第54話 ケガから得たこと

夏までには、新型コロナウイルスは、収束しているだろうと思っていたが、

残念ながら、感染者は増えている。

まあ、検査が増えたら当然だが。

4月にリハビリを中止してから、結局整形外科には行っていない。

まあまあ普通に歩けている。

と言っても、気を抜くと引き摺るような歩き方になる。

アキレス腱を切って、装具や杖なしで歩けるようになった時、

歩き方が分からなかった。

歩くって、どういう動作なのかを考えたことがなかったからだ。

多くの人が同じだと思う。

足の親指の付け根で蹴るようにして前進するのだということを

かなり意識しないと出来ない。

しかも、アキレス腱を切ると(骨折もそうかも)、

足の指の動きが悪くなり、蹴り出すことが出来ない。

そのために足を引き摺ってしまうのだ。

親指で蹴り出す

と心の中でつぶやきながら歩く。

階段を降りるのも出来るようになった。

それでも、手術をしていないので、

再断裂の危険を考え、

仕事や長く歩く時は、テーピング効果のあるサポーターをつける。

それ以外では、ほとんどサポーターもつけない。

そう、もう普通に活動出来るのだ。

2か月前に引っ越すことになり、

物件を探す時、1階を希望した。

車椅子や松葉杖になった時、2階以上の階段を上がるとか、

段差が多いとかは、無理だと実感している。

幸いにも段差の少ない1階を見つけることが出来た。

昨年だったら、到底引越しの準備や作業は出来なかっただろう。

今年で良かった。

自分が大けがをしてから、

車椅子の人や松葉杖の人、

杖や手押し車の高齢者、ベビーカーを押す人など、

思わず目がいってしまう。

大丈夫かなと見守るようになった。

事故のニュースで、骨折などと聞くと、

「あー、大変だな。歩けなくなるな。回復まで時間かかって、仕事も出来ないかも」

と知らない人なのに気になってしまう。

自分が不自由だった時に受けた恩や優しさ。

今度は、私が、困っている人に返す番だと思う。

もう、ケガはまっぴら御免だ。

今でも、同じ姿勢を続けた後は、左足が突っ張る。

上手く付き合っていけるようになったので、

無理せず、けがしないように生活して行こうと思う。

もう、バドミントンはしない。

それは、ちょっと残念だが、仕方のないことだ。

人の何十倍もやってきたんだから…

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やってしまった 梨花 @shinobu1120

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