第2話 町にて!

◆黒木暗子◆


「……や、やっと……やっと休めるわ……ね」


ぜえぜえと呼吸を荒くしながらカノに話しかけた。


「ごめんね……あんま役に立てなくて……」


「い、いや……大丈夫、よ。 ハァハァ。 カノが無事なら、それで良いのよ……」


あの砂漠、サボテンしかいなかった。

ホントにサボテンしかいなかった。

カノは素手なので攻撃できず、私の魔法で倒し続けた。

MPという魔法を使えるエネルギーが切れかけたのだが、カノが踊ることでMPは回復した。

何体ものサボテンを倒し、着々とレベルアップし、色違いのサボテンを倒し、やっと砂漠を抜け町に着いたのである。

ちなみに、色違いのサボテンは腕が若干太く、パンチは強烈だった。

……。

結局、最後まで棘で攻撃してくることはなかった。


「とりあえず、宿で休もっか」


「そ、そうね」


町はそこそこ広く、色々なお店や人の住む建物があった。

カノと共に宿を目指す。

歩いていると、広場が見えてきた。

その広場の中心には人が集まっていた。


「なにかやっているのかしら?」


「あれは、クエストボードだね」


「クエストボード?」


「そう! 困った人があれに依頼を書くのさ。 それを解決すると依頼主から報酬をもらえるの」


「な、なるほど」


クエストボードとそれに集まる人を見ていると、後ろからガシャガシャという音が聞こえてきた。


「あれは?!」


カノが驚いた様子で声を出した。


「どうしたの?」


カノの見る先には鎧を来た騎士のような男と、神官のような服を纏った銀髪の少女が歩いていた。


「あれは勇者マコトだ!」


「勇者……」


……勇者は普通にいるのね。

カノが魔王を倒すっていうから私が勇者なのかと、若干勘違いしてたわ。


「……勇者がいるなら、魔王はあの人に任せれば良いんじゃないかしら?」


「そんなことないよ!」


「えぇ……」


私が闘う意味に対して疑問を持っていると勇者はクエストボードの前まで移動していた。


「……ねぇマコト」


「どうした? リザ」


「そろそろ、魔王城いかない?」


「ダメだ! こんなに困ってる人がいるんだ!! 少なくともこの街の人の困り事は全て解決しよう!」


「何体……サボテンと闘うのよ……」


勇者は依頼を受注し、うんざりとした顔の神官と共に砂漠へと歩を進めていった。


私は人並みにゲームをしたことはある。

チラッとクエストボードを見たが、これ、所謂NPCからの依頼なのではないだろうか。

つまり、解決すればまた自動的に同じ依頼が発生する。


「……やっぱり私達がやるしかないようね」


「そうこなくっちゃ!!」

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