも呼び出せるよね。

何かが頭の隅に引っ掛かったが、全力で黙殺する。

気にしたら、何かキラキラする物を吐きそうだ。


俺はシステムメニューを操作し、ショップメニューを開く。

武器、防具、エアタンク・・・種類毎に分かれている。

ジュエルやインゴットも有るな。

銀のインゴットや金のインゴットもあるが、すげー高い。

ミスリルとかは無い。

ジュエルも、攻撃力1%アップ等も有るが、すげー高い。

効果無しでも、ダイヤモンドは高くて買えない。


これ買うの勿体無いな。

ポーションとかもすげー高い。


オークションの方は・・・ユーザー間の売買か?

こちらはミスリルインゴットや、珍しいジュエルも売ってるが・・・更に凄まじく高い。

安売りしている物で、見た目が良い奴無いかな・・・うわ、この水着すげー際どい。

そして値段の桁がおかしい。

着るのか?


「・・・見ているのは楽しいが、買うのはやめておく」


俺は力無く言った。


「まあ、先輩まだ始めて1週間くらいっすからね。リソースもほとんど無いし、そうなるっすよね」


デフォルト見た目でも不自由無いんだよな。

エアタンクなんて、見た目つけたら邪魔そうだし。


ブンッ


客らしき男性が、不意に大きな武器を振りかぶる。


・・・?!


何だあれ?!


「ん、試着っすよ。ショップとか、オクとかで、試着を選べば具現化するっす。周囲の人に当てない様に気を付けて下さいっす」


・・・


茜の解説を聞き・・・


そうだよな、ただの試着だよな。

何もおかしな所は無い。

全く無い。


ふと見ると、茜が美味しそうなクレープを食べている。


「ん、これっすか?ショップメニュー、フード、から色々選べるっすよ。あまり高くないので、先輩も食べると良いっす」


「何もおかしなところなど無い。何もおかしなところなど無い」


「先輩、急にどうしたんすか?!」


茜が慌てた様子で尋ねる。

ふと見ると、ポテトをつまむ宿名、パフェを食べる紫苑も不思議そうに見てくる。

何もおかしなところなど無いと言っているだろ、文字通り。

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