第38話 ミネルバ王

 私の城下町で、良い忘れた事、熊さんとミラさん、ミーシャちゃんも、城下町本町に移住してくれました。

 傭兵=奴隷兵士、と言う認識を改め、犯罪奴隷は今まで通り奴隷兵士として、販売される。

 従来の傭兵奴隷販売所は、奴隷商と改名され、犯罪以外の理由で傭兵になった人達は、傭兵ギルドに登録され、登録のタグが渡されました。

 傭兵ギルド長は、熊さんがやってくれてる。

 タグ持ちの正式傭兵は、販売される事無く、契約期間護衛等の任務として、対称の人に同行する。

 任務終了と共に、次の任務を契約するまでは、自由に生活できる。


 この方式の最大メリットは、有事の戦力の無料確保です。

 平素は各自の任務で生活していて、有事に契約し兵士として雇えば良い、非常に都合の良い、軍隊を所有して居るようなものです。

 各ギルドへの助成金など、たかが知れた物です。


 最大の自慢と言えば、私の領地全般に言える事ですが、どの街どの村に行っても、非常に料理が美味い事です。

 特に城下町本町には、料理上手のサラさんの食堂があります。

 その他の食べ物屋さんも、営業許可を出す前に、我が領地の特産品、其に味噌醤油、砂糖にだしの素、その他の調味料の使い方の熟知講習を実施し、合格後に営業許可を出しています。

 普通の主婦も、講習会に参加自由で、主婦の家庭料理も侮れない味の料理です。


 南スクルド王国は、短期間で、食い道楽を自認する住民達の国になりました。


 その食い道楽の持てる全てを導入し、今、城の厨房はサラさんノエルを中心に、戦場と化しています。

 恐らく私の噂を聞き付けた、ミネルバ王が真意を確かめる為、友好をうたい文句に訪問して来るからです。

 折角遠路からの訪問です、度胆を抜いてやりましょう!!!

 相手は、中学生のチャラ男だからね!!!


 メインは、何と言っても、ほかほか炊きたてご飯の、塩握りだよ!!

 三角お握りの特訓、厨房の皆、頑張ってくれました。

 中には、やっと出来た昆布の佃煮、それにオカカと鳥ソボロ、梅干は発見出来ず、でも少しも残念じゃない、だって現実でも高価に成り過ぎた梅干なんて食べないもん、それに酸っぱい梅干食べれるのって日本人位なもの、古代ヨーロッパ風のこちらの住民が、好んで食べるとは思えない。

 かつては、「山田の嬢ちゃん」童歌に歌われたように、貧食の代名詞だったのに、高価で無かったら、たまには食べたい気はするけどね。


 スクルド王と王妃、お父様とお母様が、ミネルバ王と婚約者をエスコートして、ミア城にやって来ました。

 ミネルバ王の付き人は、ウイルにエリス、旅立つ前にスクルド王より、下賜された兵士ロイ、今はゴッドハンド-ロイの最強の3人です。

 整列させた、近衛隊の前を通ってやって来ます。

 ミネルバ王は、獣耳隊を2度見して、直も振り返って見てました。


 応接室に通って貰います。

 全員着席のタイミングで、オリビア率いる戦闘メイド隊が、ココアを配膳して回っています。

 暫く歓迎の挨拶で、和やかに笑談が進み、スクルド王に王妃、其にミネルバ王も、私の隣のチャラを、怪訝そうにチラ見してる。

「皆さん、紹介が遅れて失礼しました、こちらはチャラこと本名ノボル-ミネルバ王子です」

「「「ミネルバ王子??」」」

「其について、別室でミネルバ王を交え、3人で確認の話し合いしたくぞんじます」

「なにしろ、俺達は10年も前に生き別れた兄弟、記憶違いも有るかと思う」

「お、おぅ!そうであるな、兄弟?水入らずの話し合いが必要である!!」

 ミネルバ王も、なぜかオドオドしながらも、賛成してくれたので、別室に移動しました。


 別室に入ると、ミネルバ王がガバッと土下座して

「ミネルバ王子様、ミネルバ王女様、私は偽者かも知れませんが、マゴンを討伐し今ミネルバ王国はゆたかです、私を何卒お認め下さい!!!」

「小山 登君立って」「中坊の登立て」

「えっ?」

「お前中学2年だろ!俺大学2回生19歳の小山 登だぞ」

「えっ?え~~っ??」

「私は後輩の大学1回生18歳今川心愛です」

「はい?お姉さん」

 チャラ男と私で、この世界を創ったようなもので、登君はミネルバロードをクリア後、永く眠って居たの、私ミアがミネルバロードに入った時点で、再起動された。

 この世界の話は、半信半疑でも、流石に、初恋の相手や、オネショの話までされたら、登君信じるよね。


「良かった~~ぁ、本当の王族が現れ、偽者の俺は処罰されるかと思ってビビったぜ!!」


 と、言う事で、チャラはミネルバ王の実の兄で、私ミアは二人の従姉で通す事になりました。

 チャラは兄上、私も姉上とミネルバ王が呼ぶようになりました。




「お父様お母様、確認出来ました」

「おぅ!良かったのぅそれで?」

「スクルド王、私から説明させて頂きたい、宜しいか?」

「勿論です、ミネルバ王」

「それでは、此方のチャラですが、実の兄上です、此方のミア王女は従姉の、姉上です」

「現在ミネルバ王族は兄と姉、私の3人しか居りません」

「そうか、そうであるか·····」

「スクルド王の前で、お二人に提案したい事が」

「遠慮無く話されよ」

「兄上、姉上、ミネルバ王国をお返しします!!」

「登、マゴンを討伐し、国を復興させたのはお前だ、其に国をどうのこうのは面倒、お前が1番王に相応しいぞ」

「登君、私もご覧の通り、スクルド王女として、業務が一杯なの、ミネルバは貴方に任せるわ」

「これからは、遊びに行ったり来たり、仲良くして行きましょうね!!」

「はい!!姉上」


「何時までも登君と呼んでちゃ駄目ね、ミネルバ王この後の、完成祝賀会の料理、驚くわよ!!!」


 大広間に、全員で移動しました。

 私達の状況は、逐一メイド隊が厨房に報告しています、料理のタイミングはピッタリです。


 完成祝賀会と言っても、今日の出席者は王族と、その側近者のみの少人数になりました。

 こんなメンバーと食事しても、実際の功労者達の同席は、気を使うばっかで、楽しめないでしょう。

 祝賀会は、明日が本番です。


 今日の料理は、登君に、久し振りの日本料理を、堪能して貰う趣向で開いています。


 大広間に入った瞬間、登君の瞳から涙が流れました、お握りの並んだ皿を凝視してる!!

「握り飯だ·····ミネルバロードに·····有ったのか?米!!!」


「早速食べてみて!!」

 無造作に掴み、一カブリ「わっ!!昆布の佃煮だ!!!わっ?こっちは鰹節?すげぇ!!!よく見付けたね!!!」

 タイミング良く、鳥の竜田揚げとデミソースのハンバーグが出て来ました。

「この鳥唐、醤油味がする?」

「このハンバーグ、に·····故郷の味だ!!!」

「そのデミソース、野菜葛やトマト香辛料をふんだんに使って、苦心して完成させた自信作よ!!!」

「姉上、すげぇよ!!!、帰った気がする!!!」

「余りお腹一杯にしないで居てね、貴方が泣いて喜ぶ物が出てくるから」

「何?何がこれ以上の物?」


 私は登君、ミネルバ王に付きっきりで、聞こえませんが、チャラがお父様とお母様に捕まり、何か話して居ます。

 気になるけど、今はそれ所じゃ無い。


「登君、臭いで気付かない?」

「ま、まさか、カレー?」

「カレーライスが来ますよ!!」

 余程嬉しかったのか、カレーライス食べながら、泣いていました。

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