第22話 類は類を呼ぶ?

松葉杖は、それだけで目立つし、痛々しい感じがしてしまう。

先日乗ったタクシーでも、

「近くて申し訳ないんですけど。その辺グルグル回ってもらってもいいので。」

と言うと、

「いえいえ。骨折されたんですか?」

と聞かれた。

「いえ、アキレス腱を切ってしまって。」

「そうですか。松葉杖大変ですよね。私も3年前に骨折して松葉杖でした。」

近距離だけど、いたわりの言葉をかけてくれる。

数日前には、初めてのお客さん。

お一人様、京都から。

「すみません。松葉杖なので、椅子で移動させてもらってます。」

「大丈夫ですか?骨折ですか?」

「いえ、アキレス腱を断裂してしまって。」

「僕も10年前かな、切りましたよ。大変ですね。」

「そうなんですか?どうされたんですか?」

と経験談に花が咲く。

その方は、夜の駐車場で車の後ろに回ったら、溝があることに気づかず、

落ちてしまい、胸を強打し、肋骨が3本折れた。

胸の痛みだけだと思っていたら、翌日には、右足が腫れて動かない。

診てもらったら、アキレス腱が切れていたそうだ。

肋骨が折れていても、通常はコルセットをするだけなので、かなり痛い。

そのため、松葉杖が持てなかったそう。

「くしゃみしても痛いんですものね。松葉杖は、結構力いるから無理ですね。」

「僕は手術しましたが、当時は、1人暮らしだったので、不自由しましたね。」

共感!

「リハビリを途中で止めてしまったんで、未だに痛みが出ます。リハビリは、しっかりやった方がいいです。」

「わかりました。長いですね。」

「長くかかりますが、お大事にして下さい。」

初めてなのに、アキレス腱でとても親しくなれた。

他にも、父親がアキレス腱を切りましたとか、

妻がママさんバレーで切りましたとか、

結構、周囲に同じ経験の方が多いことに気づいた。

まあ、松葉杖という目立った格好なので、

実はという話になるのだろう。

類は類を呼んでいるのではないだろうが、

骨折の経験の人も含め、

多くの人がいたわりの言葉をかけて下さる。


もうすぐ、10連休という前代未聞のゴールデンウィークが始まる。

今年は、どこにも行けないし、何も出来ない。

いや、頑張れば、電車くらい乗れるかも?

駅まで歩くのにどれだけかかるのか?

エスカレーターは、苦手だ。

やっぱり、やめよう。

日帰り温泉くらいと思うが、装具は、外履きみたいなものだし、

松葉杖で?ってなるな。

車のタイヤ交換はどうしよう。

タイヤを持つのは無理だな。

装具の動きがわずかなので、歩きづらい。

今度の診察で、装具をもう少し動かせるようにお願いしよう。

歩きやすくなれば、もう少し行動範囲も広げられるはず!

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