第33話 癒着

久しぶりに県リハ(県立リハビリテーションセンター)でMRI検査と診察だ。

1ヵ月ぶり。

朝、7時半に家を出て、受付機で診察の順番を取る。

2番をゲットだ!

MRIは、9時半から予約している。

診察も予約しているのだが、当日の受付の順番が優先される。

ので、早い番号をゲットする必要があるのだ。

一旦家に戻って、洗濯物を干して、もう一度県リハへ。

車で20分ほどなので、この技が使える。

家に戻れない人は、2時間病院で待つしかない。

この裏技は、看護師さんが教えてくれた。

MRIの検査室。

BGMは、西野カナだ。

ヘッドホンから流れる。

左足が固定される。

多分動けないんだろうが、動いたらいけないと思って

身体中に力が入る。

MRIのあの打撃音のような音が、ヘッドホンから流れると、

西野カナも聞こえない。

この音どうにかならないのか。

頭のMRIを撮る時は、ただでさえ頭痛がするのに

耐えがたい音だ。

ヘッドホンを着けるのなら、

逆の周波数をかければ、音を消すか、下げることが出来るはずだ。

実は、音のしないMRIの装置は既に出来ているそうだ。

かなり高額なので、入替えはなかなか進まないと聞いたことがある。

金曜日は、患者さんが多い。

「いつになるんかね~」

というボヤキも聞こえてくる。

私は、2番なので、MRIから戻って少ししたら、診察室に呼ばれた。

裏技使ってるので。

「アキレス腱大丈夫ですね。どうですか?」

「リハビリには通っていますが、正直あまり変わってないというか、しこりが固くなります。癒着はあるんでしょうか」

「MRIでは、癒着は分からないです。そうですね。今日は、注射しましょう。」

「注射ですか。」

「アキレス腱と筋肉の間に注射液を入れます。隙間を作れば、動きもよくなるかも知れません。」

うつ伏せに寝る。

整形外科での注射は、今まで幾度となく経験している。

かなり痛い。

とは言え、20秒くらいで終わるはずだ。

「少し痛いですよ。」

針が刺さるのが分かる。

痛いよ~

2,30秒経っても終わらない。

??

痛い。

「痛いですか。大丈夫ですか。」

「痛いですが、大丈夫です。」

本当は、相当痛いし、長い。

多分3分くらいかかったのではないか。

針が抜かれたが、血が止まるまで待った。

「液が入りにくいのは、癒着があるからでしょう。」

「これからU先生のところでリハビリなんですが、大丈夫でしょうか?」

「むしろ、リハビリで動かしてみて下さい。効果があるか診たいので。」

手術はしないのかな。

「U先生とは密に連絡取ってますから、様子は聞きます。来週も一緒に飲むんで。」

1か月後の診察ということで、U整形外科へ。

U先生の診察。

「MRI撮りました。アキレス腱自体は順調のようです。注射をしたんですが、

液が入りにくかったので、癒着があるだろうと言われました。」

注射液のせいで、足の甲が浮腫み、紫色になっている。

「O先生も色々考えておられるし、僕も心配しています。早く、普通に歩けるようになるように、O先生と相談しながらやりますから。」

「一緒に飲み会するって言われてました。」

リハビリに行く。

特に動きが良くなるというほどではない。

お店に東京からIさんが、顔を出して下さった。

「東京にまで、大けがをされたと聞こえてきましたよ。心配で来ました。」

出張のついでではあったと思うが、ありがたいことだ。

翌日も、その後を心配して様子を見に来てくれる人が数人。

もうすぐ5か月だ。

ふ~

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