えっ?『魔女』に逢いたい?・・・本当は内緒、なんですけどね・・

19世紀、英国、ロンドン。
霊障に悩む紳士が訪れた先は、霊能者の棲み処。
――血濡れの心臓通り――
なんとも禍々しい名が付く通りに、その棲み処はあった。
紳士が部屋に入ってみると、大の字になって床にのびている男がいた。先客か?
驚いていると、一人の少女が紳士の腕を掴み、外へと連れ出す。
驚くほどあどけなく、美しい少女だ。
・・しかし、どうも会話が成立しない。
妙なことばかりを口ずさむ少女は、しかし紳士に向かって言う。

「霊が360体憑いています」


・・まるで、過ぎ去りしときの英国を、登場人物たちとともに歩いているかのような舞台設定。さりげなくちりばめられた小道具には、豊富な知識に裏打ちされた情報がぎっしりと満載。なので、まるで映画の中に入ったかのように、語られる風景がごく自然と立ち上がってくるのです。

第1話は、読者は少し『置いてけぼりをくう』ような感覚を、ひょっとしたら持つかもしれません。
それは、あまりに唐突で、あまりに不明なセリフが多いから。

でも、ご安心あれ。

とりあえずは、そのまま読み進みましょう。あと一話、あと二話と読み進めていくうちに、どっぷり物語に嵌っているご自身に気付くはず。
そして。
更に読み進めていくと、あの「置いてけぼりをくらった第1話の意味」が、ぱあっと開けて見えてくるはずですから。
「うまいっ!」と思わず膝を叩いてしまいますよ?

「物語り」の名手が、丁寧に丁寧につくり上げた世界。

・・是非、魔女に逢いに、行きませんか?

おススメですよっ!

その他のおすすめレビュー

呪文堂さんの他のおすすめレビュー173