一人生きていても‥‥

俺には夢があった‥‥‥

元いた世界でも、死ぬ前には夢があった‥‥

だが自ら命を絶った俺には、その時点で夢も潰えた。

そして今度もまた‥‥‥この世界でも‥‥‥俺の夢は潰える‥‥‥のか‥‥。


俺は立ち上がった。この焼き焦げた大地を。光がさい疑られた空の下で。

そして俺は歩き出した‥‥ゆっくりと歩き出した。もしかすると人が、俺みたいに生きているのではと、微かな望みを抱いて‥‥‥


俺は歩いた。歩いて歩いて歩きまくった。休憩も取らず、歩いた。一日中歩いた。

だが‥だが、俺の目に入るのは、焼き焦げた大地、光がさい疑られた空、大地に転がる黒い塊‥‥‥



「本当に‥‥誰も居ないのか‥‥俺だけなのか‥‥‥」



俺の頭に‥心によぎったのは‥‥


ーーー絶望‥‥俺一人になってしまった‥‥一人生きていたってしょうがない‥‥俺は前世と同じで、またも自ら命を絶つのかーーー



俺は空を見上げるとポツリと呟いた。



「もう‥‥疲れた‥‥」



目を閉じて深いため息をしてゆっくりと目を開けた‥‥



「なんだ?‥‥目にゴミが?」



俺は手で目を擦ると、目を細めて空を見た。



「ゴミ‥‥では無い!なんなんだ⁈」



それは徐々に近づいてきた。そして‥‥



「‥‥あっ‥うっ、ううっ‥‥鳥だ‥生きていた‥生きていたんだ」



渡り鳥だろうか?一羽だけが、俺の上空をゆっくり飛んで行く。

俺は空を見上げながら、自然と涙が溢れた。



「おおおおい!おおおおい!」



俺は無我夢中で鳥に、手を振って叫んだ。

しかし相手は鳥。人の言葉など分かるわけなく、そのまま飛び去って行ってしまった。

けど俺は、



「生きていた‥‥生きていたんだ‥‥生きていたんだ!」



俺は止めた足をまた歩み出した。

あの鳥を見て‥微かな希望を抱いて歩き出した。


『人が生きているかも‥』


そう思いながら歩き出した。あの鳥を追う様に‥‥‥。



  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

バッドエンド‥‥‥ 本田 そう @Hiro7233

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ