第52話 見られてた

最近では、リハビリは週1にしている。

痛みもほとんどなくなったが、ツッパリ感はまだまだあるので

リハビリは続けている。

先日、電気治療をしていると、隣で治療していた女性が、

「その足は、手術されたんですか?」

と聞かれた。

「アキレス腱を切ったんですが、手術はしてないんですよ。」

と答えると

「去年は、黒い装具つけて、松葉杖ついておられましたよね。

その時に比べたら、普通に歩かれてるなと思いました。」

「ご存知でしたか。そうですね。ほぼ普通に歩けるようになりました。

走ったりは出来ませんが。」

見られてたんだなと思った。

この女性は、変形性膝関節症なのだ。

手術を勧められたが、80日間の入院だと言われ、

御主人に

「80日、自分のこと出来る?」

と聞いたら、返事がなかったという。

「80日間、1人で暮らせそうにないので、諦めました。ずっと、こうしてリハビリに通うだけです。」

「膝は、手術するといいらしいですが、手術しても痛みがある人も多いですね。」

「そうらしいです。K先生ですよね。私は、Mさんなんですが、娘の同級生だから、

あんまり言えなくて。」

なるほど。

この女性も1年以上通っているのだ。

さすがに、1年以上通う人は少ないので、

知った顔は少なくなったが、

杖をついてやっと歩いていたおじいちゃんは、

昨年の秋に膝の手術をして、

2か月後に退院し、またリハビリに戻ってきた。

今では、杖なしで歩けるようになっている。

手術を早めにした方がいい場合もあるが、

年配になると、手術しても完治が難しい場合もあるので、

悩み所だ。

しかも、足や膝は、入院も長く、リハビリも長い。

歩けないうちに筋力も落ちる。

手術する選択も家族や環境にかなり左右される。

自分が、その立場にならないと分からないことだ。

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