ハッピー・ライフ・シャルティ

araran

シャルティ・ファ・ルーク

「いーいーよ、いーいーよ。日本にいなくたっていいよ。別に私全然悲しくなんかないもん、いつだって会えますよーだっ」


そうリッカはシャルティに言い放った。

今日は、シャルティがアメリカに旅立つ日である。彼はアメリカの最先端の設備が整った大学でAIの研究をするために留学というかたちで日本を離れる。


「これだから、シャルってば、彼女の一人もいないんだよ。もう。でもアメリカ行っても女友達とかはあんま作らない方がいいわよ。ほんと女の友達なんていい子なんていないんだから。」


シャルティは普段変わらないみんなの微笑ましい会話を楽しんでいた。

「わかったよ。気をつけるから!みんなほんとありがとうね!わざわざ空港まで送り迎えに来てくれるなんて。フライトの時間ももう少しだし、俺、そろそろ行くよ」

そう言い放ったシャルティの後ろ姿どこか寂しそうだった。

リッカは、シャルティを快くアメリカに送ると心に決めていた。なのになのに。なんでだろう。心がざわついて言うことをきかないんだ。


シャルティの後ろ姿にリッカは耐えられなかった。リッカはシャルティを抱きしめていた。

「お別れ。」


「…」


「…」


「いってらっしゃい」


そんな消え入りそうな声で放った言葉が彼女とシャルティの最後の会話だった。

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