第6話:戦場はヘスペリア平原

第6話:Aパート

 革命軍の機動兵器を迎え撃つため、ヘリウム首都からヘスペリア平原へ伸びる街道を突き進んでいたアルテローゼと指揮車だが、あと少しで接敵するという所で、レイフは停車を命じた。


「レイフ、どうして止まるのですか? 早く進みましょう」


 猪武者の様に先に進もうとするレイチェルに対し、


『レイチェル、慌てるな。このまま敵の情報を持たずに戦いに望んでどうする。まずは敵の情報を探るべきだろ。『敵を知り己を知れば百戦危うからず』という故事がこの世界にはあるだろ。…ディビット少尉、偵察ドローンを出して敵の様子を探ってくれ』


 レイフは、ディビットに偵察ドローンを出すように命令した。その様子を見て、レイチェルは自分が戦いに逸っていたことを自覚して、顔を赤らめた。


『了解。偵察ドローンを出しますよっと』


 ディビットの操作によって指揮車の天井が開き、そこから偵察ドローンが一機飛び立った。イオンクラフトによって無音で飛び立つ小型の球体は、地面すれすれに飛び、衛星から送られてきた革命軍の機動兵器がいる地点に向かっていった。後は、偵察ドローンが情報を送ってくるのを待つだけである。


 偵察ドローンは時速百キロの速度で街道に沿って進み、映像を送ってくる。そして十分ほどで革命軍の機動兵器がいると思わしき地点の映像が映し出された。


「酷いですわ」


 街道の脇に破壊された車両の残骸が散らばっているのを見て、レイチェルは顔をしかめる。


『車両は破壊されているが、死体は見当たらないな。壊され方もミサイルやレーザーではなく、重機のアームのような物で破壊されたようだ。もしこれをやったのが重機だとすると全長二十メートルの四足歩行タイプの重機になるんだが…、そんな重機は、軍のデータベースにも載っていないんだよな~』


 ディビットは、車両の残骸から敵の機動兵器について分析を行っていた。その的確な分析にレイフは『(以外と使える奴}』と、ディビットの評価を上げるのだった。

 それとは別にレイチェルは、死体が見つからないと聞いて「良かった」と小さく呟き、安堵するのだった。


『それで、肝心の敵は何処にいるのだ』


 レイフは、偵察ドローンで敵機動兵器が見つからない事に不安を感じていた。デビットの指示で偵察ドローンは物陰に身を隠すように移動して、周囲の映像を送ってくるが。


『周囲に敵機動兵器の姿は発見できませんね~。もしかして衛星が送ってきた位置から、どこかに移動しちゃったとか、それとも隠れているのか…』


『見れば分かるだろ。二十メートルの巨体が隠れる場所など何処にも無いぞ。ええい、見つかるのを恐れていては、見つかる物も見つからん。ドローンの高度を上げて広範囲を索敵させるぞ』


『ちょっ、AIが俺のドローンを勝手に動かすな。…しかも、どうやってドローンの制御を盗んだんだよ』


 レイフは指揮車と偵察ドローンの通信に割り込むと、偵察ドローンの制御を奪い取った。この偵察ドローンは、ディビットがOSをカスタマイズした特別製で、彼以外操作できないとディビットは自負していたのだが、あっけなくレイフに制御を奪われてしまうのだった。

 ちなみに、ドローンの制御をレイフが奪えたのは、彼がが天才的なハッカーだったわけではなく魔法のおかげだった。帝国時代のゴーレムを使用した戦いでは、相手のゴーレムの制御を奪い取るという戦法もあった。もちろんゴーレムはそう簡単に制御を奪われる物ではないが、世界最高のゴーレムマスターであるレイフともなれば、当然その手の魔法に精通していた。

 敵のゴーレムの制御を乗っ取る魔法をAIであるレイフが使うと、データ通信で繋がっている偵察ドローンの制御など簡単に奪うことが可能だった。魔法の前には、ファイヤウォールも暗号キーもまるで意味をなさない。まさに魔法によるクラッキング・チートであった。

 しかし、そんな事をを知らないディビットは、「AIごときにクラックされるとかあり得ないだろ」と、自分の技術に自信をなくして落ち込んでしまうのだった。


「破壊された車両の残骸ばかりですわね。敵は一体全体どこにいるのでしょうか」


 レイチェルは、高度を上げたドローンからの映像をじっと見るが、敵などどこにも見つからなかった。


『指揮車のレーダーだけど、遠距離が霧がかかったようになって、索敵不能だわ。ケイイチ、整備をサボったな』


『マイケル。俺は、車両整備に手を抜かない主義だ』


 指揮車の整備は、ドライバーであるケイイチが最終チェックをしている。ケイイチは無口だが、自分の命を預ける指揮車の整備を彼は今まで手を抜いたことはなかった。しかし実際の所、マイケルが見ているレーダー・モニターは至近距離以外真っ白に表示されているのだった。


『じゃあ、これは一体どうなっているんだよ』


 マイケルはレーダー・モニターをバシバシと手で叩くが、そんな事でレーダーが正常に表示されるわけはなく、ケイイチは「確認してくる」と外に出て行った。


『もしかして、大シルチス高原と同じことが起きてるんじゃないのか? 知り合いに聞いたんだが、あの戦いでもレーダーが役に立たなかったらしいぜ』


 そう言い出したのは、多脚装甲ロボット担当のホァンであった。


『(敵の姿が見えない。そしてレーダーが不調? 確かそんなデータ情報が有ったな)』


 レイフは、大シルチス高原での戦いの記録をヴィクターに頼んで入手してもらってらいアルテローゼのデータベースにコピーし分析を行っていた。帝国の筆頭魔道士として数々の戦を切り抜けた彼は、過去の戦いの記録の需要性を理解していた。そこでレイフは、ホァンの言う通りレーダーが役に立たなかったという証言が多数残っているのを見つけた。連邦軍の技術部は、レーダーが不調になったのは、巨人のジャミングであると分析してたが、その原理までは解明できていなかった。


『(そうなると、司令部との通信は…当然ジャミングされているか。これは巨人の時と同じだな)…敵の機動兵器ゴーレムはどこかにいる。みんな周囲の警戒を怠るな』


 レイフは全員に周囲の警戒を命じると、偵察ドローンが送ってきた映像を再度分析する。


『(本当に何処に消えたんだ。まさか地に潜ったとか。…いや二十メートルの巨体が地に潜ったら地面に痕跡が残るはず。後は魔法で姿を消す? しかし透明化の魔法は魔力マナ消費が激しいうえに殆ど動けなくなる。待ち伏せには向かないぞ。それに衛星からは敵は見えているのだ。見えていないのは、偵察ドローンのカメラだけ。敵は一体どうやって姿を隠しているんだ?)』


 レイフは、姿の見えない敵に不気味なものを感じていた。


『ん?』


 レイフは、偵察ドローンの映像で奇妙な後を見つけた。それは巨大な何かが移動した跡…いやそれは足跡だった。


「レイフ、何か見つけたのですか?」


『ははっ、儂も間抜けでだな。こんな簡単な事に気がつかないとは。レイチェル、敵の位置が分かったぞ。この距離なら90ミリ・レールキャノンで先制攻撃がかけられるな』


 レイフは、肩に装備された90ミリ・レールキャノンを射撃位置に移動させ、敵に対して先制攻撃をかける準備に入った。


「レイフ、敵の位置を見つけたのですか?」


『説明は後だ。とにかく今から照準するか発射トリガーを入力してくれ』


「は、はい」


 レイチェルは、レイフの勢いに押されたのか、返事を返すとスティック操縦桿の安全装置を外して発射トリガーを有効化する。

 レイチェルが発射トリガーを入力するのは、AIでは武器の発射許可を出せないという縛りがまだ有効だからである。


 現在の距離ではアルテローゼのカメラは地形に遮られて目的の場所が見えない。そのためモニターには偵察ドローンからの映像が映し出され、それに照準が被って表示された。


「レイフ、この照準だと何もないところを撃っているようですが…」


 モニターで照準されているのは、何もない場所であった。あちこちに車両の残骸があるが、そこには敵の姿はなかった。


『それで正解だ。説明は後でするが、敵はここにいるはずだ』


 しかし、レイフにはそこに敵がいることを確信していた。


「…分かりましたわ」


 レイチェルは、レイフを信じることにし、発射トリガーに指をかけた。


『レールキャノンを撃ったら、敵機動兵器はこちらに向かってくるはずだ。今のうちに多脚装甲ロボットを全部下ろして、指揮車は後退してくれ』


 レイフは、戦闘に邪魔な指揮車に後退を命じた。実際司令部と通信ができない状態では、航空支援も呼べないため、指揮車ができるのは偵察ドローンと多脚装甲ロボットの操作だけである。よって戦いの足手まといとならないように離れてもらうのだ。


『おいおい、まだ敵は見つかってないのに、俺達を下げて射撃? アルテローゼのAIは何を考えてるんだ? 』


 ディビットが、突然の後退命令にびっくりしたのかレイフに喰ってかかる。


『儂は敵を見つけたぞ。お前達も偵察ドローンの映像をよく見るんだな』


 レイフがそう返すと、ディビット達は『マジかよ』と叫んで映像を見直し始めた。


『多脚装甲ロボット、全部下ろしたぞ。これで指揮車こっちは、ぼぼ丸腰だな』


 指揮車の後ろから歩兵代わりの多脚装甲ロボットが五台でてくる。ホァンの言う通り、指揮車の武装は、車両上部の対人レーザー機銃だけとなった。

 指揮車は元々ロボット兵器を操作する為の車両なので、自前の武装はこの程度なのだ。


『…後退するぞ』


 ドライバーのケイイチは、レイフの後退指示に特に文句も言わず、指揮車の移動を始めた。


『これぐらいで良いか。レイチェル射撃開始だ』


 レイフは、指揮車が十二分に離れたのを確認すると、レイチェルに射撃を命令した。


「だ、大丈夫ですわよね。では、撃ちますわ」


 レイチェルが震える指先で発射トリガーを引き絞ると、肩のレールキャノンが「ブシュッ」と鈍い音を立て、砲弾が発射された。

 火薬を使用しないレールキャノンの発射音は以外と静かだが、音速の十倍という速度で射出されたAPFSDS弾は、レイフが照準した何もない場所に飛翔していった。


「外れますわ…」


 レイチェルの言う通り、砲弾は何もない空間を通り過ぎると思われたが、そこで突然空間に波紋のような物が広がると、何者かが空間から姿を現した。


『やはり、砲弾は止められたか。想像通り敵はプロテクション・フロム・ミサイルではなく、シールドの魔法を使っているようだな。しかしこの威力の砲弾を止めるとは、なかなかやるではないか』


 レイフは、したり顔(いや顔はないが)で頷いた。


 アルテローゼの発射した砲弾は、空間から現れた巨大な獅子のロボットに命中した。いや命中したのは、巨大な獅子が張り巡らせた光り輝く盾…というか、ぶっちゃけ光○力バリアーとしか見えない物に当たって、止まってしまった。


「どういうことですの? 何もないところからメカ・ライオンが現れましたわ」


 レイチェルは、突然姿を現したライオン型機動兵器に驚く。


『ええっ、もしかして光学迷彩? そんな最先端技術を、なぜ革命軍が持っているんだよ』


 一方ディビットは、この時代でも開発できていない光学迷彩技術を革命軍が持っていることに驚いていた。


『ディビット、あれはお主が考えている様な物じゃないぞ』


 レイフは、既に敵が隠れていた技術を見破っていた。


『儂の知っている魔法には、完全に姿を隠す物がある。それはディビットの言う光学迷彩という物になるだろう。だがそんな魔法をあの巨体にかけ続ければ、あっという間に魔力マナが切れてしまうのだ。つまり、巨大獅子は、そんな魔法は使っていないのだ。彼奴が使ったのは、魔力マナ消費が最初だけ必要なシールドという魔法だな。そのシールドの魔法に、どうやってか周囲と溶け込む映像を映し出して、隠れていたのだ。だが隠れるなら足跡ぐらい消しておけと言いたいぞ』


 巨大な獅子が使ったのは、自分の周囲に映像を映す疑似光学迷彩…というか忍者の隠れ蓑術に近い物だった。

 このシールドの魔法は使用すると、敵の攻撃を防ぐことができるのだが、移動に制限がかかるのだ。ようは待ち伏せのためのトリックに近い物だった。しかし、この手は以外と有効で、レイフ達は最初完全にだまされていた。レイフが獅子の位置に気付いたのは、その足跡が残っていたからであった。敵は間抜けにも姿を隠していたのに足跡を隠すのを忘れていたのである。


 レイフが得意げに隠れていた方法について説明をすると、レイチェルは「そうなのですか」と素直に納得し、ディビットを含めた指揮車のメンバーは『魔法だって? 何じゃそりゃ』と何ともいえない顔をするのだった。


『とにかく、こっちに巨大獅子がやってくる。レイチェル、レールキャノンを撃ちまくるんだ』


 レールキャノンの攻撃で、アルテローゼの接近に気づいた巨大獅子は、シールドを解除すると駆けだした。それに対してアルテローゼレイフは、レールキャノンでアウトレンジから攻撃を仕掛けた


「冗談じゃありませんわ」


『これは、凄い。野生の感とでも言うのか。一体どうやって回避をしているのだ。レイチェル、彼奴は手強いぞ』


 音速の十倍という速度で発射されるレールキャンの砲弾は、撃たれてしまうと避けることはまず不可能である。その為巨人はプロテクション・フロム・ミサイルの魔法で守っていた。

 しかし巨大獅子は、撃たれる寸前に照準外に機体をジャンプさせることで、魔法を使わずに砲弾を避けていた。これは、アルテローゼがレールキャノンを発射するタイミングが分からないと無理な芸当である。某漫画の新しい型の人でないのなら、野生の感としか言いようのない芸当であった。


 そして、レイフが神がかりな回避行動にレイフが感心している間に、獅子とアルテローゼとの距離はどんどん縮まっていた。


『レールキャノンでは獅子の動きを捕らえられそうにないな。こうなったら格闘戦で勝負するしかない。レイチェル、機体を立ち上げるぞ』


「ええ、レイフに任せますわ」


 レールキャノンの発射を止めて、アルテローゼは戦車形態から人型形態に変形する。まあ、立ち上がるだけなので変形には1秒しかかからないのだが、その隙に巨大獅子はアルテローゼの目の前にまで迫っていた。



 ◇



 アルテローゼと巨大獅子が対峙している中、安全圏まで退避した指揮車では、五人組がその様子を見守っていた。


「おいおい、あの巨大猫はレールキャノンの弾を避けてるぜ。撃たれる前に回避行動をとるとか予知能力者エスパーがパイロットなのか?」


 ディビットは、巨大獅子の回避行動を分析すると、両手を万歳して驚きを表現していた


「いや、それも四足歩行の機動性があってこそだな。あの機動兵器の耐G性能はアルテローゼと同じか、それ以上だぜ。あれを作ったメーカは何処だよ。あれと連邦軍の戦車部隊が戦ったら、負けるぞ」


 マイケルは、巨大獅子が横に跳ねて砲弾を回避したのを見て、あきれていた。


「いや、弾を反らすんじゃなくて回避しているってことは、避けなきゃ当たるって事だろ? 前に戦った巨人は、弾が当たらなかったからな。巨大獅子の方は、数打ちゃ当たるだろ」


 ホァンは、多脚装甲ロボットのレーザー機銃や40ミリ・グレネード弾が巨大獅子に通じるか、巨大獅子の装甲の分析を始めていた。


「航空支援できたらレイチェルさんに感謝されるかな。司令部に連絡が付けば、攻撃ヘリ呼んでアルテローゼを支援させられるんだ。ディビット、何とか電場妨害を解除できないか?」


 クリストファーは、戦闘ヘリで援護することでレイチェルに良いところを見せたいらしいが、戦闘ヘリの制御モニターは『NO CONNECT』と表示され、通信不能であることを示していた。


「ちょっと待てよ。近距離通信ができるのに、遠距離だけ妨害されてるんだ。妨害の発信源があの巨大猫とすると、その手段がおかしいんだよ」


 ディビットは、クリストファーに言われるまでもなく指揮車の通信装置やECM/ECCMをチェックしていた。しかし、ディビットががんばっても、長距離通信が回復する気配はなかった。

 普通の通信妨害であれば、ディビットの言うように偵察ドローンとの低出力の通信ができて司令部との高出力通信が妨害されるのはおかしい。つまり、巨大獅子は普通とは異なる手段で通信やレーダーを妨害していると、ディビットは考えていた。


「ああ、ついに肉薄されたぞ。本当に巨大ロボット同士で格闘戦をやるのかよ」


「機動兵器が殴り合うとか、旧時代のロボット映画の世界だよ」


「レイチェルさん頑張れ!」


 そんなやりとりが指揮車内で行われてる間に、モニターにはグランドフォームとなったアルテローゼと巨大獅子が、今まさにぶつかり合おうとする光景が映し出されていた。



 ◇



 レールキャノンの弾をかいくぐり、アルテローゼに近づいてきた巨大獅子。そのままの勢いでアルテローゼに襲いかかってるかと思ったのだが、なぜか100メートルほどの距離を挟んで立ち止まった。


「突然撃ってくるなんてひどいじゃないか。ガオガオがシールドを張ってなかったら、僕たち大変な目に遭っていたよ」


 立ち止まった巨大獅子から聞こえてきたのは、どう聞いても子供の声だった。


「え、子供?」


『子供の声じゃな』


 その事実にレイチェルは驚くが、レイフは意外と冷静に受け止めていた。


「どうして子供が乗っているのですか?」


 レイチェルは、子供の声が聞こえてきたことにかなり動揺していた。自分が命を賭けて戦う相手が子供ともなれば、歴戦の兵士であっても動揺するのだ。ましてやレイチェルは、普通の兵士ですらないのだ。心が乱されないわけがなかった。


『ふむ、敵も汚い手を使ってくるの。少年、いや声からしたら少女というか幼女だな。しかし、少女兵を差し向けてくるとか、邪神信者と戦って以来のことだな』


 一方レイフは、多少驚いたがそこまで動揺はしなかった。何故ならレイフは帝国の筆頭魔道士として様々な戦場を経験してきた。その中には年端も行かない子供を兵士としたり、生け贄として悪魔を呼び出して憑依させ戦わせたりするような連中もいたのだ。


『レイチェル、たとえ相手が子供であっても兵士であれば戦わねばならないのだ。それが軍という物なのだ。それにもしかすると、子供の声を聞かせてこちらの動揺を誘っているのかもしれないぞ』


 レイチェルを励ますように言ってアルテローゼレイフは、槍と盾を構え巨大獅子ガオガオとの格闘戦に備えるのだった。


「ですが、もし本当だったら。子供相手に戦うなんて、私には…無理ですわ」


 レイチェルのスティック操縦桿を握る手は、震えて汗ばんでいた。


『(これはレイチェルに戦わせるのは難しいか。新兵のかかる病の一種だな。) 分かったよレイチェル。お前は優しすぎるのだ。巨大獅子あれとは儂が戦う。お前には許可だけ出せば良いのだ』


「レイフは、AIだから冷静ですね。…ええ、そうですわね。私はレイフに言われたとおりにトリガーを引きますわ」


『任せておけ。大丈夫、レイチェルが望まぬ結果は出さぬよ』


「できれば、パイロットは殺さないでください」


 レイチェルは、巨人のパイロットがレイフによって殺された事を知っている。そうしなければ殺されていたのは自分であり、レイフだった。そう割り切れれば良いのだが、レイチェルにとって戦いはまだ二度目でありそんな割り切りはできなかった。


『当たり前だが、儂は最善を尽くす。その結果がどうなるかは相手次第だな』


 アルテローゼは、巨大な槍を巨大獅子ガオガオ心臓コアに向かって構えるのだった。



 ◇



 巨大な獅子の形をした巨大機動兵器。中の少女によると、名称はガオガオらしい。そしてそのコクピットだが、前の巨人の何もないコクピットとは異なり、近代的な装いだった。少女はバイクのようにまたがって座るシートに座り、その周囲はモニターが取り囲んでいた。俗に言う360度モニターだが、それには周囲の風景が映し出されており、ハンドルを握る少女は巨大なバイクに乗っているようであった。


 そしてその少女は、今現在頭から湯気がでそうな勢いで怒っていた。その体つきから年の頃は10歳程度と思われる少女は、赤黒い髪の毛に抜けるような白い肌であり、それが彼女が火星で生まれた生粋のマーズリアンであることを示していた。


「ほんと、いきなり撃ってるくるんだもの。ひどいよね、ガオガオ。しかもこっちが気づかない距離から撃ってくるなんて、やっぱり地球の人は卑怯で卑劣で、臆病者だよ」


 少女は、どうやら地球人に対して良くない印象を持っているようだった。といっても、これは一般的なマーズリアンの地球人に対する印象なのだろう。

 しかし、自分は疑似光学迷彩で隠れて待ち伏せをしていたのに、それを見破られて遠距離から撃たれて卑怯というのは、子供らしい自己中な評価であった。


『グルル』


 コクピットに、少女の言葉を肯定するかのように獣のうなり声が響く。


「そうだよね、ガオガオもそう思おうよね」


 他の人には獣のうなり声にしか聞こえないのだが、少女にはガオガオの意志が伝わっているようだった。


「とにかく、アレをやっつければサトシが喜ぶんだよね。ちゃっちゃと片づけて、早くオリンポスに帰ろう」


 少女はガオガオにそう語りかけると、操縦桿を捻る。


『ガォーン』


 少女の操作にて出力をあげたガオガオは、雄叫びをあげるとアルテローゼに向かって走り出した。



 ◇



「来ますわ」


『分かっている。レイチェルはしっかりスティックを握っていろ』


 走り出したガオガオは、アルテローゼに一直線に向かってきた。

 アルテローゼレイフは、盾と槍を構えて攻撃の機械を伺う。


 槍を持った人と獅子。まるで地球のアフリカかという光景が、火星で実現した。


『ここだ!』


 アルテローゼレイフが気合いを入れて槍を突き出す。


「当たんないよ~」


 しかし、少女とガオガオはその穂先を見切って、空に飛び上がった。

 そして、ガオガオの右の爪がアルテローゼレイフの頭を狙う。


『何とー』


 アルテローゼレイフは、ランドセルで前にダッシュすると、かろうじてその爪をかいくぐった。


 ガキッ


 アルテローゼ頭部にある、V字型のサブ通信アンテナの片方が砕け散る。

 そして、ガオガオは地面に着地し、アルテローゼレイフはUターンして、二体の機動兵器は位置を入れ替えて再び対峙した。


『いまだっ、レイチェルトリガーを引くんだ』


「は、はい」


 レイフに促されレイチェルがトリガーを引くと、アルテローゼレイフは、振り向いた瞬間にミサイルを発射した。


 16連装のミサイルランチャーから対戦車ミサイルがワイヤーの尾を引いて飛び立つ。


『(本当なら、対戦車ミサイルに必中の魔法を付加できればよかったのだがな)』


 革命軍が使っていたプロテクション・フロム・ミサイルの魔法を打ち破る方法としては、矢にシュート・アロー必中の矢の魔法をかけるというのがある。レイフは出撃前に対戦車ミサイルやレールキヤノンの弾頭に魔法をかけられないか試したのだが、魔法を付加することはできなかった。では、材料となる物に魔法を組み込み、錬金術で製造すれば良いのではと、ミサイルを分解してその弾頭に魔法を付与すると、それは上手くいった。しかし、弾頭にロケット部分を追加するととたんに付加した魔法が消えてしまったのだった。


 そして試行錯誤の結果、プロテクション・フロム・ミサイルの魔法に対抗策として見つけだしたのが、有線誘導式ミサイルだったのだ。


 対戦車ミサイルの誘導方式には、レーザー誘導や赤外線認識、有線誘導など様々な種類がある。その中でも現在主流として使用されているのは赤外線の画像認識による物だ。この追尾方式の利点は、ミサイルがロックオンして発射すると後はミサイルが勝手に目標を追尾してくれることである。それに比べレーザーや有線誘導は発射した後もレーザーを照射するなどミサイルの照準を合わせ続ける必要があるのだ。

 しかし、便利な追尾方式のミサイルは、プロテクション・フロム・ミサイルの魔法に対して無力だった。ミサイルの制御AIは魔法によって軌道がずらされた事に気づけず、狙いを外してしまうのだ。


 そこでレイフが選んだのは、もう使われることが殆ど無くなった有線誘導式の物だった。有線誘導式は文字通りミサイルを有線で誘導するため、速度が遅く射程が短いという欠点が存在する。しかし、他の誘導方式と異なり有線でミサイルの軌道を制御できるため、プロテクション・フロム・ミサイルの魔法に対応できるのだった。


 ともかく、至近距離で放たれた16発のミサイルは、ガオガオに向かっていった。レールキャノンと異なり時速300キロほどの速度ではあるが、レイフによりガオガオを包囲するように誘導される。ガオガオには逃げ道など無いのだ。


「甘いよね。ガオガオ、全部避けるよ」


『ガオーーーーン』


 少女の命令にガオガオが叫ぶと、ミサイルに向かって駆けだす。


『馬鹿な、死ぬつもりか?』


 レイフは、対戦車ミサイルをガオガオの脚や下半身と言ったコクピットがない場所に誘導していた。しかし、ガオガオがミサイルにそのまま飛び込んできてはそんな誘導も意味をなさないだろう。


「やめてっ」


 レイチェルが、小さく叫ぶがもう手遅れであった。


 対戦車ミサイルが、ガオガオに命中する。…そう思われた時、少女とガオガオの取った行動は、レイフの予想を超えるものだった。ガオガオは、前方の対戦車ミサイル群に飛び込むと、ミサイルが命中する寸前にシールドの魔法を発生させたのだ。


 レイフは、ガオガオがシールドの魔法を全身に張り巡らせた場合、五~六発の対戦車ミサイルが命中すれば、無効化できるだろうと分析していた。しかしガオガオと少女は、シールドの魔法を全面にだけ張ることで強度を高め、正面から向かっていた四発の対戦車ミサイルをそれで受け止めきったのだ。


 そしてガオガオが前に進んだことで、全方位から命中させることを狙った対戦車ミサイル群は、タイミングをずらされてしまった。左右と後ろ、そして上空の対戦車ミサイルは、一秒程の差で、ガオガオに命中していない状態であった。


『くっ、まだ誘導は間に合うか!』


 タイミングと狙いをずらされたレイフは、残りのミサイルを後ろ向きのガオガオの脚と下半身に誘導し直す。着弾まで一秒も無い状態で、ミサイルの誘導を行えたのは、レイフが電子頭脳並みの思考速度を持ったおかげである。そして当初の狙い通り対戦車ミサイルは、ガオガオの下半身に次々と命中していった。


 ドドド、ドカーン


 残り十二発の対戦車ミサイルが、ガオガオに命中する。連邦軍の主力戦車なら一発で戦闘不能となる対戦車ミサイルがまとめて命中したのだ、被弾したガオガオの下半身がまるでガラスのように「パリーン」と音を立てて砕け散った。


『やり過ぎたか…いや、何かおかしいぞ!』


 レイフは、砕け散ったガオガオの下半身を見て、やりすぎたかと思ったが、まるで鏡にでも命中したかのような破壊の光景に違和感を抱くのだった。


「レイフ、さがりなさい!」


 違和感を抱いたレイフが反応するより、一瞬早くレイチェルがスティックを操作する。それに従って、レイフはアルテローゼを緊急後退させた。

 アルテローゼが後退した一瞬後に、その機体があった場所をガオガオの爪が空振りしていく。


「ちぇっ、外しちゃった」


『ガオン』


 爪による攻撃が外れたことに少女が舌打ちし、ガオガオが申し訳なさそうに鳴く。


「ガオガオのせいじゃないよ。あっちのパイロットの反応が良かったんだよ」


 少女はそう言うとハンドルを切って、今度はこちらが攻撃の主導権を握るぞとアルテローゼの側面に回り込むようにガオガオを走らせた。





『ミサイルは命中しなかったのか』


「ミサイルが当たったのは、シールドに映し出されたライオンさんの虚像ですわ。あの状態からミサイルを全て交わすなんて、信じられない度胸と操縦ですわ」


 レイチェルは、ミサイルによってガオガオが破壊されなかったことを少しうれしく思っていた。しかし、レイフが必勝を確信したミサイルを全て回避し、逆襲まで行ったパイロットの少女の腕と、それに答えるガオガオの運動性に脅威を感じていた。


『まさかシールドに自分を映しだして囮りにするとはな』


 少女とガオガオは、前から来た対戦車ミサイルを受け止めたシールドを背後に回して自分の下半身を映し出すことで、ミサイルの囮としたのだった。ミサイルの爆発に紛れたそんな事をされれば、レイフが見間違うのは仕方なかった。


 ガオガオが側面に回り込もうとするのを見て、アルテローゼレイフは後退を取りやめた。そして、回り込もうとするガオガオに槍を構え牽制するが、その素早い動きにアルテローゼは追従し切れなかった。


『このままでは、巨大獅子あれに翻弄されるだけだな。どうせ飛び道具は避けられるのだ、重荷のレールキヤノンもミサイルランチャーは不要だな』


「そうですわね。私もレイフの考えに賛成しますわ」


 ガオガオの機動性に追いつくために、思い切り良くアルテローゼレイフはレールキヤノンとミサイルランチャーを機体から切り離す。残る武装は、胸部の対人レーザー機銃と槍、そして盾だけという身軽な姿になった。これで周囲を旋回するガオガオに機体の動きがついて行けるようになった。


『パイロットの安全を考えると、狙うは下半身だが、攻撃のタイミング…あわせられるか?』


「私のことでしたら、大丈夫ですわ。レイフに合わせてみせますわ」


『良い返事だ』


 レイフの問いかけにレイチェルは微笑んで答える。


 一方、ガオガオのコクピットでは、


「次で倒そうね」


『ガォ』


 少女が、次こそアルテローゼを倒すぞと息巻いていた。


 スキを窺いながらアルテローゼの周りを駆け回るガオガオと、それを向かい撃たんとするアルテローゼ。その緊張を打ち破ったのは、ホァンが操る多脚装甲ロボットによる攻撃だった。


『レイチェルさん、援護します』


 多脚装甲ロボットは、元々革命軍に歩兵がいた場合に備えての戦力であった。そのため巨大な機動兵器の戦いに巻き込まれないように離れていたのだが、気づけばいつの間にかガオガオの間近に肉薄したていた。


 至近距離から発射されたの40ミリ・グレネード弾は、ガオガオの左後ろ脚の付け根に命中し、幾ばくかのダメージを与えた。


『卑怯だぞ、地球人』


『ガオッ』


 少女が怒り、ガオガオは右後ろ足で攻撃を仕掛けてきた多脚装甲ロボットをまとめて蹴り飛ばした。歩兵サイズしかない多脚装甲ロボットはまとめて鉄くずとなる。


『ちっ、余計なことをする。だが、おかげで隙ができたぞ』


 アルテローゼレイフは、動きを止めたガオガオに向けて、槍を構えて全力で突撃ランスチャージした。下半身の体制が崩れたガオガオには、アルテローゼの攻撃を避ける術は無かった。

 そして突進するアルテローゼの槍先が、ガオガオの左脇腹を捉える。


「それはさせないよ!」


『ガッ』


 腹を貫く寸前ガオガオは槍の柄を、いやアルテローゼの右手を噛んで止めていた。ギリッとガオガオの牙が右手に食い込み、噛み千切られる。


「まだまだですわ」


『ここからだな』


 アルテローゼレイフは、ガオガオに槍の柄ごと右手がかみ砕かれるが、その間に左手の盾をガオガオの左後ろ脚に叩きつけた。


「きゃぁ」


『ギャン!』


 盾はガオガオの左後ろ脚に痛手を与え、アルテローゼは右手を失った状態で二機は交錯した。


『こちらじゃ、この状況を『肉を切らせて骨を断つ』と言うんだったな』


「そうですわ」


 ガオガオの強みはその機動力だったが、今の攻撃でそれは失われた。一方アルテローゼは、槍は失ったが左手の盾は残っていた。この場合、どちらが有利なのかは一目瞭然だった。


「大丈夫、ガオガオ?」


『ガゥ』


「うん、すぐにあいつを片付けて、おうちに帰って、治してもらおうね」


『ガゥガゥ』


 コクピットでは、少女がガオガオに対していたわりの声をかける。ガオガオは大丈夫と言っているようだったが、もちろん少女にもそれはやせ我慢だと分かっていた。少女は、アルテローゼを倒さない限り、自分にもガオガオにも未来はないのだと理解していた。


「こうなったら、これを使うしかないかな。ホントは使いたくないんだけどね。ガオガオちょっと我慢してね」


『キュゥ?』


 何をするつもりなのか、少女は決意する。それに対してガオガオは怯えるような鳴き声をあげた。


「ガオガオ、フルバースト・モードにチェンジだよ」


 少女はそう叫ぶと、ハンドルの中央部を思いっきり叩いた。すると四つのスイッチが並んだコンソールが、シートの中央から飛び出した。


 コンソールが飛び出すのと同時に、ガオガオの外装が変形を始める。背中からは巨大なレールキヤノンの砲身がせり上がり、腹部には左右と下に小型の九連装ミサイルポッドが、前足の両肩にはレーザー砲が飛び出した。どうやらこの姿が、ガオガオのフルバースト・モードのようだった。


『なるほど、今まで射撃武装を隠していたのか。…しかし、何というか武装の取り付けバランスが悪いな。あの状態では、先ほどまでのような機敏な動きができないだろ』


 レイフは、ガオガオのフルバースト・モードを一目見て、その弱点を見いだした。


「レイフ、あれだけの武装ですが、どう見ても胴体には収まらないのですが?」


『ん、あの程度なら容量拡張のエンチャントを施せば、収まるだろ?』


 レイチェルの疑問はもっともで、フルバースト・モードで現れた武装の容量は、どう見てもガオガオの体に収まる物ではなかった。しかし、レイフは帝国時代に無限のバッグといった、容量拡張のエンチャントをゴーレムに仕込んだりしていたため、不思議と感じなかったのだ。


「そーれ、いっけー!」


 少女は、かけ声とともにコンソールのスイッチ全てを叩きつけるように押す。その途端、ガオガオの武装が火を噴き、途切れることのない弾丸とミサイル、レーザーの雨がアルテローゼに降り注いだ。



『あれだけの武装では、自由に動けないと思ったが、どうやら動く必要がなかったということか。このままでは盾にかけた魔法の許容量をオーバーしてしまうな』


「レイフ、何とかならないのですか」


 アルテローゼレイフは、プロテクション・フロム・ミサイルがかかった盾をかざして弾丸の雨をしのいでいた。魔法の力によって、レールキヤノンの弾やレーザーは機体からそらし、ミサイルは、胸部のレーザー機銃で打ち落としていた。

 しかし、ガオガオの射撃は武器と同じく弾までも機体容量を無視して搭載しているとしか思えず、止まる気配がなかった。


 そんな状況で、レイフが言ったように魔法の効果が弱まってきたのか、機体のあちこちに弾やレーザーがかすり始めた。辛うじて胴体への直撃は防いでいるが、肩やランドセルの一部は既にボロボロの状態である。

 一方ガオガオの方も何の反動もなくこの攻撃を続けていたわけではなかった。四肢を踏ん張り射撃の反動に耐えているが、その負荷よるのか機体のあちこちに亀裂がはしっていた。


 さて、この大ピンチをどうやってアルテローゼレイフは乗り切るのだろうか。


『ナレーション、ちゃんと手は打ってあるぞ』


「何をブツブツと言っているのですか。何とかしないと、このままでは私たち削り殺されますわ」


 レイチェルは、今一つ危機感が感じられないレイフに注意する。


『なーに、もう少し耐えれば、こちらの逆転勝利は確実だ。儂を信じて任せておけ』


『そう?ですの。ではレイフに全てを任せますわ』


 レイチェルは、この状況は自分では何もできない事を理解していた。彼女は、レイフの言葉を信用して任せる事に決めた。


『(後少し、そうもう少しで接続完了だ)』


 レイフには、アルテローゼから延びる線が、先ほどパージした武装に延びていく様子が見えていた。その線とは、ガオガオによって破壊されたと思われた多脚装甲ロボットとつながる線であった。そして多脚装甲ロボットがミサイルランチャーにたどり着いたとき、アルテローゼの勝利は確定したのだった。


『その状態では、動けないしシールドも張れないだろ。射撃戦に持ち込んだのが貴様の敗因だったな。喰らえ!』


 レイフの命令で、多脚装甲ロボットがランチャーを操作して対戦車ミサイルを発射した。射撃中のガオガオには、背後から迫りくるミサイルを避けることはできなかった。


 ガオガオが悲鳴を上げるが、対戦車ミサイルが命中した機体は粉々に砕け散っていく。このままでは、コクピットが存在する上半身までも破壊されて少女は死んでしまう。


「ガオガオー!」


『ギャォーーーォン』


 少女は覚悟を決めて、ガオガオの名を叫び、ガオガオは何とかコクピットを護ろうとするが、それも無駄なあがきだった。情け容赦なくミサイルはガオガオを破壊して行く。少女の命は風前の灯火だった。


 しかし、そのとき少女を救ったのは、ミサイルから上半身を護る様にガオガオの胴体に盾を突き刺したアルテローゼだった。


 アルテローゼレイフは、ぎりぎりの所でコクピットのある上半身を盾で護り、少女の命を救ったのだった。


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