UFOキャッチャー王子

風見☆渚

学園のアイドルに彼氏が出来たらしい

クラスどころか、学校でトップの可愛さを持つ我が学園のアイドル河合可憐。

そんな彼女に、最近彼氏が出来たと話題になっている。

いったいどんな男が我らがアイドル可憐様のハートを掴んだのだろう・・・

気になる!とんでもなく気になる!!

そんな妄想しか出来ない俺は、単なる偶然の幸運によってクラスメイトになれただけのその他クラスメイトCくらいの存在でしかない。

といっても、俺の幸運は席が彼女の斜め後ろという奇跡のような幸運であり、神様に感謝こそしても恨むなんておこがましい。

俺は毎日視界に入る彼女の後ろ姿と、かすかに香る彼女の甘い香りに癒やされる毎日が送れる学校生活に幸せを感じている。

そんなある日、可憐様が友人と彼氏について話しをしているのが耳に入ってきた。

俺は素っ気ない態度で窓の外、遙か遠くを見つめている風の姿勢を取り、全神経を耳に集中させ二人の会話を聞くことにした。

「可憐ちゃん、最近彼氏が出来たんだって?ファンクラブの皆が黙ってないんじゃない?」

「そうかなぁ・・・ところでファンクラブって何のこと?」

「あぁ~そうか・・・知らないなら知らない方がいいと思うから今の忘れて。」

そんなコトはどうでもいい!!早く彼氏の話題に触れるんだ友人Aの少女よ!

「そうそう彼氏だと彼氏!どんな人なの?」

よし来た!もっと詳しく聞くんだ友人A!!

「どんな人って、優しいよ♪」

「それだけ?そういえば可憐ちゃんから告ったって本当?!」

なんだと!?そんな情報は知らん!でかした友人Aよ!褒美に今度偶然を装って

ジュースをおごってやろう!

「本当だよ。だって、彼素っ気ないし気づいてないっぽかったから私から・・・ね」

「ふ~ん・・・やるねぇ可憐ちゃん。で、なんで付き合うことになったの?」

意外と我らが可憐様はぐいぐい系のようだ。見た目はおしとやか誰にでも優しく、話しかけても笑顔で終わるような雰囲気があって触れてはいけないガラスケースで包まれたチューリップのような存在なのに。そんな一面もあるのか。

「前にゲームセンターでどうしても欲しいぬいぐるみがあったの。そのぬいぐるみが欲しくて何度もやったんだけど、なかなか取れなくて。そんな時偶然彼が通りかかって簡単の取っちゃったの!凄くない!」

なんかやけに可憐様のテンションが高いが、そんなに欲しいに人形って何だったんだろう?しかも偶然通りかかったって、その彼氏じゃなく俺が偶然通りかかって可憐様のぬいぐるみを取っていたら俺が付き合っていたかもしれないってことか?!なんて幸運の持ち主なんだ!

「あ、あそう。そんなに欲しかったんだ。どんなぬいぐるみだったの?」

「実はね、これなんだ。」

「それって・・・フクロウ?」

「そうフクロウ!可愛いなって思って時々通りかかった時に挑戦してたんだけど、なかなか取れなくて。しかも彼、取ったぬいぐるみを私に渡すと“欲しいのがあったらいつでも取っ手あげるよ”って言って行っちゃったの!最初はびっくりしたけど、その後もなんどかそのゲームセンターであって一緒に遊ぶようになったんだけど、彼ってゲーム以外興味ないみたいで。」

「変わった彼氏だね。」

変わってるどころの話じゃないぞ友人A!そいつはきっと計画的に可憐様に近づいたに違いない。そうでしか考えられない!ましてやもしこの学園に在籍する生徒なら名前を名乗って近づくチャンスじゃないか。そんなチャンスをおみすみす見逃すやつがいるはずがない!

「その彼ってどんな?写メとかないの?」

「うんとね・・・実は隣のクラスの池谷君なんだ。」

なんだと!!この学園にそんなやついたのか?!そもそも、だったら尚更可憐様を知っていて可笑しくないはず。絶対に可憐様ダマされているぞ!

「池谷君て、いつもゲームばっかやってるあの池谷君?」

「そうだよ。ゲームばっかりやって人がいるって聞いたことはあったけど、それが池谷君だったって私も最近知ったの。だから、学校帰りに声かけた時、思い切って告白したんだ。」

「で、皆のアイドル可憐ちゃんの告白に即OKだったと。」

当たり前だ友人A。そんな告白を断る人間がいるはずない。いたら、ブリッジしてへその上に牛乳をたっぷり入れたボールを乗せて校庭を10周は回ってやろう。

「そんなことないよ。最初は困った顔されてごめんなさいって言われたよ。だって急に女子から告白なんてびっくりしたみたい。」

なんだとーーーー!そいつの顔を今度遠くからじっくり見に行ってやろう。

「で、改めて話をしてOKをもらったと。良かったんじゃない?可憐ちゃん目当ての男子なんかゴロゴロいるから、そんなどうしようもない相手が可憐ちゃんの彼氏だったら驚きだけど、ゲームバカの池谷君ならある意味納得かな。」

「そうかな~。いつもゲームセンターデートばっかりだけど、まぁ二人で遊べるから楽しいけどね。」

「ノロケですか?いやだね彼氏持ちってのは。」

あぁ~・・・・・・・我らが可憐様が幸せならいいんじゃないか。決してこれは涙じゃない!遠くの太陽が眩しすぎて刺激を受けた目から流れ出ているのだ。もしくは今日から俺は酷い花粉症を発症した!

そして、彼氏のノロケ話をしている可憐様の、どうしても気になるコトが平民として一つある。これは、どうしようもなく気になる事態だ。

「だから、このフクロウのぬいぐるみが決めてだった訳だ。」

「そうなの。このフクロウさん私と彼を出会わせてくれた天使みたいな存在なの。とっても大事にしてたら、こないだ彼のバックにも同じフクロウさんが付いてて、ちょっとうれしくなっちゃった。」

「あ~さいいですか。そりゃ幸せそうでなにより。」

そのフクロウが二人を引き合わせたのか。そうか。二人には幸せの天使ってところか。

だがしかし、俺にはどうしても気になっているというか、引っかかっているコトが一つある。そいつの、その彼氏が、その男が・・・

「お揃いフクロウが付き合う決めてで、しかもペアルックとか、どんだけラブラブなの可憐ちゃん。うらやましいねぇ。」

「かわいいフクロウさんに本当感謝しているの。」

その彼氏とかいう男が、顔も知らない男が取ったその人形は、フクロウじゃなくてミミズクだよ可憐様!!

微妙におしい!でも、可憐様が可愛すぎてミミズクなんて言えない・・・・

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